第2話 フルコーラス

 第1話でハチャトゥリアンの『剣の舞』の話をしたんですけどね。

「痛ててててててて……」の続きで、トロンボーンのスライドダウンまで来たでしょ? その後どうするか。


 普通の人はここで終わるわけ。如月は普通じゃないわけ。


 


 サックスのソロが困る。サックス自体は問題無いのね。フツーに歌うわけよ。

 問題なのはリピート二回目。これ、サックスソロにフルートが絡んでくるんだな。


 


 当然自分は一人しかいないし、声帯も一つしかない。

 うああああああっ! 誰かどっちかのパート歌ってぇぇぇぇええ!


 これがね、サックス(主旋律)、フルート(対旋律)の他に、ベースがいて、後打ちがいる。場所によっては主旋律・対旋律よりも伴奏パートの方がカッコよかったり、いっそパーカッション(打楽器)の方がカッコよかったりするの。


 ここはサスペンデッドシンバルを「ぴしっ、ぴしっ、ぴしっ」って入れてぇ!

 ここはティンパニで「どんだんだんどん どんだんだんどん」だー!

 ここはトランペットとトロンボーンが主役だけど、どうしてもシロフォンが歌いてぇ!(はたから見たら凄く変な人)


 もう、こうなっちゃうと、六人体制で鼻歌に挑まねばならんの。鼻歌の為に、如月プラナリア化計画まで立ち上げなきゃならないの。


 でも、メロディ歌ってると伴奏も歌いたくなるよね? ね? ね? 


 だってクラシックファンなんだもん!

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