第12.1話

●第12.1話



 みんなで、たくさんのお料理を食べた後、イエイヌちゃんが出したお茶をみんなで飲んでいました。


「美味しいよ、イエイヌ」

「いい味だね。お茶の美味しさを引き出せてるよ」


 キュルルちゃんとかばんさんはイエイヌちゃんに言いました。

 他のフレンズからも好評です。


「いやあ、褒めてもらえて嬉しいです! おかわりまだまだありますよ」


 イエイヌちゃんもご機嫌です。

 そうして、少し時間が過ぎて、アルマーちゃんが言いました。


「みんなで、サッカーしよ!」


 アルマーちゃんは大のサッカー好きです。

 サッカーを知らないフレンズがいたので、ルールをみんなに説明しました。

 みんな、「やろう!」と息巻いてます。


「よーし! 負けなんだから!

 ……イエイヌちゃん? どうしたの? 眠たいの?」


 サーバルちゃんは、イエイヌちゃんがすごく眠たそうにしているのに気が付きました。

 目が半開きで、大きなあくびをしていました。


「もうほとんど意識ないわね」


 カラカルちゃんがその様子を見て言いました。

 キュルルちゃんは、イエイヌちゃんの肩を支えて、


「僕が、イエイヌを休ませるから、みんな気にしないで遊んできて」


 といいました。

 みんながサッカーするところの近くの木陰まで、キュルルちゃんはイエイヌちゃんを運びました。

 イエイヌちゃんは、キュルルちゃんの膝の上で、ぐーすか眠っていました。


「あったかい……」


 膝から、イエイヌちゃんの体温を感じて、ついつい、そうつぶやいていました。


「ふわぁ……」


 キュルルも夜はあまり眠れていなかったので、とても眠たくなりました。

 そして、サッカーの試合が始まる頃には、二人して眠りにつきました。


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夢の世界

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「待て待てー! ガブっ」

「ナイスキャッチ!」


 イエイヌちゃんとキュルルちゃんはフリスビーを投げて遊んでいました。

 しかし、何者かが、横から入って――


「もーらい!」

「あ!」


 フリスビーを取っていきました。

 犯人はサーバルちゃんです。そして、その横にカラカルちゃんもいます。


「じゃあこのフリスビー、もらってくね!」

「返してほしいなら、私達に追いついて見なさい!」


 そう言って、離れて行きました。

 イエイヌちゃんは言いました。


「追いかけて取り返しましょう!」

「うん!」


 こうして、二人の冒険が始まりました。



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パンのロバヤ

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 ロバちゃんはジャパリパークで、食べ物を売っていました。


「お手製のパンはいかがですか?

