第6話 出発

父上に咎められて10日がたった。予定より出発が遅れたのは、宝石や鉄が発見され、少しでも多く採掘し王都へ運ぶためだ。

 予定では村や町をまわり、珍しい物を買い集め、兄の結婚式の貢ぎ物にする予定だったのだが、宝が発見された為、ダイヤやサファイア、少量ながらもミスリルそしてお金を貢ぎ物にする事で村や町を巡る必要がなくなった為、ギリギリまで、といっても二日前には着く予定なのだが!

 俺は出発の日まで拠点に行っては、拠点の周りを散策したり、拠点の畑にいろいろ植えたり過ごしていた。


 「それでは、出発。」


 父上の合図で三台の馬車、先頭に父上と高価な宝石、真ん中に俺と姉上に宝石の残りと魔石に討伐部位、後ろに鉱石とここで取れる魚の剥製だ。

 護衛は馬にのり前方に五人、後方に三人と少ない。一番近い町までは盗賊の心配もないから魔物さえ気を付ければ問題ない。

 案の定問題なく町にはついたのだが、サスペンションもない最悪な乗り心地の悪さに尻が痛い。そこに追い討ちをかけるように、今から王都へ向かう行商があったため、一泊する予定を変更し一緒に出発する。

 ここから先は盗賊の可能性があるため目的地が同じなら一緒に行動するのが賢い選択なのだ。



 「急な申し出を受けてくれてありがとう。」


 「いえいえ、私達としても貴族様と縁が結べて、その上騎士様の護衛も増える訳ですから大助かりですよ。」

 

 「そう言って頂けるとありがたい」


 本来であれば辺境のたかだか男爵にそこまで恩を売る必要がないのだが、今回は伯爵と縁を結ぶ男爵の為、快く承諾してくれた。それにしても、こんな辺境の情報を仕入れているなんて凄いな。


 「さっそく出発してもよろしいですか?」


 「ああ、問題ない。」


 「でわ、真ん中にお願いします!。」


 俺はこの旅で決めた事がある。

①乗り心地の良い馬車(馬車のサスペンションじゃなく尻の下にクッションを敷くぐらいなら簡単に作れるからそこからだな。)

②においをもらさない魔道具(匂いがあると魔物がよってくるために夜営中などの食事が酷い。)

③マジックカバン・マジックポーチの作成(この世界には流通が少ないらしい)

④簡易テント(テントが重い)

⑤臭い消し(町に着くまでお風呂にも入れないから四日目以降かなり体臭が酷い)

⑥馬装具・馬具(路が悪い上、馬車など引くから蹄からの血が酷い)

 これらの改善だ。等々考えていたらまわりが騒がしい。どうやら盗賊が出たらしい。可哀想に、今回王都に行くため、護衛をしているパーティーにはAランクパーティーとBランクパーティーがいる。

 本来であればDランク・Cランクパーティーがメインなのだが、たまたま王都に行く予定だったためにこの依頼を引き受けてくれたようだ。 

 こっそりと馬車から顔を出して見たのだが、瞬殺(殺してはないけど)だった。30人はいる盗賊を5分とかからず無力化!


 「ジェット様申し訳ないですが町へ引き返そうとおもうのですが」


 確かに町を出て三時間程度、次の町までは四日程かかる。村は所々にあるが、盗賊を引き取る事はない。それならば一旦引き返した方が良い。


 「その盗賊買い取ろう」


 まさかの父上からの提案!商人も驚いている。


 「ジェット様、今回討伐したのは冒険者の方々私の一存で決めることは出来ないのですが」


 貴族には安く買い叩くものもいるため恐る恐るの発言。


 「うむ、装備込みで2金貨でどうだ」


 商人は驚愕の表情を浮かべた。相場は1人3銀貨、装備込みでも130銀貨程、戻る手間暇を考えれば、半分の1金貨で良い。


 「それは多すぎますが、宜しいのですか?」


 「護衛三人を町へ引きかえさせるからな、そのぶん護衛の負担が増える詫び料だ。」


 「ありがとうございます。冒険者達にはそのようにお話させて頂きます。」


 一礼して、冒険者の元へ


 「聞いての通りだ、アーロン、イーロン、ウーロン、賊を連れて町へ引きかえして貰う」


 「「「ハッ了解しました。」」」

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