第2話 日常 1
新学期開始から2週間ほどたった日の午後
五時間目
昼休みが終わって一発目の授業。
科目は理科。
担当は
僕──
なぜなら基本的に怒らないからだ。怒鳴らないではなく怒らないである。注意ですらやんわりとしかしない。
この先生、血圧が高過ぎて怒るとマジで血管が破裂する危険があるので自ら自重している。(この先生が怒るときは
なので時々、今のような悲惨な状況になる。
今の状況を説明すると、
クラスの3分の1が机に突っ伏して、もう3分の1は座った体勢のまま下向いて動かず、残りの3分の1はノートに絵を描いたり、こそこそパンを食べたり、筋トレしたりしていて、真面目に授業を受けているのは3~4人程しかおらず、私立の進学校(自称)だとは思えない醜態だ。
これでテストが物凄く悪ければ少しは先生もスカッとするだろうが、しっかり点数をとっていて逆にストレスがたまる一方で、本気で死なないか心配だ。
授業の終了時間が迫ってくると寝ている連中がまるでアラームをセットしていたようにいっせいに起き出し、何やらごそごそしていた
筋トレボーイズは先生の目を盗んで続行中。結構な速さで腕立て伏せやら腹筋やら寝転んでやる系のをしている。良くできよな~二重の意味で。
そろそろ止めないと流石のタコ焼きでも注意ぐらいするぞ?
授業中に筋トレとか何考えてんだ!?と思うかも知れないがこのクラスではさほど珍しい事ではない。かといって全く気にならない訳でわない。むしろめっちゃ気になる。座っている席の近くでやっているから尚更だ。
「おい、そこ何しとるんや~」
気の抜けるようなホワホワした声色で、タコ焼きがやっと注意の声をあげた。
黒板の方を向いて腹筋をしていた最中だったので、ちょうど目があっている。チラッと横目で主犯の顔をみると、半笑いだった。
あっ、これなめてる。 絶対なめてる! なめきってる!!
面白がってクスクス笑ってた奴らはついに来たかと声が大きくなる。
「おい!何笑とんのや!」
怒号に若干のハリとキレが出てきていたがそんなもん誤差みたいなもんで、笑い声が収まる様子が全くない。
「おい、ほんでお前は何しとったんや?
ほんの少しだけドスの効いた声で主犯の彼、菊川を問い詰める。
身長は小さめで小柄な体つき。でもしっかりと筋肉がついており、腹筋もわれている。クラスでもそういうキャラで知られている。どちらかというとパワータイプではなくスピードタイプというと風貌だ。厚底こ黒ぶち眼鏡をかけていて、そこだけ見れば普通の生徒だが、その奥の退屈そうな目と鍛えた肉体を見ればそうではないと分かるはずだ。
そんな 典型的なヤンチャボーイが口を開く
「えっ、いや、ただ消しゴム拾ってただけですよ。」
絶対にそうじゃなかっただろう。
目があったときおもいっきり座ってたやん
そんな言い訳通じる訳がない
「そうか、ほな早よ座り。もうチャイムしな」
だがこの先生なら通じる。というより、話をうやむやにして強制的に終わらせている。つまり、後からのお説教などがほとんどない。これはやった方にとっては物凄く都合がいいことだ。だから、またやる。安達先生のストレスが溜まる。死に一歩近づく。
こうして我らが3年A組はある意味楽しい昼下がりを過ごすのであった。
男子校生の日々 銅キノコ @doukinoko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。男子校生の日々の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます