最終話 大阪の神様 

 新年明けて、マツリは無事帰ってきた。


 帰ってきたのは良かったが……。

 宮内庁、厚生労働省、委託会社5社が総出で作った重厚な結界を、ラップのように簡単に剥がしたのは、マツリだった。


 普通……ではないにしろ、一介の人間で、ただのJKに、何でそんな神様みたいなことができるようになったのか……それは、ダイダラボッチの呪力を引き継いだから……。


 もう、本当に神様仏様マツリ様である。


 ここまで来ると、マツリを流石に隠しては置けないが、触らぬ神に祟りなし。

 誰も触手を伸ばさないので、今まで通りの生活が許された。


 それから、あの現場を引っ掻き回すだけ引っ掻き回した迷惑女神は、


「ダイダラボッチを殺したら、道満を探せぬではないか!!」


 などという理由で、我々の邪魔をしていたらしい。


 因みに何で道満を探していたかというと……。


「道満が言うたのじゃ。“恋しいと申すなら千年くらい待ってみろ。千年経とうとも変わらぬら連れ合いとして番おう。”とな。妾は、千年待った! 山に連れ帰り夫とするのじゃっ!!」


 人間が千年も生きてるはずないのに、何というペテン。


 蘆屋道満の御霊を持っているのはマツリだが、どうなるだろうと、小堺は変にドキドキした。


 しかし、マツリは気にするでもなく


「ちゃんと覚えてたか。そしたら、俺の家に家移りして来い。妻にしてやろう。」


 と、平気で言った。


「イヤイヤイヤ!!! アカンやろ!! お前っ、そもそも女やど?」


 小堺は慌てて突っ込んだが、

 迷惑女神は、


「道満であるのじゃろ? 人間の男も女も似たようなもの。妾は気にせぬ。」


 小堺は頭を抱えた。


 やっぱり神様の思考回路……ワカラナイ!!


 こうして、マツリはアッサリと結婚した。

 小堺は非常にいたたまれない思いで、マツリのを一緒に迎えることになってしまった。


 正直、喜べない。


 一応マツリには念押しして本人の意志を確認したが、


「そもそも、結婚なんて永久にせんしなぁ。千年一途に想とったんやったら、まぁ、責任とらななぁ……。」


 と、答えたので、小堺もそれ以上は言わなかった。


 こうして、色々あったが、やっと小堺は日常を取り戻した。


 と言っても……山の女神様がお引越しすることとなったので、小堺は手当てをもらって、デカい家を建て住むこととなった。ので、今までとはだいぶ違うが……。

 言わずもがな、その大部分は女神様のおわすところで、小堺は隅に押しやられている。


 宮司とかは、まぁ……マツリがいるし、なくても困らんが、掃除だけは死にそうなのでルンバの導入許可を得た。


 でかい家からいかつい顔の小堺。


 近所からはヤクザ幹部の家と誤解され、大変だった。


 そして、マツリはいつも通りに学校へ行き、夜は慶沢園へ行き、たまに拝み屋の仕事をしている。


 マツリは拝み屋としてはもう最強である。


 なにせ、神様なのだから――――。





 終。―――――――――――――――――――――――――――――――




 どうも~、和泉和佳です。


 皆さん最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


 この小説のテーマ、身勝手な親と子供の反抗そして自立。


 うまく表現できているといいのですが……。


 この作品、実は一回挫折した作品でして、それがここまで頑張れるとは思っていませんでした。

 最後まで書けて本当に良かった。

 

 全く可愛くない主人公マツリと、強面ですがイイ男の小堺を応援してくださり、本当にありがとうございました。


 いい作品づくり目指してこれからも推敲していこうと思います。



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大阪 イン ザ ナイトパーク 泉 和佳 @wtm0806

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