人それぞれ

虹音 ゆいが

僕の場合

 初めてライトノベルに出会ったのは、20歳の時。


 大学の同じ研究室の友人から、漫画やラノベが詰め込まれた某専門店に連れて行かれた。友人曰く、『絶対こっちの才能あるからお前』。……まぁ同じオタク仲間だろ? って事でしょうね。


 最初は軍資金5000円で、漫画を中心に買った。それから2度3度と足を運び、最後の方では軍資金が40000円ほどに増えていた。


 その頃はラノベばかり買うようになっていて、買い物かごに何冊ラノベを詰め込めるかチャレンジをした結果、52冊だった。持って帰る時に重すぎて泣いた。


 で、ラノベが好きになった僕は、大学院に進むことをやめ、フリーターをしながら細々と小説を書くことにした。対してその友人は、普通に公務員になった。


 別れ際に言われた。『なんかごめん』って。いや、謝られましても。


 それが約8年前。要するに今、三十路。そんな僕はおっさんです。


 新人賞に送り付けては、その結果に一喜一憂する毎日。まぁ、圧倒的に『憂』の方が多かったけど、そのお陰で分かった。


 僕には、少なくとも『才能』と呼べるものは備わってないと。


 多分、僕は他の人よりも執筆に対する努力を怠っているのだと思う。普通にゲームもするし。1日5時間とか。


 そこから小説のアイデアに繋がることも多いので、まったくの無駄じゃないとは思う。仕事をしている間とかでも、小説の事を考えている時間は多い。


 けどやっぱり、足りないんだろうなぁ、とは思う。小説家と呼ばれる職業の人の情報収集、そこからの想像力、それを支える経験、あとやっぱり才能。


 これらが全てとは言えないんだろうけど、諸々不足しているからこそ、僕はもうおっさんになってるんだろうなぁ。まぁ、後悔してるわけではないけど。


 バイトのはずなのに、いつの間にか職場での立ち位置が無駄に高くなって仕事内容も明らかに増えてる。そのくせ給料はバイトと一緒で県の最低賃金。おのれ不景気。


 そんな僕は世間一般から見て『残念な人』に分類されてる事だろう。大学卒業、からのフリーターで小説家目指しまぁす! ……うん、風当たりは厳しい。


 応援してくれてる人もいる。家族にも、職場にも。まぁ、それが本心からの言葉なのかはちょっと疑問符だけど、ありがたい事には変わりない。


 それを糧に、僕は今日も小説を書く。……ゲームもします、はい。


 きっと、これからも僕はこんな調子で変わらないと思う。誰が何と言おうと。


 それでいいと思うし、そうありたいと切に願う。




 まぁ、結局何が言いたいのかと言うと、ですよ。


 自分てめぇで決めて歩いてる道なんだから、一次審査で落ちたとしてもうだうだ愚痴ってんじゃねぇぞ、って話。単なる実力不足だバカ野郎。


 おっさんになっても、賞の締め切りが近くなると色々と思うところがあるのですよ。豆腐メンタルも変わらなかったみたいです。



 以上、


 小説家になれてもいない自分から、


 小説家になりたがっている自分への、


 注意喚起、でした。まる

 


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人それぞれ 虹音 ゆいが @asumia

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