 おすすめは、ジャパリコロネですよ」

「それを二つください」


 イエイヌちゃんはそう言って、ジャパリコロネを買いました。

 キュルルちゃんは、ジャパリコロネをじっと見たあと、とある質問をしました。


「ジャパリコロネとチョココロネって何が違うの?」

「え……? チョココロネってなんですか?」


 ロバちゃんはチョココロネがわからないようです。


「じゃあ、ジャパリコロネの中に入ってる黒いクリームって、チョコなんだよね」

「クリームの名前ですか……一体何なんでしょうね……?」

「……」


 食べたらチョコ味だったので、チョコに違いありません。多分……



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サバンナ

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「さあ一列に並んでください! 私が案内します」


 カルガモちゃんはキュルルちゃんとイエイヌちゃんを一列に並ばせてから移動します。


「私こういうの好きです」


 イエイヌちゃんは団体行動が好きなようです。


「カルガモさん、さあ次は何をすればいいですか? どうすればいいですか? 何でも言ってください! 私は何だってします!」


 好きすぎて、暴走してます。

 カルガモちゃんは言いました。


「周りには危険がいっぱいですからね……

 まず、耳をすまして、周囲の音を確認します」


 みんなで耳をすませました。


「次に、目を閉じて、匂いに意識を集中します」


 みんなでクンカクンカします。


「最後に遠くを見渡して――」

「いやもう先に行こうよ……」


 キュルルちゃんは言いました。

 そんな中、イエイヌちゃんはみんなにいいました。


「あっ、進む先に小さな溝が有ります!」

「それは危険ですね。迂回路を探しましょう」


 キュルルちゃんは、「これじゃ日が暮れる……」とぼやきながら、みんなで行進しました。



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アズア園

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「すぅ……すぅ……」


 ジャイアントパンダちゃんが寝息をたてながら眠っています。

 キュルルちゃんとイエイヌちゃんとレッサーパンダちゃんの三人はその光景を見ています。


「なんか気持ちよさそうですね……」


 イエイヌちゃんは、ジャイアントパンダちゃんの横に寝そべりました。


「すぅ……」


 ジャイアントパンダちゃんとイエイヌちゃんが寝息をたてながら眠っています。


「僕もなんか歩き疲れたよ……」


 キュルルちゃんは、ジャイアントパンダちゃんの横に寝そべりました。


「すぅ……」


 ジャイアントパンダちゃんとイエイヌちゃんとキュルルちゃんが寝息をたてながら眠っています。


「わ、私も仲間に入れてください!」


 レッサーパンダちゃんは、ジャイアントパンダちゃんの横に寝そべりました。


「すぅ……」


 ジャイアントパンダちゃんとイエイヌちゃんとキュルルちゃんとレッサーパンダちゃんの四人は仲良くお昼寝しましたとさ……



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~~~~~~~~~~~~~~~~



「さあ早く!」

「私達にご褒美をください」


 バンドウイルカちゃんとカリフォルニアアシカちゃんに、道案内を頼んだら、海の上で突然ご褒美をねだられました。

 キュルルちゃんと、イエイヌちゃんは何も持っていません。

 どうしようか、とキュルルちゃんはつぶやくと、イエイヌちゃんがこう答えました。


「よしよしです。この世によしよし以上のご褒美なんてありません」

「な、なるほど」


 キュルルちゃんは、バンドウイルカちゃんとカリフォルニアアシカちゃんの頭をよしよしと言いながらなでました。


「えへへ……なんだか嬉しいな!」

「あぁ~なかなか悪くないですね」


 そうしてご褒美を求める二人から開放され、陸地に上がりました。


「キュルルさん!」

「イエイヌどうしたの?」

「私にもご褒美を!」


 イエイヌちゃんは期待の目で、キュルルちゃんを見つめています。

 キュルルちゃんは、イエイヌちゃんの頭に手を当てて……


「よ~~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし……」


 イエイヌちゃんは悶え死にました。



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洞窟

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 アードウルフちゃんが住む洞窟に、キュルルちゃん、イエイヌちゃん、アリツカゲラちゃん、そしてアードウルフちゃんがいます。

 アードウルフちゃんはみんなに相談しました。


「この洞窟の奥なのですが、何か時々変な声が聞こえるんです」

「そうですか……誰も住んでないことを確認してたはずなのですが」


 洞窟の奥に何者かがいるのかもしれません。

 声が聞こえるところまで、来ました。

 どうやら、岩陰の奥にいる気配がします。


「僕がこっそり覗いてみるね」


 キュルルちゃんはそう言って、隠れながら奥を見ました。


「!!?」


 なんとそこにいたのは、海賊、メキシカン、ゲリラコマンドのラッキービーストです。


「ふぅー仕事終わりのテキーラは最高だぜ」

「ふん、アルコールの大量摂取など、軍人にはもっての外だ」


 メキシカンラッキーさんに、ゲリラコマンドラッキーさんは注意しました。


「まあまあせっかくの宴だ、仲良く行こうぜぇ」


 海賊ラッキーさんが懐から出したのは、追加の酒瓶とジャパリまんです。


「いいねぇ! 海賊のあんちゃん!」

「ふん! 海賊の宴もまあ悪くない」

「それじゃあいつもの……」


 三人は呼吸を合わせて……


「「「宴だーーーーーー!」」」

ドン!!


 そう言って、ジャパリまんをムシャムシャ食べています。


「……」


 その様子を見ていたキュルルちゃんはすっと振り返りました。

 アードウルフちゃんはキュルルちゃんに尋ねました。


「何がありました……?」

「見ないほうがいいよ」

「え?」

「大丈夫、きっと何も問題ないよ」

「何を見たんですか?! 気になってここに住めませんよ!」



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森林

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「こんばんわ」


 キュルルちゃんたちの背後から、突然声をかけられました。

 その声をかけたフレンズは、太い木の枝に、足をかけて、逆立ちの姿勢をしていました。


「ナミチスイコウモリ!」

「キヒヒ……お久しぶりね」


 以前会ったとき、ナミチスイコウモリちゃんから食事に誘われましたが、怪しげな雰囲気を出していたので、その申し出を断ったことがありました。


「私、今から【飲み】に行こうかと思ってたんだ」

「飲み……」


(もしかして、血を……)


 頭によぎる不安を振り払い、キュルルちゃんは言いました。


「それって、水かな……」

「違うわ……

 それは、とても甘美で、刺激的で、喉を潤す……」

「ゴクリ……」


 キュルルちゃんは緊張しています。

 イエイヌちゃんも構えを取っています。


「そう、それはジャパリソーダよ」

「……」


 三人で仲良くジャパリソーダを飲みました。



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密林

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 土俵の上にいるのは、ゴリラさんとイエイヌちゃんです。


「見合って見合って、はっけよーい、のこった!」


 イエイヌちゃんは「があああああ」と力強い声を出して、ゴリラさんにぶつかりました。しかし――


「な?!」

「これじゃあびくともしないな」


 イエイヌちゃんの押し出しに、ゴリラさんは石像のように微動だにしません。

 そのまま横に払われて、イエイヌちゃんは負けました。


「まいりました……」


 外野のヒョウちゃん、クロヒョウちゃん、イリエワニちゃん、メガネカイマンちゃんは、「どんまい! イリエワニ相手なら勝てとったで」「ええ声で出たで!」「ヒョウとならいい勝負できたぞ」「ええ戦いですやん」と励ましの声援が送られました。

 ――ヒョウちゃんとイリエワニちゃんは言い合いになりましたが……


「どうすれば、ゴリラさんのように強くなれますか?」


 イエイヌちゃんはゴリラさんに尋ねました。


「そうだな、まずは体の土台……つまり足腰を鍛えるんだ」

「足腰……分かりました!」


 イエイヌちゃんはキュルルちゃんに背中を向けて、言いました。


「これから私は、キュルルさんをおんぶしながら移動します」

「ええ……途中でへばらないでね」


 キュルルちゃんをおんぶしたイエイヌちゃんは、次の場所を目指して歩きました。



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研究所

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「さあ私達に最高の料理をだすのです」

「美味しい物が食べたいのです」


 そうして博士たちの無茶振りから始まった、美味しいと言わせたら勝ちのお料理勝負に参加しました。


「出来たよ」

「出来ました」


 キュルルちゃんとイエイヌちゃんの合作です。

 スープ用の皿に入れて、博士と助手とかばんさんに出しました。


「これは何なのです?」

「クリームシチューだよ」


 ふむふむと、料理を見て、匂いを嗅いで、スプーンですくい上げました。


「匂いと見た目は合格なのです」

「それではいただくなのです」

「それじゃあ僕も、いただきます」


 口につけると……


「これは違いますね」

「これは料理ではありません」

「え?!」


(味見もしたはずなのに……何がだめだったんだろう?)


 ところが、博士と助手も次々と口にシチューを運んで、完食しました。


「意外と悪くなかったのです」

「こんな料理は初めてです」

「……」


 キュルルちゃんはかばんさんに、尋ねました。


「普段どんな料理を食べてるんですか?」

「ええと、カレーとチゲ鍋と麻婆豆腐とトムヤンクンと……」

「全部辛いやつ!!」


 辛くない料理は初めてだそうです。



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乾いた大地

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「両者、位置について」


 スタートラインにいるのは、イエイヌちゃんとロードランナーちゃんです。


「よーいどん!」


 両者、一斉にとびだしました。

 ロードランナーちゃんは、空を飛ぶこと無く、地面を走っています。

 両者、走る速度がほぼ互角なのか、接戦を繰り広げていました。


「イエイヌ! 頑張れ!」


 キュルルちゃんは叫びました。


「ファイトだ! ロードランナー!」


 プロングホーンちゃんも叫びました。


「私には及ばないけど、まあまあやるじゃない」


 チーターちゃんは、二人の走りを見て、感心してました。


 ――キュルルさんが私を応援してくれてる!

 イエイヌちゃんはキュルルちゃんの声援を聞いて、力が湧いてきます。


 ――プロングホーン様が私を見てくれてる!

 ロードランナーちゃんはプロングホーンちゃんの声援を聞いて、力が湧いてきます。


「「うおおおおおおおおおお!」」


 両者共に、スピードが上がっています。

 そして――


「ゴール! 結果は同着!」


 走り終わった二人は、お互いに手を取り合っていいました。


「お前、なかなかやるじゃないか」

「最高の走りでした! またかけっこしましょう!」


 イエイヌちゃんとロードランナーちゃんは、ズッ友になりました。



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ライブ会場

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 部屋には、プリンセスちゃん、コウテイちゃん、ジェーンちゃん、イワビーちゃん、パフィンちゃん、センちゃん、アルマーちゃんの計七名と、たぬきちゃんとフルルちゃんの二体の死体が地面に横たわっています。

 緊迫した空気の中、センちゃんが全員の前で宣言しました。


「犯人は、この中にいます」


 全員に戦慄が走りました。

 コウテイちゃんが、センちゃんにいいます。


「最初から言ってるだろう! 犯人は私だ!」

「それはありえません。すでにあなたのアリバイは立証済みです。あなたは完全にシロです」


 探偵のコンビの片割れのアルマーちゃんは「あっ」と閃いて言いました。


「センちゃん、犯人はきっとプリンセスだよね?」


 アルマーちゃんは現場に落ちていた髪の毛を拾い上げて、プリンセスちゃんの髪の毛を持ち上げて比較しました。


「ほら、いっしょ」

「ちょっと……! 私が犯人なわけないじゃない!」


 イワビーちゃんとジェーンがプリンセスちゃんを擁護します。


「プリンセスなわけねーだろ!」

「私達が、フルルやたぬきさんにあんなこと……」


 センちゃんが、「まあ落ち着いてください」と、場を鎮めました。


「いい推測ですが、間違っています。

 犯人は……」


 センちゃんの指が、ある人物を指し示しました。


「パフィンさん、あなたです」


ババーン


 と効果音がなりました。

 会場の席で、キュルルちゃんとイエイヌちゃんとマーゲイちゃんが演劇を見ています。


「どうですか? 今回の演劇は?」

「すごく面白い……」

「はい! ワクワクします!」


 ライブ会場では、本格推理を題材にした演劇が行われています。


「芝居の後には、楽しいペパプのライブがありますので、最後まで楽しんでください!」

「題材との落差激しくない?!」


 誰か死ぬ話だよ、と思ったキュルルちゃんは、舞台に目を向け直してみました。

 すると、舞台は衝撃の展開を迎えていました。

 死体だったはずのたぬきちゃんとフルルちゃんが起き上がったのです。


「あーバレちゃいましたね」

「ふわぁ、よく寝た……」


 パフィンちゃんは全員に謝りました。


「ごめんね~二人には死んだふりしてもらってたんだ!」


 偽装殺人というオチでした。



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ジャパリホテル前

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 オオミミギツネちゃん、ハブちゃん、ブタちゃんは、今日はホテルではなく、海岸にいました。

 どうやら、休憩中のようです。

 オオミミギツネちゃんは、ペパプの曲を口ずさみながら、日光浴してます。

 そして、ハブちゃんは浅瀬で水と戯れています。


「ブタはどうしてホテルで働いてるの?」


 キュルルちゃんは尋ねました。


「それは、一言で言えば、私が綺麗好きだからです」


 ブタちゃんが説明してくれました。


「ホテルを掃除をするのが楽しいからってのもあるんですけど、オオミミギツネさんとハブさんを見てるだけでもたまらないんです!」

「た……たまらない?」

「はい! オオミミギツネさんって、少女みたいじゃないですか?

 大きな夢をもってて、アイドルが好きで……彼女は心が綺麗なんですよ!

 そして、ハブさんはひょうきんで、少々自分勝手なところもあるんですが……実は、誰かに感謝するときのハブちゃんは屈託のない、心からの笑顔を見せるんですよ!

