ある日の思い出

meru.

またね

 

 「ごめん別れて」

 LINEで突然送られてきた6文字。たった6文字。そのあとは何もなし。こっちから返信しても既読がつく気配はない。1日中泣いた。片思いのときから応援してくれていた2人が、LINEと通話でずっと慰めてくれた。通話してくれた子は男子で、通話なんて来ると思わなかったし、もう1人の女子はスマホの画面越しでも伝わってくるくらい心配してくれて、それが嬉しくてまた泣けた。

 結局気持ちの整理は間に合わず。次の日の朝、学校の空き教室で背中さすってもらいながらまた泣いちゃった。ふられて悲しいのと、なんでふられたのかわからないもやもやが心の中をぐるぐる。だから男子にきいてほしいって頼んだ。そしたら次の日、


「重かったらしいよ」


 重い。重いか…。LINEが毎日続いてたのがきついって言ってたらしい。でも、前に毎日会話してるのしんどくない?って聞いたことがあった。そのとき、気にしてないって言ってたから続けてたんだけどな。

 不安だった。私は好きって伝えたことがあるけど、向こうからはっきり好きだって言われたことがなくて、本当に自分のこと好きでいてくれてるんかわからなかった。付き合ってるはずなのに片思いみたい。だから、私はこの人の彼女なんだって思える何かが欲しかった。


 そんな大好きだった人から別れを告げられた日から約1か月。いまだに気持ちは消えてない。消えてくれない。笑ってる顔を見たら辛くなるし。通り過ぎたときに匂いがすると泣きたくなる。前は落ち着く、好きな匂いだったのに今では悲しくなる匂い。初めて同じクラスが嫌になった。

 撮った写真も消せてない。隠し撮りした写真。部屋で軽い乱闘になりながら撮りあった写真。数少ない2ショットも…。写真を見たら遊んだときのことを思い出して辛くなるから見れない。まだ好きって気持ちが溢れてしまう。それなのにやっぱり消すことはできなくて。諦めきれてない証拠。


 誕生日。お祝いメッセ来るなんて期待してなかった。それでもこなかった現実に悲しんだけど。でもそれから3日後。

「誕生日おめでとう、言うの忘れとった」

 インスタのDMにきてて、名前見た瞬間思わずすぐ開いてしまった。こうゆうところが重かったんかなって後悔。でもそれだけ嬉しかった。別れ告げられて、返信こんくなってもう話せんのかなって思ってたから。あれ以来の会話でどうしよってなったけど、向こうが前と全然変わらない対応で。あ、また涙出そう。

 復縁なんて高望みしない。むしろもういい。だけど、付き合う前のばか騒ぎして笑えてたあのときの関係に戻れたらいいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある日の思い出 meru. @meru03

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