第5話 嘔吐下痢は一家全滅の病です。
本格的に寒くなってまいりました。
朝樹は寒いのは嫌いです。
救急車を迎えに出る時って半袖のままなんですよ!
なのでギリギリまで扉を開けられなくなります。
救急隊は、私達が待機しているのが分からないから、イライラするんじゃないでしょうか?
だって袖のある服って、処置の時邪魔なんですもん。
それはさておき。
冬の風物詩と言えば、インフルエンザと嘔吐下痢ですね。
これが増えると「ああ冬が来たなぁ」と思います。
……自分で書いてて嫌な風物詩だと思いました。
ちなみに熱中症に夏を感じる救急外来は、こんなもんです。
と言う訳で、今回のお題は嘔吐下痢です。
うわぁ、またシモネタ!?
いやでもちゃんと家庭の医学ですから!!
嘔吐下痢と言っても、原因は様々です。
冬場の嘔吐下痢はウイルス性が一番大きな顔をしていますけどね。
細菌性もありますし、インフルエンザの症状として出てくることもあります。
細かく言えばノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスなんて夏場しか出てこない様なウイルスでも、かかれば嘔吐下痢を起こすことがあります。
まぁ前回でもお話したとおり、ワクチンも薬もないので全て対処療法になるので原因はあんまり関係ないんですけどね。
あ、でも感染力が違うのでちょっとは気にした方が良いかもです。
何しろ有名どころトップのノロウイルス。
感染力は半端ないです。
家族に一人出たら、一家全滅とも言われています。
一番は感染者の吐物や便からの感染ですが、例えば絨毯に吐いたらその絨毯から感染するって言う位です。
ちなみに病院のマットの上に吐いた場合。そのマットの上に塩素系の消毒薬で浸して、その廊下は通行禁止になります。その位感染力のあるウイルスなのです。
話しがノロウイルスになったので、ついでにノロウイルスの特徴を説明します。
ノロウイルスは、一年を通して活動しますが、とくに11月から増加しはじめ、12月から翌年1月がピークとなるウイルス。多数の遺伝子型があるウイルスで、同じ人が何度も感染します。
ちょうど、インフルエンザと交代する感じでピークは落ち着く感じですね。
ノロウイルスは、ほんの少量でも感染する厄介なウイルスです。
乾燥に非常に強いうえ、アルコールにも強いので、とても厄介です。
冬の乾燥した室内では、乾いたウイルスが空気中に舞うんです。
考えてみてください。処理し残したウンコが乾いて空気中に舞うんですよ!!
なんて恐ろしいウイルスなんだ! って感じです。
有効な消毒薬は塩素系の物が良いとされています。ハイタ―とかミルトンとかですね。
感染経路としては
①感染者のウイルスが含まれている便やおう吐物から。
②調理などをする人が感染していて、その人が介在して汚染したものを食べる。
③汚染された貝類(とくに二枚貝)を、生あるいは十分に加熱しないで食べる。
※うちの病院では冬場の生ガキは禁止令が出ます。(マジです)
潜伏期間は一般的には1~2日で、発症するとおう吐、腹痛、下痢、発熱を引き起こすことが特徴です。
人によっては、大したことのない下痢と、ちょっと吐く位で済む人もいるんですが、人によってはトイレから出てこられなくなる人もいます。
半端ない水の様な下痢になることもあります。
ただ、嘔吐とか下痢はウイルスを体外に排出しようとしている身体の防御反応なんです。
なので「下痢止めください」とか、「吐き気止めを」と言って救急外来を受診される方が居られますが、基本、出る物は出して下さい! ←フォント大
でもここで問題になるのが、ウイルスを出してしまおうと必死になっている消化管さんは大量の体液も一緒に出してしまうんです。
この体液には大事な電解質も多く含まれています。
この電解質のバランスが狂い、同時に水分も大量に排出するので、結果脱水になるんです。
なので、嘔吐下痢の間は水分補給が一番大切になってきます。
それも「美味しい水」とかじゃダメです。
電解質も補充しなきゃいけません。
やっぱりここはOS1の出番でしょうか。
アクエリアスでもポカリでもいいんですけどね。
水分の吸収がOS1が一番早いです。
スポーツ飲料を、常温でちびちび飲みます。
常温ですよ、常温。
熱もあるので、冷蔵庫で冷やしたポカリをがぶ飲みしたい気持ちは分かります。
しかしここは我慢です。
冷たいポカリとか一気飲みしたら、それが刺激になってまたトイレに逆戻りです。
飲めるうちは大丈夫です。
とにかく常温のスポーツ飲料を少しずつ飲んで下さい。
でも回数多く飲んで下さい。
飲めなくなったら、または飲んだ傍から吐くようなら病院へ行って点滴です。
あの点滴、中身はポカリの薄いのなんですけどね。薬は入っていないことが多いんですよ。
脱水の時はあれ一本で随分楽になると思います。
水分が飲めるようになれば、後はまた寝て治すしかありません。
仕事?