 純粋無垢な綺麗さですよね!」


 ブタちゃんの綺麗好きは対象を選ばないようです。



~~~~~~~~~~~~~~~~

ジャパリホテル リョコウバトの部屋

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「アテンションプリーズ。

 ハブ様、本日のランチは肉と魚のどちらがよろしいですか?」


 ――肉が食べたいなあ


「かしこまりました。それではすぐにお持ちいたします」


 ――なあ姉ちゃん、着陸したら、わいと降りないか?


「ハブ様、それはどういう」


 ――わいは、お前さんと旅にでたいんや


「まあ! 嬉しいお誘いですわ!」


 じっと、キュルルちゃんとイエイヌちゃんは、リョコウバトさんの部屋を覗いていました。

 イエイヌちゃんはキュルルちゃんに尋ねました。


「リョコウバトさん、ハブさんのぬいぐるみに話しかけていますが、どうしたんですかね?」

「……まあ、そっとしておこうよ」


 キュルルちゃんとイエイヌちゃんはリョコウバトの部屋を後にしました。



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ダンスホール

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 カンザシちゃんとカタカケちゃんが、二人手を繋いでダンスをしています。

 その素晴らしい舞に、キュルルちゃんとイエイヌちゃんは見惚れました。


「どうだ私達のダンスは?」

「うん、すごく良かったよ!」


 そういうキュルルちゃんに、彼女たちは言いました。


「ちなみにこれは求愛のダンスだ」

「え!?」


 キュルルちゃんは突然の告白に驚きましたが、イエイヌちゃんは、「求愛?」と疑問符を浮かべています。

 イエイヌちゃんに対して、彼女たちは言いました。


「求愛というのは、好きな相手や一緒にいたい相手に」

「好きと伝えることなんだ」

「好き……分かりました!」


 イエイヌちゃんは、キュルルちゃんの方を向いていいました。


「キュルルさん、大好きです!!」

「ええ!?」


 イエイヌちゃんから大胆なプロポーズを受けました。


「あらあら、熱い求愛じゃないか」

「返事はどうするんだキュルル」


 ――あれ?

 ――イエイヌって恥ずかしがりやじゃなかったっけ?


 一瞬頭によぎる考えを振り払って、キュルルちゃんは返事を返しました。


「イエイヌ、僕もイエイヌが大好きだ」

「はい!」


 こうして、二人は抱きしめ合いました。



~~~~~~~~~~~~~~~~

マジックショー会場

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「今日のマジックショーは中止だ」


 舞台に上がったアムールトラの一言に、会場は騒然となります。


「どうしたんだよアムールトラ?」


 見物していたキュルルちゃんはアムールトラに尋ねました。


「じつはだな……マジック以外に私を魅惑する素晴らしいものがあることを知ったんだ」

「素晴らしいもの……?」

「というわけでみんな、これから紙飛行機大会を開く」


 ルールは簡単、参加者みんなで紙飛行機を折って、それをみんな同時に投げて距離を競い合うのです。

 会場のフレンズたちも集まって、「わーいやるやる」「楽しそうね」「あらいさんもやるのだ」「私もやってみよー」とはしゃいでいます。

 そして、みんなで作り終わって、線に並びました。


「位置についたな 三、ニ、一、ゼロ!」


 そうして、紙飛行機の大群が一斉に飛び立ちました。

 ほとんどの紙飛行機は、十メートルも行かないところで落ちましたが、三つの紙飛行機が、飛び続けていました。

 一つはキュルルちゃんので、もう一つはアムールトラちゃんのでした。

 しかし――


「あ」

「ちぃ、私の負けか」


 キュルルちゃんのとアムールトラちゃんの二つは同じところで落ちてしまいました。

 残った最後の一つが一番です。


「やったー! 私の勝ち!」

「ああ!」


 なんと、フリスビーを取っていった、サーバルちゃんが一番でした。


「返してください! 私達のフリスビー!」


 イエイヌちゃんが言いました。

 すると、サーバルちゃんはなんと、とんでもない提案を言いました。


「私とカラカルに、戦って勝てたら返すね」

「ふん! 勝てるものなら勝ってみなさい」


(サーバルとカラカルに勝つ……?)


 キュルルちゃんもイエイヌちゃんも、ビーストとの戦いで、十二分に二人の強さを知っています。

 キュルルちゃんは言いました。


「二人に勝てるわけ無いじゃん!

