第42話 包丁

 まな板と包丁。この組み合わせってフツーにパーカッションですよね。


 あのね、川崎市の多摩川沿い河口付近なんですけどね、川崎大師ってあるのご存知でしょうか。

 あそこの表参道から久寿餅くずもち屋さんの角をちょっと横入ってね、仲見世通りに入ると、道の両側に咳止め飴屋さんが並んでるんです。

 それが見事なまでにパーカッションなんですよ!


 長く伸ばした柔らかい飴を、両手に持った包丁でトントコトントコやるんです。それもなんだかリズムがついてたりするの。あれはリズムが決まってるのかな、なんか両側で賑やかにやってるんで、ちゃんと聞こうと思ったことは無いんですけどね。


 さて、家に戻って今度は自分がご飯を作ります。タイムリーなんだけどね、さっき人参切ってたんですよ。トトトトトトトトってね。

 それが端っこに来ると止まるでしょ? トトトトトトンって。


♪トトトト トトトン トトトン トトトン

♪トトトト トトトト トトトト トン


 あ、これグリーグの『ペールギュント第一組曲』の「山の魔王の宮殿にて」じゃん!(歓喜)


 一度そう思っちゃうともうアウト。そこから先、タマネギ切ってもズッキーニ切ってもナス切っても、全部「山の魔王の宮殿にて」のリズムに合わせて切る!

 その日によって曲は変わるんですが、基本的に如月はフルコーラス+スタンディングオベーションまでがセットなので、今日はオリーヴオイルで炒めてる頃に「ブラボー! パチパチパチ」が入りました。


 『山の魔王のラタトゥイユ』大変美味しくいただきました。



 だってクラシックファンなんだもん!

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