第23話 屋敷へ

「結局、静柰さんには連絡が取れなかった」

 一弥はそう漏らすと雲ひとつ無い満点の星の下で屋敷に走っていった。

 門は開け放たれそのまま迎賓館へ向かうと血まみれの床の下にあの青年が倒れていた。

 彼には右腕が肩から下が綺麗に切り取られていた。

「おい。君、大丈夫か」

 何度も身体を揺さぶって起こそうとする。

「はぁはぁ――やっぱり貴方は面白いな、普通は自分の仲間の心配をするものですよ」

「よかった。気がついたのか」

「ええ、貴方の声は良く響きます。彼女は雨宮玲奈さんと言いましたね」

「玲奈が来たのか?」

「ええ、御陰でこの様ですが」

「玲奈が何所に行ったのか知っているのか?」

「知ってます。たぶん、当主の間でしょう」

「何所にあるんだ」

「教えても良いんですが。僕も連れて行ってくださいお願いします」

「わかった。連れて行くから立ってくれ」

「――では参りましょう」

 一弥は那由他に肩を貸してゆっくりと進んでいった。

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