 とゆうかなんで二人共そんなに強いんだよ?」


 その質問にサーバルちゃんは衝撃の答えを返しました。


「爪でひっかくのやめて、グーパンにしたからだよ!」

「うそ!?」


 キュルルちゃんは驚きました。

 カラカルが言いました。


「ええ嘘よ」

「嘘なの?!」


 キュルルちゃんが突っ込みました

 サーバルちゃんが言いました。


「んもー嘘じゃないよ」

「どっち?!」


 キュルルちゃんは混乱しています。

 サーバルちゃんとカラカルちゃんは言いました。


「「嘘だよ!」」

「だからどっちだよー!」

「「どうも、三人合わせて、サーカラルルの漫才トリオでした!」」

「わけわからんわい」


 キュルルちゃんは関西弁になりました。

 それを見たイエイヌちゃんはわなわなと、怒りの炎が燃え上がりました。


「許せません! キュルルさんを横取りして!」

「そっち?!」


 イエイヌちゃんが戦闘の構えを取りました。


「ふっふっふー私達に勝てるかな?」

「イエイヌはビーストにボコられてたじゃない」

「私は、これまでの私とは違います……キュルルさんとの旅で、いろんなフレンズたちに出会いました」


 ――ゴリラさんとの努力

 ――ロードランナーとの友情

 ――そして、この戦いで勝利を!


「いきます!」

「さあかかってこい!」


 イエイヌちゃんの口から、閃光が走りました。


「イエイヌビーム!!」

「「きゃああああああああああ!!!」」


 サーバルちゃんとカラカルちゃんは倒されました!

 イエイヌちゃんの大勝利です!


「さあこれで、フリスビーを取り戻しましたね」

「……うんそうだね」


 イエイヌちゃんは天使のような笑顔で――


「フリスビーで遊びましょう!」

「……うん!」


 そうして、二人で、遊び続けました――


「わーん! アライさんの紙飛行機が最下位だったのだー!」

「あらまー、次はもっと綺麗に折ったらいいんじゃないかな」

「く……私の紙飛行機愛じゃあまだまだか……修行の旅に出ないと……」


――そう言えば紙飛行機大会の会場でした。ここは。



~~~~~~~~~~~~~~~~

現実

~~~~~~~~~~~~~~~~



 キュルルちゃんとイエイヌちゃんは、目が覚めました。


「う、ふわぁ」

「あ、おはようございます……」


 キュルルちゃんはイエイヌちゃんに言いました。


「なんかすごい変な夢見たよ」

「そうなんですか? 私の夢はすごく楽しかったですよ!」


 起きた二人を誰か遠くから呼んでます。


「あ、二人共起きたんだ!」

「サーバル」


 サーバルちゃんは二人に言いました。


「まだサッカーやってるけど、参加する?」


 すると、イエイヌちゃんが驚く返答をしました。


「参加します。けど、サーバルさんとカラカルさんとは敵チームでお願いします」

「ええ! どうして?」


 サーバルちゃんは驚きました。


「私は気が付きました。これから先、キュルルさんを守るため、サーバルさんとカラカルさん以上に強くないといけないんです!」


 イエイヌちゃんの決心を聞いたフレンズたちがみんな集まってきました。


「ええな! じゃあうちはイエイヌのチームに入るで。

 サーバルに負けっぱなしなのは性に合わんわ」

「私はあの時より強くなった……勝負しろサーバル!」


 イエイヌちゃんに同調したのはヒョウちゃんとイリエワニちゃんでした。

 更に――


「ここで、サーバルちゃん倒したらさ、姉ちゃんたちより、うちらの方がつええちゅうとになるんやない?」

「ここは、私達、妹の力を合わせてサーバルを打倒しましょう」


 クロヒョウちゃんとメガネカイマンちゃんも、燃えています。


「ええ~! どうしようカラカル!」

「サーバル、全てあんたに任せたわ」

「うそ~!」


 打倒!サーバルチームの完成です。

 フレンズたちみんな、イエイヌちゃんたちを注目しました。


「……?」


 キュルルちゃんは、イエイヌちゃんの様子が少しおかしいことに気が付きました。


「イエイヌ、顔を赤くしてどうしたの?」

「いやぁ……」


 イエイヌちゃんは困った笑顔で言いました。


「なんだかみんなに注目されて、緊張してしまいました……」


 その言葉を聞いたキュルルちゃんは、今までイエイヌちゃんに感じていた違和感がなくなりました。


 ――ああ

 ――イエイヌは何も変わっていない

 ――前の記憶は無いけど……

 ――あのときのイエイヌのままだ!


「ぷ……あはは!」

「ええ~! 笑わないでくださいよー」


 キュルルちゃんは気が済むまで、笑うのをやめませんでした。



●12.1話 完


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