第4話 メガネをかけた物知り
博識な生き物として、様々な動物の中から一種類ピックアップするとなると、フクロウが扱われる事がある。
大抵は、森で迷える主人公なんかの前にバサッと登場して、「何かお困りですかな。ホウホウ」なんて感じで話しかけ、主人公を導くのだ。
「しかし、実際にフクロウが喋ってるところみると、普通ならびっくり仰天するもんがな」
目の前にはその典型的な動物がいた。
夜の暗い森の中。
視線の先には月あかりを反射して光る猛禽類の目が二つ。
青々と葉が茂る木の枝の上。そこには、ちょこんとフクロウがのっている。
しかも、ご丁寧に物知りアピールをするために、メガネをかけて。
そのフクロウは、やかましくも「ホウ、ホウ、ホウ」鳴きながら、博識でご立派な頭の中身の中を披露してくださったようだ。
「はぁ、なるほど。今この村には荒れくれ者がいると。しかも口の悪い盗賊で、通り過ぎていった木にやつあたりしている……でございますか。さいですか」
取りあえず教えてもらった礼に、地面から引っこ抜いたミミズを投げつけてやるとバサバサホウホウしながらついばんだ。
深い森で、迷える主人公。
その主人公を導く謎の生き物。
そういうのは、絵本の中だ気の話だと思ってたのだが。
頭をかきながらとりあえず周囲をぐるりと見渡してみる。
知識なしに歩き回るには、この森は深すぎた。
出口の場所だけ聞いたって無意味だろう。
この状況では、方向感覚なんて死んでるようなもんだ。
持っていないが、方位磁石があったとしても、無事に進める自信がない。
「案内頼んでも?」
「ホウホウ!」
ダメもとで頼んでみたが、思いがけず両省の言葉が返って来た。
猛禽類は、バサバサしながら頭上に。
こんな所で、博識な森の動物様にエスコートされるなんて、ありがたすぎて泣けてくる。
「短い間になるか、それともけっこう長い間になるのか知らねぇけど。この人間畜生を出口まで案内頼むわ」
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