第5話 異世界のダンジョン
【小解説】DODにおけるダンジョンのルール
VRMMO-RPG「Dead or Dungeon」は、そのタイトル通りダンジョンをメインステージとしている。21世紀初頭のPCゲームとVRゲームの最大の違いは、視野の広さである。DODを含めたVR-RPGは、プレイヤーの視界は実生活と何も変わらない。背後は見えないし「次の部屋の様子」も判らない。初期のVR-RPGでは、薄暗い部屋に入った瞬間、奇声を発する悍ましい化物に襲われて失神したプレイヤーが出たこともあった。ヴァーチャル・リアリティが解禁された当初は、こうした「あまりにも現実的過ぎて、
DODが傑作とされている一つの要因は、「リアリティとゲームの融合」にあった。マッピング機能による敵NPCの所在把握などは、他のゲームでも存在していたが、DODではダンジョンごとに「ダンジョンマスター」という独自のAIが設定され、「ダンジョンが変形する」「罠の位置が変わる」など、時間経過によってダンジョンそのものが変わるようになっていた。その分、マッピング機能や敵NPCの所在把握など、プレイヤーが視覚的に安心化を得られるような工夫がされていた。同時に敵NPCを徘徊させ、足音や奇声などで現実感を出し、プレイヤーの恐怖心を煽る部分も存在している。VRにおけるゲームバランスの一つの指標を打ち立てたのがDODであった。
そしてDOD最大の目玉が「ダンジョンレベルのファジー設定」である。これは、プレイヤーの平均レベルによってダンジョンに出現する魔物のレベル値が上下するという設定で、全プレイヤーの平均レベルと、そのダンジョンに現在潜っているプレイヤーの平均レベルなどから決定される。例えば「レベル200」ダンジョンでは、たとえ同じNPCでもレベル151~299の数値範囲でレベルが変動する。その分、得られる経験値なども増えるため、ギルドによっては高レベルプレイヤーが同行し、新規参入プレイヤーの促成を図ったりもしている。
VR技術と
ギルドマスターから「名義貸し」の話を聞いたトマスは、怒りの表情を浮かべた。「夜明けの団」のメンバーは、リーダーのトマスを入れて四名である。いずれもゴールドランクの中でも上位に入る腕利きの冒険者たちだ。それだけに自信も自負心も強い。
「俺だって、ヴァイスの強さは認めてるよ。俺らが束になって掛かっても、ヴァイスには勝てねぇよ。だが俺らにも、冒険者としての誇りがある。何にもしないで手柄だけお零れで頂くなんざ、冗談じゃねぇ! 俺らも行けるところまで同行させて貰うぜ!」
結果としてヴァイスは、トマスたち夜明けの団と合同で「公国東の迷宮」を討伐することになった。迷宮の入り口で、討伐の仕方について確認を行った。
「出て来る魔物は俺が倒す。トマスたちは素材と魔石の回収を頼む。言っておくが、有り得ないほどの早さで進むぞ。しっかり付いてこい」
そして現在、迷宮の第八層に達している。ヴァイスは涼しい顔で魔物を屠っているが、トマスたちは息切れをしていた。凄まじい速度で魔物が屠られていく。まるで無人の野を歩くように、ヴァイスは迷宮を進んだ。
「ハァッ…ハァッ…ヴァ、ヴァイスッ!ちょっと待ってくれ!」
息切れをしながらトマスは前を進む男を止めた。ヴァイスは振り返ると頷いた。
「少し、休憩を入れよう。素材回収も必要だろうからな」
「有り得ねぇだろ。一層あたり三十分も掛かってねぇぞ?」
ヴァイスは一時間ほどの休憩を入れた。素材回収はトマスたちに任せる。DODではドロップアイテムなどは自動的にアイテムボックスに入る。だがこの世界ではそうした機能はない。こうして魔物を解体して素材を回収するスキルなど、ヴァイスは持っていなかった。
「俺は素材回収が上手くないのだ。トマスたちが居てくれて助かった。礼を言う」
「ヴァイス。助言させてもらうなら、アンタは回収の専門家を雇ったほうが良いぜ? こんだけ魔物を狩りながら、素材回収しないなんて勿体ねぇよ」
「そうだな。考えておこう」
DODとは異なる現実の問題に、ヴァイスも素直に頷いた。結局、迷宮は第十一層まで攻略し、そこでテントを張ることになった。ヴァイスとしては一層あたり三十分として最下層の第二十五層までノンストップで進むつもりであったが、それは「何も回収せず魔物を屠りっぱなし」ということが前提であった。素材回収をする以上、遅くなることは仕方がないことである。出入り口が狭く、中に入ると広くなる部屋を見つけ、ヴァイスは頷いた。
「ふむ、丁度よい広さだ。ここに結界を張る。今日はここまでにして、キャンプをしよう」
トマスたちがいるため、アイテムボックスは開かない。だが大体のアイテム名は覚えているため、考えるだけで手元に出現する。ダンジョン内に
「これは、ダンジョン内に安全地帯を形成するための道具だ。出入り口に置いて稼働させれば、魔物たちが入り込むことはない。もっとも、絶対というわけではないがな」
より高レベルのダンジョンになれば、この道具は通じ難くなる。課金アイテム「安心戦隊」を使えば問題ないが、使用回数制限があるため、できれば使いたくはなかった。
(まぁレベル600くらいまでは、彼女にセキュリティーを任せれば大丈夫なはずだ)
腰に手を当てて胸を張る胸像を見て、トマスは首を傾げた。こんなアイテムは聞いたことが無いからだ。ダンジョンでキャンプを張る場合は、できるだけ目立たないようにし、交代で見張りをするのが普通である。だがヴァイスは何処に隠し持っていたのか、奇妙な石の薄板を取り出し、そこに鍋を置いた。
「お、おいおい。そんなの何処に持っていたんだよ?」
「秘密だ。まぁ手品の類だと思っておいてくれ。さて、鍋の用意をしてある。お前たちも食べろ」
「アンタ、本当に何者だ? こんなキャンプ、聞いたことねぇぞ?」
普段は硬いパンと木の実、干し肉程度を腹に詰め、浅い眠りを繰り返すのがダンジョンのキャンプである。だが男は温かい食べ物、取り分ける器、さらには酒まで用意していた。どうやら空間から勝手に出現するようである。手品としか思えなかったが、仲間の一人が首を傾げながら呟いた。
「異空間収納…… たしかそんなスキルがあるって伝説を聞いたことがあったな」
冒険者たちには、幾つかの伝説が伝わっている。国一つを消滅させる極大呪文、幾ら切りつけてもかすり傷すら付けられないという攻撃無効、そして異空間に無限にモノを収納でき、熱いスープも冷めること無くいつでも取り出せるという異空間収納…こうした伝説は、「あったら良いな」という冒険者の願望が生み出したものと考えられていた。だが目の前の男を見ていると、その伝説は本当なのではないかと思えてきた。
エール麦酒を飲み、肉が入った熱いスープを飲み、焼きたてのようなパンを食べ、夜明けの団の一行はダンジョン内ということを忘れて寛いでしまった。それぞれが床に横たわり、一眠りする。ヴァイスは甲冑装備を解除したかったが、さすがにそこまで見せるわけにはいかない。仕方なく同じように、床に横たわった。
(まぁ、コレも慣れか。枕ぐらいなら出しても良いかな?)
低反発枕に頭を載せると、すぐに眠気が襲ってきた。
香ばしい香りで、トマスは目を覚ました。他の仲間たちも起きている。目の前には信じられない光景があった。鍋を温める機能を持つ黒い石版を四つ置き、それぞれに鍋を置いて料理をしている。平鍋には燻製肉の薄切りを三枚焼き、そこに卵を二つ割り落とした。もう一つの平鍋では、厚めに切られた白パンが焼かれている。トマト、玉葱、芹那などを入れた野菜スープの鍋が湯気を昇らせ、ケトルで湯を沸かし、茶を入れていた。
「……おい、ここは
「おはよう。お前たちの分もあるぞ。皿に置いていくから、順番に食べてくれ」
「いやいや、俺のツッコミを軽く流すな! 迷宮内で料理って、なに考えてんだ?」
「なにを言う。肉体を動かし、疲労しやすいダンジョンだからこそ、しっかりとした食事が必要だろう?ダンジョン内でのキャンプが危険視されるのは、安全地帯が形成できないからだ。魔物が侵入できない安全地帯さえ確保すれば、料理をしても問題ない」
「いや、色々とツッコミたいところが満載なんだが?」
「いいから食え。この程度で驚いていたら、俺に付いてくるのは難しいぞ?」
五名で食事をしていると、思わずDODを思い出す。PK者たちとの闘争は、こうしたダンジョン内でも多かった。まちまちのレベルの中で、それぞれが役割を分担しながら戦ったものだ。顔も名前も知らないゲーム内で知り合っただけの仲間だったが、それでも
「ヴァイスのそれ、凄え便利だな。俺もそれ欲しいな。やり方、教えてくれないか?」
「すまない。これは俺の生まれながらのスキルで、教えられるものじゃないんだ」
「そうか。まぁいいさ。いずれ、収納力が大きい『魔法の革袋』を買うつもりだからな」
魔法の革袋は、DODでは無課金者向けに用意されていた素材収集専用の袋だ。重課金者であったヴァイスはアイテムボックスの収容力を限界まで広げていたが、無課金者ではアイテムボックスに限りがある。素材集め専用の袋として売られていたが、課金者でも使う者がいた。パーティーでダンジョンに潜れば、素材配分で揉める場合があり、一つの袋に一括して入れておけば後々でトラブルになり難いからだ。
「では進むぞ。できれば今日中に攻略したい」
夜明けの団のメンバーたちの一様な苦笑いを無視して、ヴァイスはダンジョンに躍り出た。
地下十三階、一ツ目の魔物「サイクロプス」が出現する。だがヴァイスの一振りで首が飛んだ。ヴァイスがそのまま進もうとすると、トマスから呼び止められた。
「サイクロプスだと? コイツは通常、地下二十階くらいにいるはずだぞ?なんで十三階にいるんだ?」
「どうした?」
夜明けの団の仲間内で話し合っている。ヴァイスは取りあえず、それが終わるまで待っていた。一通り話し合いが終わったのか、トマスがヴァイスに説明した。
「ヴァイス、お前は迷宮に潜るのは初めてだから知らないだろうがな。実はこの一月ほどで、迷宮内の魔物に変化が出始めているんだ」
「ほう。どんな変化だ?」
「本来、もっと下の層にいるはずの魔物たちが中位層以上に上がってきている。また上層の魔物も一回り手強くなっている感触があるんだ。二週間前に潜ったダンジョンでは、いつも狩場にしていた地下十七階よりもずっと手前で、目的の魔物が出現した。ひょっとしたら、下層では見たこともないような魔物がいるかもしれない」
「ふむ、解った。念のため、注意しながら進むか。取りあえず地下二十階まで行こう。サイクロプスがそこにいたのなら、二十階では別の魔物がいるはずだ」
ヴァイスは再び進み始めた。相変わらずの圧倒的な速度だが、昨日ほどではない。夜明けの団のペースを掴んだのか、無理のない速度で進む。エビル・トロールやバティス・キマイラなどを屠り、途中で休憩を入れながらもおよそ十時間で地下二十階に入った。トマスたちの顔色が悪い。
「ヴァイス、ちょっとマズイぜ? 魔物の気配が違う」
「ほう?この迷宮は何階まであるんだ?」
「不明だ。俺達は地下二十一階まで潜ったことがある。さっきアンタが一撃で倒したバティス・キマイラの群れに襲われて撤退したんだ。だが大抵のダンジョンは深くても二十五階程度までのはずだ。あと少しなのは間違いないと思う」
「解った。とにかく慎重に進もう」
慎重と言いながらも、ヴァイスは普通に歩き出した。トマスは舌打ちして、仲間たちに指示を出した。
「密集陣を組め。どこから襲ってくるか判らんぞ」
少し進んだところで、目の前に赤い炎が浮かび上がった。やがてその炎は巨大な魔物の形となった。身長は三メートル以上、赤い肌をし、四本の腕を持ち、頭からは二本の角が生えている。真紅に光る瞳は鋭く、眼の前の人間を威圧していた。
「な、なんだよありゃ」
「ふむ、レッサーデーモンか。コイツは魔獣じゃない。魔物だ。魔石を落とす」
「や、やべぇぞありゃ。あんなの、見たことねぇ! ありゃ、きっと伝説の魔神だぜ」
「いや、魔神じゃない。ただの悪魔だ。お前たちはそこで守備陣を取っておけ。すぐに終わる」
ヴァイスはごく普通の様子で、レッサーデーモンの前に立った。
DODのダンジョンは、それぞれに適正レベルが設定されている。Lv1から始まり、Lv100、Lv200と上がっていき、最大はLv900である。ダンジョンでは階層が下がっていくに連れて出現する魔物のレベルも上がっていく。例えばLv1のダンジョンでは、Lv1からLv99までの魔物が出現する。自身のレベルが上がれば、それだけ下の階層に進むことができるのである。当然、出現するアイテムや素材、入る経験値などは高レベルの魔物ほど良くなる。プレイヤーは時に
「レッサーデーモンか。確かLv180前後だったな。ドロップアイテムは魔石の他に『下級悪魔の血』だったか? どれ……」
ヴァイスは悠然と進み出て「魔眼」を装着した。
===================
Name:レッサーデーモン
Level:212
種族:
最大HP:16424
最大MP:20551
状態異常:無
===================
「レベル二百超えだと?そ んなレッサーデーモンは初めて見たな。トマス! もう少し下がれ。コイツは範囲魔法を使う!」
「グオォォォォォッ!!』 」
レッサーデーモンが雄叫びを上げる。ビリビリと空気が振動する。トマスたちは円形陣を組んだまま数十歩以上離れ、そこで盾を構えた。自分の前に立つ茶髪の人間に向けて、レッサーデーモンは両手から火炎系の攻撃魔法を繰り出した。凄まじい炎が一直線に伸び、ヴァイスを飲み込んだ。
「ヴァイスッ!」
トマスが叫ぶ。だが助けようが無い。放射された炎は自分たちに迫るほどであった。離れている自分ですら、灼熱の温度で肌が焼けそうであった。やがて炎が収まる。トマスたちはおずおず盾の隙間から顔を覗かせた。あれ程の炎に灼かれれば、普通なら黒焦げである。消炭すら残っていないかもしれない。だがトマスは自分の目を疑った。豪炎に飲まれたはずのヴァイスは微動だにせず、そこに佇んでいた。レッサーデーモンも自分の炎が効かないことに首を傾げた。
「グガッ?」
「火炎系のD級魔法『火炎放射』か。やはりDODの魔法と同じだな。残念だがその程度の魔法では俺には効かない』
「ガァァッ!」
再び、炎が繰り出される。今度は壁一面までも飲み込む紅蓮の炎だ。先程のように一直線の放射ではなく、眼の前の対象を燃やし尽くすような炎である。だが煉獄の炎の中で、ヴァイスは平然としていた。
「B級魔法『マナの轟炎』、レッサーデーモンがコイツを使うとはな。魔物全体が強化されているというのは本当のようだ。鬱陶しいな。消させてもらうぞ? 水系魔法『
同じB級の水系魔法により、炎は氷によって包まれた。それまで業炎で焼き尽くされていた壁は、一瞬で凍結してしまった。レッサーデーモンは自分の魔法が全く効かないことが、理解できないようであった。
「魔力無効化空間。B級以下のあらゆる魔法を無効化する
レッサーデーモンは魔法攻撃を諦め、四本の腕で殴りかかってきた。三メートル以上はある巨体からの一撃である。常人であれば吹き飛ばされるだろう。だが拳はヴァイスには届かなかった。顔面の直前で止まってしまう。レッサーデーモンは幾度も殴り掛かるが「見えない壁」に護られているように、ヴァイスの手前で全て止まってしまった。ヴァイスは悠然と剣を抜くと、一瞬で懐に入り、レッサーデーモンを下から上に切り上げた。正中線で綺麗に左右に分かれた。
「ヴァイス! 大丈夫か?」
戦いが終わり、トマスたちが駆け寄ってきた。血溜まりの中に、大きな魔石が転がっていた。
「俺は平気だ。魔石の回収を頼む。その血はレッサーデーモンの血だ。素材なのでそれも回収してくれ」
ガラス瓶一本分の血が集められる。魔石は様々な道具を動かす原動力になる。この大きさなら相当な高値がつくだろう。トマスたちの喜びようを見ながら、ヴァイスは小さく呟いた。
「レベル二百超えのレッサーデーモンか。となればダンジョンマスターは……」
ヴァイスたちは再び、下層を目指し始めた。
地下二十四階でダンジョンの雰囲気が再び変わった。これまでのような岩肌ではなく、整備された石畳のようであった。トマスが唾を飲み込んだ。
「ヴァイス、ここが最下層だ。俺たちもダンジョンを一つ攻略しているが、その時に見た最下層と同じだ。こんな石畳があって、一本道の先に扉がある。その先にダンジョンマスターがいる」
「二十一層でレッサーデーモン、二十三層でアークデーモンだった。となれば最下層は……」
「予想できるのか?」
「あぁ。扉には俺一人で入る。トマスたちは待っていろ。俺の予想通りなら、チョイと激しい戦いになる」
「これまで全部一撃で屠ってきたアンタが、激しい戦いって言うのかよ。どんな相手だよ?」
「上位悪魔だろうな。恐らく……」
やがて石造りの扉の前に立つ。扉から言い様のない気配が漂っていた。まるで漆黒の瘴気が漏れ出ているようである。ヴァイスは感心したように顎を撫でた。
「DODではこうした『気配』までは再現されていないからな。こういうのって、本当にあるんだな」
だがトマスたちは額から汗を流し、膝をガクガクと震わせていた。トマスたちだって、帝国内でもそれなりに知られるベテランの冒険者たちである。大規模な野盗討伐に参加し、命を懸けたこともある。巨大化した凶暴な魔獣を討伐したこともある。今はまだ
だがそんな彼らでも、これほど圧倒的で絶望的な気配と対峙したことはない。腰を抜かさなかったのは、目の前に涼しい顔をした男がいてくれるからだ。自分たちだけなら、とっくに逃げ出している。
「ヴァイス、ヤバイぜこりゃ…… いくらアンタでもこの敵はヤバイ。撤収したほうが良いぜ」
「心配するな。激しい戦いとは言ったが、勝てないとは言っていない。ここで待っていてくれ。そうだな。まぁ五分もあれば終わるだろう」
そう告げると、ヴァイスは扉を押し開いた。向こう側は漆黒の暗闇であった。迷うこと無く、ヴァイスは足を踏み入れた。重い扉が音を立てて閉まった。
漆黒の闇の中に、ヴァイスは立った。背後の扉が閉まると左右に青い炎が灯った。それは壁に沿うように手前から奥に順番に灯っていき、やがて部屋の全体像が現れた。部屋はかなり広かった。縦横は五十メートル以上あり、天井も三十メートルくらいの高さになっている。そして部屋の中央に、一体の悪魔が鎮座していた。ヴァイスは魔眼を装着して確認した。
「フンッ。やはり『グレーターデーモン』か……」
===================
Name:グレーターデーモン
Level:507
種族:
最大HP:50179
最大MP:47750
状態異常:無
===================
Lv500超え、つまり自分にダメージを与え得るレベルである。この世界に来て初めての「闘い」に、ヴァイスは思わず、口元に笑みを浮かべた。
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