第90話 名前

 お店に戻り、忍犬Jr.をモロに預けると、何も手入れしてない畑で遊び始めた。それを眺めながら、赤色をした忍犬を赤虎、黒色をした忍犬を黒虎とつけていく。赤虎・黒虎・白虎・青虎・茶虎・風虎・影虎とつけ、あきらかに統率をしている赤色の目をしている忍犬Jr.を赤目とつけた。我ながら安直だと思いながらも、遊んでいる忍犬Jr.一匹一匹を名前を呼びながら頭を撫でる。


 「フッ。お主らしい名前の付け方だな。」


 ピューネに小馬鹿にされたので意趣返しをする。


 「それならピューネがこのお店とあの村の名前を決めてよ。」


 「良いのじゃな?」


 「うん。」


 「村はピューネ村、店はスネークヘッドじゃ」


 「却下。ピューネの物みたいじゃないか。村はヘンピ村、お店はイーリュウ店」


 ネットで1時間(ガチで作者が)ほど良さげな名前を探した結果、安直な名前に決まりました。


 「名前も決めたし、後は人を雇わないとな。」


 ピューネを連れて転移でザーザー街近くの村へ行く。旅の途中に二つの家族を村から奴隷にする話をチラッと聞いたので様子を見に行くのだ。

 村長の家を訪ねると、予定よりも収穫が出来ず3家族を奴隷にするそうだ。


 「このままだと来年の収穫や食べるものもないからの!くじで決めたザラン一家・シュンパ一家・ガジン一家を奴隷に落とす予定だ。」


 「若い家族を売っては村が衰退してしまいますよ。」


 「それは解っとるが、わしら老いぼれなど二束三文じゃ。」


 「ザラン一家と歳をとった家族を銀貨300枚とオーク肉500キロで私の村に引き取ります。」


 「聞き間違いかの?銅貨じゃなく銀貨300枚と言ったかの?」


 「はい。間違いなく銀貨と言いました。」


 「歳をとった家族をか?」


 「私の父の言葉で、年寄りは教科書又は宝と言った言葉があります。村で作物を育てるなら、長年の知識と経験が必要です。」


 「なるほどの!わしら年寄りが宝か。」


 「もちろん貴族みたいに何もせずお金だけをとるやからを老害とも言いますが!」


 「ふっ貴族が老害か!なかなか面白い考えだな。すまぬが、村で会議を行うため明日まで返事を待って貰えぬか。」


 「はい。」


 「ありがとう、そこの家が空き家じゃ。明日まで好きに使うと良い。」 

 

 翌日、村長の家に訪ねると14人いた。


 「ザラン一家6人とルイス一家5人とギュラ一家3人じゃ。ルイス一家とギュラ一家はじーちゃん、ばーちゃんと離れるのが嫌で孫が着いていくと。」


 「僕は構いませんが、村はかなり辺境になるため二度と戻ってこれなくなりますが良かったですか?」


 「その覚悟は出来ておる。」


 ルイスが皆のかわりに答えるのを聞いて、一人、一人見てみるが大丈夫そうだ。


 「解りました。こちらが約束の銀貨250枚と銅貨で5000枚で、3金貨分です。オーク肉はどこに置きますか?」


 「すまぬが離れの倉庫に頼む。」


 倉庫に着くと地抜き済みオークを一匹まるまる置く。解体したらたぶん七百キロの肉に魔石がとれるから魔石は商人にも売れるし、肉は食べるのも売るのも村が決めれば良いだろう。



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