第12話

 日が変わり、朝になった。カテーテルの日がやってきた。

とは言っても直前までは特に変わりはない。違う事と言えば朝食が「カテ食」と書かれた少し内容が変わった物が出ただけだ。

 時間になると看護師が複数やってきて、手際よく準備を始めてゆく。ケーブル類は機械の方から外されて、点滴はそれ専用の機械から外されてベッドに据え付けられる。

そして看護師に押されて出発。手術室に行くのかと思っていたら、カテーテル室という専用の部屋があるらしい。どこまで移動するのかと思いきや同じフロアに存在した。心の準備をする暇もないほどにすぐ到着した。

 大きな自動扉が二重にあって、それを通ると沢山の器具が乗っている銀色のワゴンが複数あり、色んな信号音が聞こえる白くて広い部屋に入った。

ここで看護師は交代になり、今までとは違う、ドラマや映画で見るような全身手術着を着た看護師が自己紹介してきた。その姿を見ると、いよいよだと緊張が増してしまう。

 複数ある、カーテンで区切られただけの小さな部屋に入れられて、血圧測定等の検査が行われる。そして少し待つことに。

この少し待たされるのがなんとも緊張を加速させてしまう。カテーテルはその後都合何度か行うのだが、この小部屋で待たされるのが毎回嫌だった。

 時間になるとカーテンを開けて看護師が顔を出し、ベッドごと押されて更に部屋の奥へと進んで行く。途中大きなハンガーに、沢山の全身前掛けのような手術衣がぶら下げてあった。

カテーテル室は二部屋あり、それぞれの部屋の隣にもう一つ部屋があって、様々な技師が沢山並べられたPCモニターを見ながら、作業を監視している。

 いよいよ実際のカテーテル室に入る。とても広い部屋で、中央にぽつんとベッドがあり、その横には沢山の大型モニターが天井からぶら下がっている。ベッドの頭上方向には巨大な産業用ロボットのような物があった。

 看護師複数でまな板に乗せられてベッドを移ると、また沢山のケーブルが体に繋げられて、仕上げに割と重めの掛布団のようなシートを体の上に乗せられた。

大丈夫ですか、苦しくないですか、と看護師に聞かれ問題ない事を確認すると、看護師たちは一旦撤収した。

 この部屋にはクラシック音楽がBGMとしてかかっていた。よく、リラックスさせるために患者の好みを聞いてBGMをかけてくれると聞くが、私の場合は問答無用でクラシックだ。

しかし私は以前からクラシック音楽が好きだったので、BGMを聞きながらこれはモーツァルトだな、とか思いながら本番を待っていた。

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