第2話 フクロウの話(下)
塔の中に人は住んではいないようだった。
人の気配どころか、生き物の気配すらない。
野犬や小動物などが根城にしているという事はないようだった。
静寂に満ちた建物の中を、少年は歩いていく。
彼は、塔の内部のあちらこちらに視線を向けながら、まるで何かを探しているかのような仕草を続ける。
そして、歩いていくたびに少年は塔にある部屋の一つ一つを丁寧に調べて行った。
けれど、大抵の場合は、扉の先の光景……荒らされた内装を見て、ため息をつきながら、次の部屋へと移るのだった。
歩く廊下や部屋の所々には、ここを訪れただろう人間の、らくがきがあった。
ある物は、肝試し。
あるものは道に迷って。
その時の浮かれた心情やら、心ぼそい心境やらを書き綴っている。
訪れた者達はみな、この塔の中を探索したり、体を休めたりしたようだ。
けれど、少年はそのどちらの場合でもない。
少年は……。
「ビンゴ」
廊下の奥にあった、隠し扉を見つけた少年は、トレジャーハンターだからだ。
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