第4話 熱が出たら寝て治そう

 今回は内科編なので、ゆきのさんはお休みです。



 寒くなってまいりました。

 皆さま、風邪などひかれておりませんでしょうか?



 この「風邪」と言う症状、結構いい加減なのはご存知でしょうか?

 何のウイルスに感染しても、とりあえず「風邪」なのです。



 最近、ホントに最近やっとインフルエンザ以外にもロタウイルス・ノロウイルス・RSウイルスなどの検査キットが病院レベルまで降りてきてはいるんですけど、結局薬があるのはインフルエンザだけ。

 なので検査はしても、治療方法は「咳止め」とか「解熱剤」とかで「風邪」が治る訳ではないんですよね。

 きちんと寝て、自力で治せって奴です。


 ※風邪のウイルスではないですがヘルペスウイルスにも薬はあります。



 風邪の時に抗生物質が出るのは、ウイルスで弱った体に細菌感染を併発することがあるので、念のため…という側面が強いようです。

 でも中にはホントに細菌メインの感染もありますから、医師から出された薬は処方通り飲みましょう。



 市販の風邪薬、愛用されている方も多いかとも思いますが、アレも症状を抑えてくれるだけです。

「風邪薬を飲んだから大丈夫、仕事できるよ」じゃなくて、「風邪薬が効いて楽なうちに眠りましょう」と考えて下さい。


 それに風邪を引いて、薬で抑えて頑張って出社・登校するとですね、翌日には患者は倍になっていると思います。周りにばらまくことを考えて休む事も会社のためですよ!


 体調が悪い時は、やっぱり体が「休んで!!」ってサインだと思って、ゆっくり休んで下さい。


 こういう事情もあって、救急外来では「朝一番で出社する前に診察してほしい」と言うご相談はお断りすることが多いです。

 救急外来を受診しなきゃいけないほど悪いのに出社ですか?

 ……寝てて下さい。しかも診るのは研修医だし。(朝一は上級医は既に自分の患者をまわっている)




 そもそも、何で風邪をひくと熱が出るかご存知でしょうか?


 インフルエンザを始め、多くのウイルスにとって、一番活動しやすいのが人間の平熱なんだそうです。

 なので、熱が出るのはそのウイルスに対抗しようとする、身体の防御反応なんですよ。

 そのため、熱は下げればいいってものでもないようです。


 とはいえ、発熱ってキツイし苦しい。

 なので、解熱剤を使って楽な時間を作って、その間にご飯を食べたり眠ったりして身体を休めて下さい。常時解熱剤で平熱を保つ必要はありません。


 時々、「いくら薬で下げても、また上がって来るんです」という電話が救急外来にかかってきます。

 解熱剤は大体六~八時間おきって書いてあるので、それが待てない感じなのだと思います。


 でも、成人の場合、いくらきつくてもその位にしておくのが無難な線です。

 あまり使いすぎても治るのが遅くなったら意味ないですしね。

 しかも平熱まで下げる必要はありません。

 ピークから一度から二度下げれば十分楽になると思います。

 発熱時ってあがるときが一番きついので、下げ過ぎてもキツイです。


 それと、夜間の救急外来に発熱で来る患者さん、結構いるんですよ。

 発熱で朝までに死ぬ人は、成人ではほとんどいないと思います。

 夜間の救急外来に、発熱とかの軽傷で掛ると待たされます。

「こんなに重症なのに!」と思われるかと思いますが、救急外来の「重症」は心臓や呼吸が止まってるレベルなんです。

 自分で歩いている時点で「軽傷」です。


 その上「わざわざ夜間救急に来た位重症だと思ったんだろうから」と言う理由で血液検査やレントゲンなどいろいろ検査されて(ちなみにうちの病院は研修医がやります)、結局「異常ないですね」と言われ解熱剤を二日分位い出されて終わりです。


