第14話 美容整形いろいろ
今回もゆきのさんの幅広い知識のおすそ分けですv
ほんっとに本当に、何でそんなに詳しいのでしょうか?
えー、医学的な解説は終わりにまとめてやります。
◇ ◇ ◇
今回はちょっと女性向け?
『美容整形』について……。
リクエストいただいたので、その中でも脂肪吸引を取り上げます。
えーと、まず、営業妨害のつもりはありませんが、脂肪吸引はあまりおすすめできる施術ではありません。
↑ちなみにリクエストしたのは朝樹です。だってステロイド飲んでるとお腹すくんですよ~
太った分は薬が切れても戻る訳ではないので我慢するんですけどね。
これが有効なら食べても大丈夫vってことじゃないですか! ……と言うのは虫の良い話しでした(涙)
<理由>
・脂肪と一緒に体液、血液も吸引してしまうため、大量の脂肪を吸引することはできず、ダイエットというよりは体型を整えるだけのものになる。
↑え?体液・血液も一緒?? それってスゴク怖いんじゃ……
・体液を大量に吸引するためドレーン処置などが必要になることがある。
↑それって普通に手術レベルじゃん……
・脂肪を均等に取る技術がないドクターに施術されると、ある一点は極端に脂肪が無くなり、その部分だけべっこりとへこんでしまったり、小さな凸凹が無数に皮膚に残る場合がある。
↑おぉぃぃぃ!!
・カニューレを
↑まぁ、手術レベルなら死亡例もあるか。しかし美容整形で死にたくは無いなぁ……
・術後は体が緩んでいるため、体型を固定させるため、超強力なサポーターをつけ、マッサージをするなど、かなりの痛みに長期間耐えなければいけない。
↑つまり食欲を我慢するのが一番ってことですね……(涙)
※※※
脂肪吸引というのは、単純に言えば、皮膚の下にストローを突っ込んで、勘と経験でじゅるじゅる脂肪を吸い出す手術です。
で、当たり前ですが、皮膚の下には血管や体液があるため、それも一緒に吸い込まれることになります。
それをできるだけ防ぐため、各美容整形外科では事前に超音波で脂肪の粒子を細かく砕きできるだけ細いカニューレで吸引できるようにしたり、止血剤を事前に注入しておき、主に脂肪だけが吸引できるようにするなど、様々な対策を講じています。
↑そんな技もあるんだ!
それでも皮下の組織を壊し、血液を吸引してしまうリスクはゼロにはできません。
脂肪吸引を考える際は、良い点ばかりを話すドクターより、リスクをきちんと説明してくれるドクターにかかる方が安心です。
できれば何軒かの医院でカウンセリングを受け、いいことばかりを言わないドクターを選んでください。
また、極端に値段が安いところは術前の脂肪粉砕や止血注射をしない場合もあるので、そのあたりも良く確認するのが良いと思われます。
↑そもそも朝樹は血液サラサラの薬を飲んでる時点でアウトでした……。
<おまけ>
人の美に対する執着の恐ろしさ……みなさんはイリザロフ法というのを知っているでしょうか。たぶん、知らない、と言う方が多いと思います。
↑朝樹は術式の名前は知らなかったのですが、看たことはあります。交通外傷で粉砕骨折の方でした。
これ、足を長くする施術なのですが……なんと!
まず、足の骨を折ります。
そこに金属の棒を埋め込んで、わざと骨と骨がくっつかないようにします。
骨はくっつきたくて必死に伸びます。
足が伸びます。
という、え……それ本気なの……?という施術です。
もともとは生まれつき足の長さに左右差がある方や事故で左右差が出てしまった方のためのものだったので、術式の見た目もすごいです。
折った足から金属の棒やバネが飛び出し、ターミネーターのようになります。
↑伸ばす骨の両端に創外固定用の器具を取り付けるのです。
もちろん私のみた患者さんは事故後なので入院しての施術です。
そして、ターミネーターを半年、年単位で続けても足が伸びるのは数センチ……。
その間、骨に埋め込まれた金属は外部へ飛び出しているため、感染や神経の麻痺の危険にさらされ続けます。
本来なら入院加療するものですが、日本の美容整形では在宅にしてしまうのがほとんどです。
↑や、これを在宅でやったら感染とか痛みとか……。か、考えられません。
これに関してはもう、ノーコメントです……。
今回は専門用語が多く出てしまったので、朝樹さん、解説と危険性の説明をお願いします!
◇ ◇ ◇
はーい。
解説編行きまーす。
まず、脂肪吸引の方から。
一言でいえば皮下にあるものを、ざっくり取り除いちゃうって感じなのでしょうか?
そんな乱暴な事をするとは知りませんでした。
血液が多量に失う事が怖いのは、分からない人はいないと思います。
が、体液の方はどうでしょう?
人間の体には、血液のほかに血管外に体液があります。リンパ液などもその一種です。
電解質のバランスなどにも関係している大事な水分です。
これも一緒に多量に無くなっちゃう。
うわ、怖!
ドレーンと言うのは管の事です。(英語)
主に体内の物を外に出す目的で入れられるものを指すことが多いようです。
この場合、皮下に引ききれなかった血液・体液が溜まらないように、外に出すために入れるのだと思います。
お腹や胸を開ける手術では普通に入れます。
手足の怪我でも、完全に縫合できない場合は入れる事があります。
当然、感染の危険や痛みもあります。
カニューレ(ドイツ語)も「管」を意味するのですが、目的が違います。
この場合は吸引用の管ですね。
他にも気管カニューレなど人工呼吸器につなぐための管を指す場合もあります。
……美容整形って、そこまでのリスクがあるんですね……
地道にウォーキングから始める事にいたします……(泣)
足を延ばす手術についてはもう、これを美容整形目的でやる人が存在することがすごいです。
だって骨切るんですよ!
骨切りの手術は、三大痛い手術の一つだと聞いたことがあります。
そして切った骨に金属を埋め込むなんて……
ひ――――!!
って感じです(涙)
そもそも骨の手術は大変なんです。
私の勤める病院は手術室を9室持っています。
骨の手術はその中でもバイオクリーンルームと呼ばれる一番清潔が保てる部屋を使います。
心臓外科とかよりも、整形外科に優先権があるんです。
骨の手術はそれだけ感染が怖いんです。
それを術後在宅なんて――!
色々とおっそろしい……。
万が一、この手術をお考えの方が居られましたら相当の覚悟をされる事をお勧めします(涙)
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