第12話 楽器の音を文字にする(1)
これね、別エッセイ『……またシロート発言をしてしまったようだな。』の第79話「音に文字をあてる」でも少し触れてるんですが、『音を文字で表現するとどうなるか』って話でして。
あちらでは「にょんにょんにょん(如月の歩行音)」に代表される効果音について語ったりしたわけですが、こちらはクラシックエッセイなので楽器に特化して語りたいと思います(頼むから如月の歩行音に疑問を持ってください)。
ちょっとだけあっちと内容被ります。
***
って事でまずはクイズ。これは何の曲でしょう?
どごどんどん、どごどんどん、どごどんどん、どごどんどん(Timp ,cresc.)
ぶん(Tuba)たーらん(Strings)
ぶん(Tuba)たーらん(Strings)
ぶん(Tuba)たーらん(Strings)
ぶん(Tuba)たーらん(Strings)
ばーーー(Tb.)たーらららららららららららら、たららたんたん(Strings)
答えは、歌劇『イーゴリ公』より『韃靼人の踊り』(ボロディン)でした。
これくらいなら簡単なんですよ。次は難しいぞ。
ぱぱぱぱぱぱ(Tp.)
しょわわわわ(Susp.Cym)
どどどどど(B.D.roll)
ごわわわわ(Gong,roll)
じゃんっ! じゃんっ! じゃーーーじゃん!(Strings)
答えは、バレエ組曲『春の祭典』(ストラヴィンスキー)でした。
わかるかーい(ノ`□´)ノ⌒┻━┻
***
金管って「パ行」ですよね。
トランペットは「ぱーん」「ぱぱぱ」。
♫ぱーーーん ぱんぱぱぱ ぱんぱぱ ぱーーーん(『軽騎兵』序曲/スッペ)
トロンボーンは「ぽーん」「ぽぽぽ」。稀にこれ以上ないってくらい下品に「ばーー」って吹くのもあるんだけどそれがまたカッコいい(韃靼人の踊り)。
ホルンは「ぱ」と「ぽ」の間。吹き方でどちらかに偏る。たまーに「ほーん」って聞こえることもある。組曲『道化師』の「エピローグ」で一発入るホルンのソロなんかそれ。遠くから飛んでくるようなホルンソロはみんな「ほーん」。
木管が面白い。ダブルリードは「ハ」行。
オーボエは「へ」なのね。
♫へーーー へへへへ へーーへ へーーへ
♫へーーへ へへへへ へーーー
『白鳥の湖』ね、これ。チャイコフスキーの。
ファゴットは「ホ」。誰が何と言っても「ホ」。
♪ほへっへほーーーほほほほほほっほっほっほ……
これは『ピーターと狼』のおじいさん(プロコフィエフ)。
クラリネットはなんだろう、「て」かなぁ。
♫てれれってってー てれれてれれてれれてれれてれれーれ
『クラリネット・バスカーズ』(戸田 顕)。
フルートは低音だと「ふぁ」って感じで高温になると「ぴ」になる(?)
♫ふぁふぁふぁふぁ ふぁっふぁっ ふぁっ ふぁふぁふぁふぁふぁー
『くるみ割り人形』より「葦笛の踊り」(チャイコフスキー)とか「ふぁ」ってきこえない?
んで、ピッコロだと問答無用で「ぴ」!
♬ぴっぴっぴっぴっ ぴりりりぴっぴっ ぴりりりぴっぴっ ぴー(ここトリル)
『星条旗よ永遠なれ』のトリオ部分(スーザ)
打楽器はね……ほら。曲なくてもわかるし。
シンバルだけでもめっちゃあるし。
「ち」だとハイハットクローズ。フットコントロールのみ。
「ちし」と余韻が残るのがハイハットクローズ、スティックヒット。
「ちし~」だとハイハットクローズのハーフオープン。
「ちー」だとハイハットオープンのスティックヒット。
「ぷし」だとスプラッシュシンバル。
「しゃーん」だとクラッシュシンバルのレギュラーストローク。
「かん」だとライドシンバルのカップストローク。
(チャイナとかサスティンは割愛、キリがない)
「どじゃーん」って言えば手持ちシンバル。
「ぴしゃーん」だとサスペンデッドシンバルを木製スティックで。
「しょわーん」になるとサスペンデッドシンバルを毛糸巻マレットで。
「しょわわわ」でサスペンデッドシンバルを毛糸巻マレットでトレモロ。
「ごわーん」だとゴング(タムタム)のクマちゃんマレット。
「かりーん」だとゴング(タムタム)のトライアングルビータースクラッチ。
もうやめとこ。シンバルだけでこれじゃキリがない。でもパーカス何百種類とあるの、語りたいのよ!
だってクラシックファンなんだもん!
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