第17話 食中毒 こっちもシーズン到来!
はっきりしない天気の日が増えてまいりました。
そろそろ梅雨入りですかね~。
梅雨時期は熱中症が増えるのは前回お話した通りなのですが、この時期注意が必要なことがもう一つあります。
食中毒です。
嘔吐下痢は冬場に流行るもの…… というイメージですが、それはウイルス性の嘔吐下痢。
ノロとかロタとかですね。
この時期に注意が必要なのは細菌性の食中毒です。
一番の有名どころはO-157とかでしょうか?
都道府県によっては食中毒警報とか出る所もあります。以下Wikiより
『全自治体ではなく長野県、大阪市、北海道、千葉県、神奈川県、愛知県、福井県、京都府、滋賀県、岡山県、島根県、香川県、大分県などで発表される。各自治体での名称、発令条件、期間、回数はさまざまである。
発令される条件例
・気温が30度以上となる日が長期間続くと予想される場合。
・4時間以内に急激に気温が上昇して気温差が10℃以上を超えると予想される場合。
・日間の平均気温が27度以上で平均相対湿度が75%以上となった場合。
・その他、警報発令者が特に発令する事が必要だと認めた場合。』
と言うことです。
全国で出してくれるといいんですけどね。
なかなか難しそうです。
で。
例によってゆきのさんが食中毒経験者だったんですよ!
もう、何処から突っ込んだらいいのか分からなくなってきました。
普通に生きてて、そんなに病気やけがをするものでしょうか???
ゆきのさん、やっぱり御祓いに行った方が……
◇ ◇ ◇
さて、「ヤクザとケンカしないでください」というレディとしてあり得ない注意を受けたスタローン・ナナサワです。
↑もちろん私がお願いいたしました。やくざさんと喧嘩なんてレディ以前にあり得ません。
そこで「ためらわずに殺れば意外となんにでも勝てる」という心意気と、その心意気が、痴漢に遭ったときに咄嗟に裏拳で殴るという快挙を成し遂げたことを報告すると「人間には何十人かに一人、殺人をなんとも思わない人間がいるそうです」とレクター博士認定されてしまった諸刃の刃。
誤解しないでください。私はエレガントなレディです。
↑エレガントなレディは裏拳で殴ったりはしないでしょう!
でもためらわないことが季節によっては大惨事を引き起こすこともあります。
この季節ですと食中毒です。
私はイカでした。
おいしいですよね、イカ。特に生イカ。特にそのワタ。
↑確かに美味しいです。美味しいんですけど……!
ヒイカというホタルイカより少し大きいくらいのイカがよく煮物用としてスーパーに売っています。
それがもう、「これ一口で食べたら絶対おいしいよね?」っていう絶妙のビジュアルなんです。
そして私はここでも「ためらわない精神」を発揮し、買ってきた「煮物用」のヒイカにお醤油とわさびを食べてそのままつるんと行きました。
↑待て。「煮物用」って書いてあったんでしょ――!
……おいしい!!!
イカの身とワタを一緒に食べるとおいしいのは知っていましたが、丸ごと食べるとさらにおいしいなんて知りませんでした。いま思い出しても懐かしいです。
コリっとした身が噛むと弾けて濃厚なワタの味が口の中いっぱいに……やめます。また大惨事を引き起こすことになります。
冷凍、加熱、除去処理をしていない生イカにはアニサキスという可愛いけれど恐ろしい寄生虫がいるのは知っていたので、アニキちゃんが死ぬようにもちろんよーく噛んで食べました。
つるんつるんと大量に。
幸せ―……!
↑や、アニサキス(寄生虫)以前の問題があるでしょう!
煮物用を生で食べるな――!!
良い子は決して真似をしてはいけません~~(涙)
と話はここで終わるはずでしたが終わりません。
その晩、私はお腹が弾けるような痛みにのた打ち回っていました。
一瞬、アニキちゃんも頭をよぎりましたが、おなかもひどく壊していたのでこれはアニキちゃんのせいではありません。
↑アニサキスの説明も後でまとめてやります。
……ゆきのさん…… 期待を裏切らない人だ……(泣)
はい。食中毒です。
痛みで眠れない経験というのは初めてでした。
安静にしているより好きな漫画を読んでいる方がラクなほどの痛みも初めて経験しました。
色々な目に遭いましたがいまだにあれ以上の痛みは知りません。
なにしろ「朝になったら絶対病院に行く!」と決意するほどの痛みです。
↑夜中でも救急外来はやってるから!
専門医じゃなくても薬出してくれるから!
そしてようやく来た朝。
私は速攻でチャリを飛ばし近所の内科医院に行きました。
↑チャリ?!
経過を省きますと、すごく先生に怒られました。
↑当たり前です。
曰く、生食用じゃないイカの、それも内臓を食べるなんて論外。
曰く、今は何月だと思ってますか?6月ですよ。
曰く、何考えてるんですか?
どのくらい怒っていたかと言うと「自転車で来れるんなら薬飲まなくても平気でしょ?」と言うくらい怒っていました。
私もまあチャリに乗れるくらいには回復していたので、ただの食中毒ならそれでいいやと思い、先生が怒るのももっともだ、自業自得だ、と反省し、そのままなにも貰わずチャリで帰りました。
↑おいぃぃ 痛み止めは?点滴は?抗生剤は?!
今考えたら、輸液の点滴くらいはした方がよかったんじゃないかと思いますが、自業自得なのでなんとも言えません。
こんな感じで、食中毒は病院が怖い私がためらいなく病院行きを選ぶくらい苦しいです。
私の場合は「ただの食中毒」だったのでまだよかったですが、「そうでない食中毒」もたくさんあります。
食中毒の原因は多種多様あり、特に細菌から毒素が出ていた場合は加熱殺菌して細菌が死んでも毒素だけは残るためえらいことになります。(朝樹さん、解説お願いします!)
↑はい、了解。
そういうわけで皆様、この季節、食べ物にはくれぐれもお気を付けください……。
◇ ◇ ◇
と言う訳でございました。
間違っても「加熱用」の海産物を生で食べたりしないでくださいませ。
……まぁ、こんな事を心配しなきゃいけないのはゆきのさんだけだと信じております。
真似しないでくださいね――――!
で。
解説編です。
今日は細菌性の食中毒です。おまけで寄生虫もちょっとやります。
ウイルス性のノロなどと何が違うのか、という問題ですが……大きさや増殖の仕方などいろいろ違いはあるのですが、最大の違いは細菌には抗生物質と言う薬があると言うことでしょうか?
細菌が原因となる食中毒は夏場(6月~8月)に多く発生しています。その原因となる細菌の代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ属菌などです。
食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。例えば、O157やO111などの場合は、7~8℃ぐらいから増殖し始め、35~40℃で最も増殖が活発になります。
また、細菌の多くは湿気を好むため、気温が高くなり始め、湿度も高くなる梅雨時には、細菌による食中毒が増えます。
それとこの細菌性の食中毒。
感染型と毒素型に分類されます。
毒素です。
細菌が毒素を作っちゃうんですよ。
毒素型での有名どころは黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌とかでしょうか?
この黄色ブドウ球菌。怖いのが結構どこにでもいる普通の常在菌なんです。
常在菌、つまり普通に人の手とかについてるんです。
それが、手に傷がある状態でおにぎりとか作ったら、傷の所に繁殖していた奴らがおにぎりで繁殖して…… となるのです。
黄色ブドウ球菌自体は熱に弱いので、加熱すれば安心なのですが奴らが作った毒素は加熱じゃ取り除けません。
なので一旦汚染されたらどうしようもないんです。
この時期だけは、おにぎりはラップでくるんで作ったりするなどの対策も必要かもしれませんね。
朝樹はあまりおにぎりをラップで作るのは好きでは無いのですが……
この時期はご飯は梅干しを入れて炊いて、おにぎりはラップを使用いたします。
でもまぁ、黄色ブドウ球菌はそこまで重症化することは少なく、1-2日で回復することが多いです。
脱水にならないように水分補給はしっかりして、安静にしていればあまり怖いものではありません。
でも不用意に下痢止めは飲んではいけません。
体内に残った毒素を出そうと、身体が頑張っているので出るモノは出して下さい。
怖いのはボツリヌス菌とかの方ですね。
死ぬこともある怖い菌です。
特徴的に胃腸障害のほかに神経症状(目眩や頭痛・筋力低下など)が出現するので、嘔吐下痢のほかに症状があれば早めの受診をお勧めします。
頻度的には低いですが、怖い細菌です。
あと最近、蜂蜜をあげていいのは一歳を過ぎてから、と言う事が盛んに言われていることは御存知でしょうか?
これは、
1. 1 歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあります。
2. ハチミツは1歳未満の赤ちゃんにリスクが高い食品です。
3. ボツリヌス菌は熱に強いので、通常の加熱や調理では死にません。1歳未満の赤ちゃんにハチミツやハチミツ入りの飲料・お菓子などの食品は与えないようにしましょう。
と言う理由からです。
小さいお子さんをお持ちの皆様、お気を付け下さいm(_ _)m
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
↑厚労省HPより、蜂蜜を与えるのは一歳を過ぎてから。
もうひとつ。
感染型の細菌性食中毒。
食中毒菌が増殖した食品を摂取することで発症する食中毒です。具体的には、体内に侵入した菌が腸管内の粘膜を冒すことで起こります。
代表的な菌に、サルモネラ菌、病原性大腸菌、リステリア菌などがあります。魚介類や食肉、鶏卵などに増殖しやすいので、生食は要注意です。
要注意なんですよ~。
聞こえますか~ゆきのさーん!
