第8話 和解
「君が看病してくれたのか?」
「まず、謝らせてくれ。初めは腕試しだったんだ。だけどいつの間にか本気になってた。だから、君を傷つけてしまった。本当にすまない」
「良いんだ。気にしないで欲しい。僕もいつの間にか本気だったから」
「だが、君は得物を使わなかった。だけど、あたしの本能は貴方の攻撃で殺されると勘違いしたらしい。だから、あんな奥の手が出てしまった」
「そうでもないよ。本当はこの拳の方が本気でね。これが奥の手なんだ」
「ふふッ。君は嘘が下手だな。だが、そういう思いやりは嫌いじゃない。でも、それが本当ならいい。殺す気で来てくれたのなら、本気で死合った事に成るなら、わたしも少しは気持ちが晴れる」
「でも結果は負けちゃったけどね」
「それは違う。自分にあんな能力が備わっているなんて思いもよらなかった。丸裸にされたのは、あたしの方。君の奥の手はまだ先があるんだろう?」
「そうでもない。確かに流派としての業はまだ上があるけどね。ここからは親父の領分さ」
「ああ、確かに。それでも君は充分に強い」
玲奈は一弥の瞳を見つめながら微笑んだ。
「あ、そうだ、きみの親父殿に『まもりと』をするように言われたから、あと一ヶ月は、あたしが君の盾になるよ」
「盾とかは必要ないかもね。もう体調はだいぶ良くなったんだ」
「それなら明日からリハビリを手伝おう。宜しく一弥さん」
「一弥で良いよ。同い年だからさ」
「なるほど。なら、あたしも玲奈と呼んで欲しい」
そう玲奈は微笑むと一弥は気恥ずかしいのか寝返りを打って後ろを向いてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます