一 がんばらない言い訳を考えてばかりの人生
がんばらない言い訳を考えてばかりの人生だ。
がんばろうとしなくなったのは、何故だっただろうか。何かに挑戦しようとしても、すぐに諦めてしまうようになったのは、何が原因だっただろうか。
過去を振り返ろうとすると、胸が鷲掴みにされるように痛んで、激しい自己嫌悪に陥る。
小学校の帰り、私はいつものように秘密の庭に訪れた。
私は何故だか同級生と馴染めない。いつも、ガラスの板で隔たれているような感覚がある。
友達が欲しくないわけじゃない。でも、他の子とはまるで生物としての種類が違うのではないかと思うことがある。
この庭は、そんな私の唯一の心の拠り所だ。
友達がほしいなら、自分を変える努力をするように言う人もいる。でも、私の周りの子達は、ありのまま、自然に友達を作っている。でも、私はありのままでは誰とも仲良くなれない。私は自分が真面目な人間だと思っているし、まともだとも思っているけれど、他の人の目にはそうは映らないのだそうだ。
どうすればいいのだろう?
大人はただ叱りつけるばかりで、具体的にどうすればいいのかなんて教えてくれない。
「君も、この庭が好きなんだね」
さっきまではいなかったはずの、知らない男の子が、いつの間にかそこにいた。
その子のすぐ前の木には、奇妙な水色の果実が成っていた。
彼も私と同じ。この庭に含まれているのだ。
「僕達はよく似ているね。きっと、友達になれる」
不思議な懐かしさ。初対面のはずなのに、ずっと前から知っていたような気がする。
私達は握手を交わした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます