第9話 みんなでトレジャーハンティング?

「Mパッドを少し触ってみてもいいかい?」

 タクは私に確認した。


「もちろんいいけど、操作は大丈夫かい?」

 私はMパッドを渡しながら尋ねた。


「指をスライドさせたり対象にタッチしたりすればいいんだね。君の操作を見て大体理解したよ。基本操作はそれほど難しくないようで良かった」

 タクは画面をタップしながら答えた。


 Mパッドの起動は私しかできないが、起動中は他の人間でも操作できるようだ。


 タクはいくつかのアイテムのページを見たり一覧に戻ったりを繰り返して時々唸ったりしながら興味深そうにMパッドを操作していた。


「何か飲み物を取ってくるね」

 しばらくタクはMパッドに夢中になるだろうと予測したのかはわからないが、ティスはそう言って立ち上がると台所へ向かった。


「どうだい? 君の知りたい情報は載っているかい?」

 私は気になって尋ねた。


 タクは顔を上げると言った。

「そうだね。さっきも言ったけれど、ここに載っているアイテムのほとんどは僕の知らないものだが、僕たちのグループが探したり見つけたりしていたレアアイテムに匹敵するものやそれ以上のものの情報が載っているようだね。これほどの情報はそう簡単に得られるものじゃない。特にレアなアイテムの情報はそれを見つけるだけでもある意味トレジャーハンティングみたいなものさ。久しぶりにアイテム探しの旅に行きたくなってきたよ」


 私は気になって確認した。

「この世界でトレジャーハンティングを始めるのは難しいのかな?」


「始めること自体は難しいことじゃないよ。実際にアイテムを探し出すのに比べたらね。とりあえず旅支度して出掛ければそれも立派なトレジャーハンティングさ。珍しいアイテムに限らず探せばこの周りにだって何かあるかもしれないよ。この世界はそういう世界さ」


(できれば私もお宝探しをしてみたいものだ)


「トレジャーハンティングしながら元の世界に戻る方法を探すのもいいかもしれないね」

 ティスが飲み物を持って戻ってきながら声をかけてきた。

「兄さんはトレジャーハンティングの経験があるし、休業して二人でここに住んでしばらく経つ。そろそろ次の行動を起こしてもいいころかもしれないね。君が来たのも何かのきっかけかもしれない。僕も君と兄さんとなら喜んで旅に付き合うよ」

 テーブルに飲み物を置きながらティスはそう言ってちらっとタクを見た。


「そうだな。そのことは君の体力が戻ってから改めて考えよう。それまではMパッドでもっと情報収集をしたい。さっき見たアイテムリストだけではどこに向かえば良いかよくわからないし、そもそもMパッドで他に何が調べられるのか知っておきたい」

 タクはすっかり乗り気のようだったが、慎重な性格のようだ。これまでの言動を見る限りおそらく何をするにもしっかりと準備をして臨む性格なのだろう。戦術家という職業も合っているように私は思った。もちろん、すぐに旅支度を始めないのは私の体調も気遣ってくれてのことだろうが。


「ありがとう。私もこのままここに居ても仕方ないし、トレジャーハンティングには正直興味がある。自分がどれだけ力になれるかわからないけれど、二人が同意してくれるなら近い将来旅に出たい。どうだろうか」

 私は今の気持ちを率直に言った。


 それを聞いたタクとティスはお互いを見てから

「それじゃ、その方向で考えるとしようか」

 タクは言った。


「そうと決まったら、先に準備できそうなことは始めておくよ。兄さんはMとMパッドのことやそれで調べられることについて詳しく調査をしていて」

 ティスは少し嬉しそうな表情をしながら席を立つと隣の部屋へ向かっていった。

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