細かいところ行きます。
面倒な人は読み飛ばして下さい。
(1)カンピロバクター菌
食肉、特に鶏肉からの感染確率が高い菌で、感染してから1~7日間ほど潜伏します。腹痛、下痢、発熱、嘔吐のほか、腹部が張る症状もみられます。
(2)腸炎ビブリオ菌
増殖がかなり速い菌で、主に魚介類や刺身から感染します。潜伏期間は、およそ10~20時間といわれます。激しい腹痛や下痢、嘔吐があり、まれにしびれやチアノーゼがみられることもあります。
(3)リステリア菌
乳製品や食肉からの感染が多い菌です。短いと12時間、長いと91日間という潜伏期間があり、症状はインフルエンザと似ています。妊婦、子ども、高齢者などの場合は重症化する傾向があるため、注意が必要とされています。
(4)ウェルシュ菌
食肉・魚介類・野菜などを使用した調理品からの感染が多い菌です。特に、大量に作ったカレーやスープなどは注意が必要です。ウェルシュ菌に感染すると、潜伏期間を経て6~18時間で発症。症状は軽い腹痛や下痢がほとんどで、回復も比較的早く、1日ほどで治まります。また、摂取後24時間以降に発病することはほとんどありません。
まれに視覚障害や分泌障害、しゃべりづらくなるなどの症状が出ることもあり、一概に安心することはできません。
(5)腸管出血性大腸菌(O157など)
潜伏期間は3~9日間程度で、出血をともなう下痢があります。高熱が起こることはまれですが、免疫力の低い方は合併症が生じるケースもあるとされます。
原因菌によって、消化器症状とは別の症状が出るモノがありますので参考にして下さい。
とにかく、繰り返しますが脱水に注意しなくてはならないことと、真っ赤な色の血便などがあればすぐに医療機関を受診して下さい。
まぁ、とにかく一番大事なのは予防です。
間違っても加熱用のイカは生で食べてはいけません。
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html
↑厚労省HP 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
要点を上げると、
とにかく新鮮な物を。
調理の前は手を洗う。材料を洗う。
生ものに触った包丁やまな板でそのまま他の物を料理しない。必ず洗え。
十分に加熱しろ。
生ものは室温放置禁止。
残り物は思い切って捨てろ。
と言う感じでしょうか。
食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。
徹底して奴らの繁殖を抑えてください。
えーと、おまけで寄生虫。
寄生虫と言っても色々で、媒介するものも蚊とか哺乳類とか色々なのですが、今日は食中毒回なので食品が媒介するもの。
その代表がアニサキスですね。
アニサキスは主にイルカやクジラなど海洋の哺乳類に寄生する寄生虫です。寄生した哺乳類の糞便と共に放出されたアニサキスの卵が魚介類に捕食され、ヒトへと感染します。
体長は1〜3cm程度で、アニサキスは主に以下のような魚介類に感染します。
【アニサキスに感染する主な魚介類】
・サケ
・サバ
・アジ
・イカ
・タラ
感染したアニサキスは数時間後には消化管の粘膜(主に胃)に侵入し、激しい腹痛や心窩部痛、悪心・嘔吐といった症状をもたらしますが、下痢症状がないという点で他の食中毒とは異なります。
下痢はないけど気持ち悪くて、とにかくお腹が痛い、これがアニサキス症の特徴です。
アニサキスは魚介の内臓に寄生しますが、鮮度が落ちると筋肉にも侵入してくると言われています。ですから、お刺身なら新鮮なものを食べましょう! 加熱が不十分な魚の内臓は食べない! これがアニサキス予防の基本になります。
また、アニサキスは加熱だけでなく、冷凍でも死滅させることができるので、サバやイカを調理するときに、心配であれば一度冷凍させてもよいかもしれません。
ただ、ヒトの体内では成長できず、通常数時間から数日で死滅します。卵を生んで体内で増殖するようなこともありません。ですが、ひどい場合では胃に穴が開いてしまうこともありますし、症状が強いときは医療機関の受診をおすすめします。
医療機関では内視鏡でアニサキスそのものをつまみ出すことですみやかに症状が改善されます。
すみません、長くなりましたね~
ですがこれもシーズン到来です。
十分お気を付け下さいm(_ _)m
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