ノロウイルスは最初の一日が一番つらいと言われています。休めれば休んだ方が良いのでしょうが、インフルエンザのようにとにかく寝てろとまでは言いません。
嘔吐下痢の時は、職場のトイレまでたどり着きそうだったら大丈夫ではないでしょうか。
トイレの後に手を洗わない人はいないでしょうし。
でもいつもより念入りに洗ってくださいね。
ただ仕事中に吐いたりしたら、翌日その部屋の人は多分全滅ですよ。
その辺に気をつけていれば大丈夫ではないでしょうか?
病院の基準では、症状が消えていれば出勤OKです。
消化管内のノロウイルスは半年くらい居座るらしいので、検査で陰性が出るまでは待てません。
食事は食べるとまた、それが刺激になって下痢をします。
日頃元気な成人なら、三日くらい食べなくてもポカリだけで生きていけます。
消化管の安静を保ってくだださい。
つまり、無理には食べない。
食べないと元気にならない、とか思わないで大丈夫です。
水分さえ取っていれば元気になりますから。
身体は正直です。食べたいって思ってきたら治って来てる証拠です。
まずお粥から始めて下さい。
プリンとか良いかな―とか思った方。
その考えは危険です。
味の濃いモノは、やっぱり刺激になります。
お粥に梅干しとかふりかけから初めて、物足りなくなったら白身の魚とか鳥のささみとか脂質の少ない物を追加してみてください。
それで大丈夫だったら、普通食を少なめに。
今はお粥のレトルトパックとかも売ってますし、結構おいしいですよ、アレ。
(毎年結構感染するので私はお粥のレトルトパックを常備しています)
さて成人は、とりあえず出すだけ出せ! で良いんですが。
そうもいかないのが小児です。
小児の怖いのがロタウイルスですね。
ウンコが白くなる奴です。(一目瞭然です)
免疫のない生後6ヶ月~2歳までの子に多いです。
大人は感染しても軽い症状で済む場合が多いようです。
1~3日間の潜伏期間を経て発症し、激しいおう吐で始まり、発熱(半日から2日程度)と腹痛、そして白っぽい下痢となります。下痢は5~7日ほども続き、脱水症状が進行すると生命に関わる場合もあるので、入院が必要になることもあります。
この場合も、ミルクが飲めれば大事になることは少ないのですが、アクアライトなどの電解質の入った水分をスプーンなどで少しずつ飲ませてあげて下さい。
飲めればまだ安心です。
ぐったりして来たりしたらもう病院です。
ちなみにこのロタウイスルにはワクチンがあります。
生後二カ月位から接種できるようなので、掛り付けの小児科さんに相談して下さい。
二種類あるようです。
夜間の対応については、発熱のページ参照でお願いしますm(_ _)m
結論。
嘔吐下痢の場合、成人は出る物は出せ!
水分が取れていれば大丈夫!
でも小児は用心してね。
と言うところでしょうか?
皆様お大事になさってください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます