第9話 歯ぎしり
ちょっと間が開いてしまいました。すみません。
ゆきのさんの武勇伝入りの話ですよ~。
今回はちょっと毛色の違う話です。
「歯ぎしり」
歯科領域のお話です。
知らない人も結構居られるようなのですが、歯科医師と医師は国家資格が違います。
夜間救急外来に「歯が痛い」と言って来られる方が居られるのですが、当直医師は当然普通の?内科とか外科の医師です。
歯科医師はいません。
治療しようものなら、医師法違反です。
まぁでも歯の治療はできなくても「口の中が痛いんですね」とか理由をつけて痛み止めを出してくれる優しい先生もいます。
でも基本的には治療はできないんです。
夜間に歯を診てくれるところはほとんど無いかと思われます。
歯科は必ず日中に受診しておきましょう!
虫歯は突然痛みますよ!!(本気)
と言うわけで、ゆきのさんの「よい子はまねをしてはいけない話」です。
________
歯ぎしり。
誰しも聞いたことがある、経験したことがあることだと思います。
悔しくて歯ぎしりギリギリなんて表現もよく使われます。
しかし!
歯ぎしりは静かな悪魔です。
主に寝ている間に無意識にしていることなので気づきませんが、歯ぎしりの癖がある人の歯はゆっくりゆっくりと削れていきます。
ちなみに私はすさまじい歯ぎしり持ちなので犬歯の尖りがすべてなくなってしまいました。
でも削れるだけならばまだいいのです。
歯に大きな力が加わると言うことは歯を支える骨、
そしてこの
歯の矯正治療はこの性質を応用して、歯の位置を動かしていくものです。
けれど、きちんと器具で管理せずに
そして、さすがは悪魔、さらにその上の段階も用意しています。
それは歯の物理的な破壊。
第一段階として、歯が欠けます。
第二段階として歯にヒビが入ります。
第三段階として歯が根までが割れます。(
ええ、割れるんですよ、歯。綺麗に縦に真っ二つに。
第一段階ならほぼ確実に、欠けた部分を光重合レジンという実物の歯と見た目がほぼ変わらない物質で簡単に欠損を埋められます。
ただしこれは実際の歯よりも弱いので、また欠けたりキャラメルなどを噛んだときに取れることがあります。
第二段階は医師の判断によります。まだ歯全体の温存治療が可能か、抜歯するしかないか、よく説明を聞き、納得して治療を受けてください。
歯は抜いたら生えません。
第三段階は……ほぼ抜歯することが多いです……。
なぜかというと、歯だけでなく神経まで真っ二つに砕けていることが多いからです。
歯の本体と神経へのダメージが大きすぎると、通常の虫歯のように、「神経を抜いて治療しましょう」ということが非常に難しくなります。
シルベスター・船坂・ゆきのは第三段階でした……。
ある日、銀歯が取れたのです。
「あーあ歯医者さんいくのめんどくさいなあ」ととりあえず自分で銀歯を詰め直して 歯科の予約を取ります。
その時点では「銀歯が取れて痛みがあるので受診したいです」くらいでした。
痛みがあるということで早めに予約を入れてもらい、受診。
「いやー銀歯が取れてしまいましてー」と受診台でドクターに告げたところ「あらー」と和やかに口の中を見てくれていたドクターが真顔になり「これ、歯が神経まで真っ二つよ」と……。
もう私顔面蒼白です。なにしろ私、歯医者さんが怖くて治療の時に笑気ガス(恐怖を和らげるガス。吸入して使う)を使ってもらうくらいのチキンなんです。そんな私に「神経まで真っ二つよ」
……気を失うかと思いました。
それでもどうにか温存できないかと頼んでみましたが「無理無理無理。神経がぐちゃぐちゃ。ほら、これ痛いでしょ?」となにやら先生が手を動かした瞬間「あぎゃごえ」みたいな声が出ました。
先生はなぜか「ね?」と得意顔です。
「ていうか、あなたこれで歯が痛くなかったの?」
「ちょっと痛かったけど銀歯が取れたからかなあって……」
「ちょっと?!普通なら何もしなくても激痛で日常生活も営めないレベルよ!本当にちょっとなの?!」
「ちょっとです……冷たいものもしみませんでした……ごはん食べてました……」
「嘘でしょ?!あり得ない!神経がぐちゃぐちゃなのよ!」
とさらに心えぐられるやりとりが診察台の上で繰り広げられました。
このときは、神経までスタローンでも船坂でなくてもいいのに、と心から思いました。
と、このように歯ぎしりはどこにでもいるけれど一度憑りついたら魂を持って行く悪魔のような存在です。
たとえば
・同居者に「寝ているときに歯ぎしりをしていた」と言われた。
・朝起きるとなんとなく顎がだるい。
・朝起きるとなんとなく歯が痛い。
・口を開けるとなんとなく痛い。
・歯の位置がずれてきた。傾いてきた。
・犬歯の尖りがなくなってきた。
こんな人はとりあえず歯科を受診してみてください。
歯ぎしりから歯を保護するためのマウスピースを作ってもらえますし(保険がききます)、もしかしたら違う病気が隠れているかもしれません。
歯ぎしりによる歯のダメージは適切な治療と予防で防ぐことができます。
歯が神経まで真っ二つに割れてからでは遅いのです……。
この恐怖の実話が送られてきたのが11/25でした。
しかしその後ひと月、私がステロイドに酔っぱらっていた間、ゆきのさんの歯はまだ治っていないそうです……
なんて恐ろしい……
歯科衛生、皆さんもお気を付けください。
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