第4話 体力測定でも眠りたい

「休みたい……」

「ねむりーん、苦手なのは知ってるけど流石に全部サボるのはまずいよー」


 体操服に身を包んだ私とモモちゃんはグラウンドに出て、炎天下に晒されていた。

 いやまだ暦の上では春なのになんで30度近いんだろうね。


「小清水さん!こんなところで横になってまた居眠りするつもり!」

「あ、東さんも休みたいよねぇ」

「そんなことはありません、それよりもクラス委員に私がなった以上はしっかり体力測定、してもらいますからね!」


 この子は東京子あずまきょうこちゃん、すごく真面目で事あるごとに私に対してなぜかよく絡んでくる。

 そんなに怒鳴っても無駄に体力を使うだけなのに……。


「おーい!3人して何やってんだー」

「もう、三嶋さんも言ってよ。小清水さんったらまた居眠りするつもりなのよ」

「えーこんないい天気なのにもったいないぞ!」


 うるさいのが来ちゃった……。

 この子は三嶋佐香子ちゃん、とにかく運動が好きな子で、私とは正反対みたいな感じ……いや体力が尽きた後の眠りっぷりは見事だけど。


「って小清水さんだったのかー、だったら仕方ないな!」

「仕方なくない!はぁ……先生は私に丸なげしてきたし、一体どうしろって言うのよ……」

「ねぇねむりん、東さん困ってるみたいだしさ……」


 モモちゃんの言うこともわかる。


「……わかったよ、とりあえず体力測定、何があったっけ?」

「持久走」

「寝る」

「わー!他にもあるからね!ほら、ソフトボール投げとか!」


 持久走が一番苦手なのは確かだけど、それ以外に得意な運動が何一つ存在しない私にとってはどれも似たようなものなのだけれど……これ以上他の人に余計な迷惑をかけるのも不本意。

 私は重い腰を上げて仕方なくこう言った。


「上体反らしとかからで、いいかな」

「結局寝てるやないかーい!」


 佐香子ちゃんの見事なツッコミのおかげ?で場の空気が和んだところで私たちは皆で体育館へと向かったのであった。

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