そして冒険へ
第14話 いざ出発!
翌朝、天気は予報通り雲一つない快晴だった。
朝食を食べ終わると、私達は出掛ける準備をしつつ、小屋を長期間空けることを考慮して窓に木の板を取り付けたり、残った食料を廃棄したりして最後の支度をした。
「さて、こっちはこれで準備はできたかな。ティス、そっちはどうだい?」
タクは小屋の裏で作業をしているティスに声をかけた。
「こっちももうすぐ終わるよ」
ティスの顔は見えなかったが、タクに答える声がした。
「タク、すまないが袋を背負うの手伝ってもらえるかい?」
私はカバンの代わりに持って行くことになった袋を背負うのに少し苦労していたのでタクに声をかけた。この袋は背負うように作られていないので、袋の紐をうまく利用して背負おうとしているのだが、中身を詰めすぎたので想定以上に袋が膨らんでしまい、一人ではうまく背負えなかったのだ。
「ちょっと荷物が多かったかもね。まあ、町までの辛抱だ」
タクはそう言いながら私が袋を背負うのを手伝ってくれた。
「お待たせ。あ、やはり荷物が少し多かったみたいだね」
ティスは作業が終わって持ってくるなり、私たちの様子を見て言った。
「一度背負ってしまえば、それほど重くないから大丈夫だけれどね」
私は振り返りながら言った。
この日のためにいろいろと準備したものを三人それぞれが分担して荷物にまとめ、いよいよ出掛ける準備ができた。
「しばらくこの小屋とはお別れだ。こんなに早くまた旅に出ることになるとは思っていなかったが、Mパッドもあるしこれまでの旅とは違った旅になりそうだ」
部屋を見まわしながら、タクはこう一言言うとドアの取っ手に手をかけた。
「兄さんと長い旅に出るのは初めてだから楽しみだよ」
ティスは言った。
私たちは小屋の外に出ると振り返ってもう一度小屋を眺めるとお互いを見ながら頷いた。
「では、行こうか」
タクは小道のある森の方を歩き出した。
ティスと私はそれに続いた。
これから向かっている小道はタクとティスは町に向かう際に何度も通っているルートらしいが、まずは森の中を進んでいくことになる。エネミーの話も聞いたし何しろ異世界なわけだから自分の常識が通じるとも限らない。とりあえず木刀を持っているが実戦経験があるわけではないので、それも緊張の原因だった。
一方で、何となく退屈していた日常とは違うこの体験に期待している自分も居た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます