第87話 絶望?
朝一ギルド前で可憐とともに合流すると、忍犬が目撃された場所へと行く。スマホを使えば最短で行けるが、毎回、毎回最短で行くと、可憐に怪しまれる為、今回は自重した。今更な気がするが・・・
「ここが目撃された場所ね。」
「忍犬の住みかは木の上・洞窟・地面を掘って作るの3パターンが主じゃ。この森はアサシンウルフがいるから木の上は除外でよかじゃな。」
「そうなると地面を見つつ洞窟を探すのが良いわね。」
洞窟=盗賊もいるだろうから、山賊魂もそのまま見つけれるだろう。二時間ほど探し歩き回ると、人の話し声が聞こえてきた。
「ちょうどいいわ。あの村で話を聞いて見ましょう。」
「ちょっと待って、こんな森の奥に村があるなんて情報を聞いてないです。賊がカムフラージュした村の可能性があります。」
「確かにその可能性もあるわね。8歳の判断力じゃないわ」
可憐とともに村の様子を伺って見ると、村にしてはやはり様子が変だ。
「あっ、小さい子供がいない。女の人も一人しかいない。」
スマホをこっそり見ると、兵士と盗賊と表示された。
「一旦離れて、夜に潜入しましょう。」
「夜の森はアサシンウルフだけじゃなく危険な魔物が存在するがゆえ止めるのじゃ。それに背後から4つの気配が近づいておる。」
「それなら気づいてないフリをして村の内部に潜り込むのが良いわね。」
堂々と村に近づいていくと、
「この村に何のようだ。」
「忍犬の討伐依頼を受けてこの辺を探していたら村が見えたので、忍犬の情報がないか聞きに来ました。」
「あそこの家が村長の家だ。訪ねてみると良い」
「ありがとうございます。」
言われた家を訪ねると、五十代のガタイのいい人があらわれた。
「すいません。忍犬について知っている情報があれば教えて下さい。後、今日一日この村で泊まりたいのですが!」
「こんな村で良ければ構わないが、泊まるなら手前の家を使うと良い。忍犬は知らぬ。」
「ありがとうございます。」
「言い忘れてたが、その家意外は出歩かないように!」
言われた家に入ると、聞き耳をたてている者がいる。
「忍犬の情報が得られなかったのは残念。」
「こんな森で泊めて貰えたわけだからそれだけでも感謝ね。」
可憐と明日の捜査場所を話しながら眠りにつく。翌日軽く村長にあいさつをしてから森の中に進むと、後ろから三つの気配を感じるが、気づかないフリをしながら奥へと進む。
三つの気配をスマホで調べると忍犬となっていた。
「あれ?ここの道は枝が折れているわ。」
「何か誘導される感じに不自然に痕跡があるわね。」
罠の可能性を感じながら慎重に進むと開けた場所があり、洞窟がある。見張りが二人おるが寝ている感じだ。
恐る恐る近づくと、寝たふりをしていた賊が襲ってきた。
「おりゃぁぁぁー。」
「どりゃぁぁぁぁー。」
それをチャイムとチャンネが受け止めると、洞窟の中や地面の中から次々と賊が現れてた。
「女とガキだけでこんな場所へようこそ、我が名はザッシュ、以後お見知りおきを、そしてさよなら。」
三十人ぐらい集まってきて頭らしき人物が自己紹介をすると、可憐達が震えている。
「へっへっへ、頭の名前を聞いて震えているぜ。」
「あたぼーよ。頭はこの国の数少ないSランク冒険者だぜ。」
「おいおい、情報をさらすんじゃねー。」
「どうせガキは殺して、女はヤるだけやって殺るんだから良いだろう。」
「確かに死人にくちなしだな。グヘッヘッヘ。」
「ザッシュだけじゃないなわ。あそこにいるのわ、幻影のアラン、雷神のイリーク、風神のミサラ、二つ名を持つAランク冒険者達よ。」
「なぜこんな場所に?絶望的。」
「絶望?これがですか?」
「テメーら殺れ!」
チャイムの絶望発言に小首を傾げながら聞き返すピューネに、ザッシュがぶちギレ合図を送る。賊の全方向からの殺気を受けて一瞬硬直した可憐をよそに、ピューネの全力の殺気が炸裂する。まさか後ろからの殺気を予想してなかった可憐達は意識を失い、賊も大半が失禁したり、糞尿を漏らしたりと地獄絵図と化した。そのなかでもさすが二つ名を持つ冒険者とSランク冒険者だ。1・2歩下がるだけで、醜態はさらしてないが、戦意は失っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます