第9話 苦労の対価
やっと村に着いた頃には薄暗くなる時間だった。村を見てまわりたい気持ちもあったのだが、宿に入るとそのまま爆睡して朝を迎えた。
やはりベッドで寝れるのは最高だ。日本にいた頃はベッドで寝るのが当たり前だったのだが、今回の旅でつくづく当たり前の幸せを感じることの大切さを体験出来た。
ドンドン
「クウヤ起きてるか!もうじき出発だ。」
「父上起きてます。すぐに下へおります。」
ここから先は村や町が多数あるため、ベッドで寝れる喜びを感じていた。それにしても十二日に出発して今日が二十三日まだ半分も過ぎてない。遠いなと思いつつ下へ降りていった。
出発時には冒険者は全員揃っていたが、一度引き返した騎士達は戻ってなかった。
一つ目の村を通り越して二つ目の村に着いた時に愕然とした。宿が小さく他の宿泊客もいるため、全員泊まることが出来ない。
「ジェット男爵どうやら全員宿に入る事は出来ないようです。」
「我々は馬車で寝る。冒険者の方を優先させて宿泊させろ」
「宜しいのですか?」
「そのぶん護衛はしっかりして貰うから構わん。」
世間体を気にするなら宿を優先するべきだろうが、辺境の男爵である父上は世間体よりも安全を優先したようだ。お陰で王都までの道のりは結局二回しかベッドで寝ることが出来なかった。
こうした気遣いは冒険者達には高評価を得られ、旅の終盤には冒険者達と打ち解け、興味深い話も聞けた。
盗賊の一件からトラブルもなく予定の四日前に王都へ着く事が出来た。
まずはドゥランダ伯爵に挨拶をしに行くのだが、政治的な話もあるため子供である俺と姉上は護衛騎士二人をつけられ、先に母達が暮らす家へ向かう。
夕食時には初めて家族全員が揃ったのだが、簡単な挨拶を終えたらさっさと自室に戻って行った。
部屋数が少ないため俺はミリー姉と第二婦人の母アリヤと同じ部屋になった。
簡単な家族構成
第一婦人サーニャ
長男ロン 次男ツモ 長女シャーシャはサーニャの子供
第二婦人アリヤ
次女ミリー 三男クウヤ アリヤの子供
第一婦人と第二婦人は仲が悪いわけではないが、距離を置いている。その影響もあって子供同士も微妙な感じ
「クウヤ、元気そうで安心しましたわ」
「クウ久しぶり、元気にしてた?」
「母もミリー姉も元気そうで、僕は元気ですが、ずっと馬車だったので尻が痛いです。」
「ウフフ、長旅なら誰もが経験する事よ」
「私も一週間ぐらい痛かった覚えがある」
ミリーが学園通うと同時に母も着いて行った為に、久しぶりの家族の会話で一時間ほど長旅あるあるで盛り上がり就寝した。
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