第11話 井戸から出てくる

 私の家には井戸があります。今ではその井戸は金魚の水槽代わりに使われています。これは金魚に餌をあげてた時のお話です。


 「今日は私が金魚にえさすぉ上げる係だからね!」


 「わかってるよ!」


 妹と私はこんな会話をしながら金魚がいる井戸に歩いていきました。井戸を覗くと金魚がすごい勢いで集まってきました。よほど餌が欲しかったのでしょうね。


 「はい!餌だよ!」


 そういって私は金魚に餌をあげました。しばらく金魚の様子を見るために井戸を覗いているとゆらゆらと水面が揺れるんですよ。最初は風のせいで水面が揺れているのかと思ったのですがその日は晴天。風が吹いたらおかしいんです。しかもその水面の揺れ方が恥から真ん中に向けて揺れているような感じがするんですよ。


 「何かいる?」


 金魚がそこにもぐってしまったのが少し気になりよく覗いてみるとゆらゆらと揺れてた水面の中か一匹の金魚が浮いてきました。でも明らかに私の家で飼っていた金魚とはちがうんです。私の家で出目金は飼っていないんですよ。すると出目金は私達に口を開けて餌をくれといっているんですよ。もちろん口パクでですよ。


 「こんな金魚いたっけ?」


 「いや、お母さんもお父さんも金魚すくいなんてしたことないからお姉やんしか金魚すくいしないでしょ。」


 私は金魚すくいが本当に得意なんですよ。それでも私は絶対に出目金はすくっていないんです。


 次の日行くとその出目金はいくら見てもいなかったんです。


 一体あの出目金は何だったのでしょう。でも一つ・・・。出目金のしっぽが井戸のふちについていました・・・。刻まれたみたいに細かく・・・。


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