 そもそも発熱直後は、血液検査してもインフルチェックしても異常って出にくいんですよ。


 インフルチェックで12時間。(最近のはもっと早いらしいですね。でもうちの病院は買ってくれないので12時間後にもう一度来てもらわないといけないんです。インフルの薬ってチェックで陽性が出ないと出せないらしいです。家族がインフルで濃厚接触の場合は別です) 


 救急外来は、基本翌日専門医が診察するまでの「つなぎ」と言う位置づけなので、沢山薬が出せないんです。(保険上の縛りがあるようです)

 その上、初診料は高い。研修医が診て、上級医はちらっと見るだけ。(しかもまったく専門外)請求書は一万近く。

 こんなバカな話があるか!

 と思ったことがあります。(自分が少し前に受診した経験です。しかも私は診察すらなかった!)


 悪いことは言いません。

 風邪をひいたら、昼間掛り付けのクリニックに行って、大人しく寝ていましょう。



 問題は子供です。

 小さい分すぐ脱水になります。

 飲めている間は割と問題ない場合もあるのですが、重症化しやすいのも小児です。

 小児の発熱は自己判断せずに、小児科にかかりましょう。


 特に新生児。

 生まれて一カ月以内の発熱は重症の可能性があります。

 まれに夏場、布団のかけ過ぎで八度を超えると言う話を聞いたことがありますが、この時期そんなことは無いと思われます。

 新生児の発熱は、必ず受診しましょう。

 この場合、時期によっては生まれた産科さんに電話しても良いかもしれませんが、出来れば小児科の方が良いと思います。産科さんに電話すれば、何処の小児科が開いているか教えてくれると思います。



 一度小児科にかかって、髄膜炎とか、脳炎とか物騒な診断がつかなかったら、とりあえずは安心です。スプーンを使ってでも少しずつ水分を取らせてあげて下さい。

 OS1とか、今は良い補水液も売ってます。

 乳児ならアクアライトとかが有名どころでしょうか?


 ただ、あまり熱が高いと熱性けいれんと言う、発熱に伴うけいれんが起きることがあります。

 初回の発熱で起きることが多いです。

「けいれんだ!」と思ったら、まず慌てずに呼吸をしているか確認してください。

 不規則でも呼吸をしていたら、次に時計を見ます。

 けいれんの持続時間は、病院に行って必ず聞かれます。

 時計の次は救急車です。

 ただ、熱性けいれんは持続時間が短いことがあるので、止まっていたら救急車はいらないと思います。(呼んでも大丈夫です)

 救急車を呼んで、まだけいれんが続いているようなら、そのスマホで動画を取りましょう。診断の助けになります。

 特に親や兄弟が熱性けいれんになったことがあるお子さんは要注意です。


 あと、下痢が激しいと脱水になるのが早いです。

 昼間行った小児科が開いていればいいのですが、あいていない場合地域に必ず診療している病院はあるのでぐったりしたりしていれば、受診しましょう。

 あいている小児科が分からなかったら、消防が教えてくれます。

 119に電話するのが抵抗があれば、地域の消防署に電話すれば教えてくれると思います。(うちの方では中央消防署が各病院にいる当直医の専門まで知ってます。○○病院には今日は整形外科がいる、とかです)

 消防署は火事と救急車だけではないです。身近に利用しましょう。



 それと、厚労省の事業なのですが



 小児救急電話相談事業(#8000)についてご存知でしょうか?

 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html



 小さなお子さんをお持ちの保護者の方が、夜間休日に急な病気に困った時にこの番号#8000に電話すると小児科医や看護師が対応してくれます。


 これは全国統一です。


 症状を聞いて「大丈夫ですよー」とか「明日かかりつけに行ってくださいね~」から「救急車呼んで下さい」まで相談に乗ってくれます。

 困った時は、これを利用しても良いかと思います。



 結論。

 大人は熱が出たら寝て治せ! です。



 以上、発熱編でした。






 ……やっぱりゆきのさんがいないと、面白くもなんともないですね~

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