第2話何してるのよ私!!

放課後の教室。

私は今日一番の大きな、あくびをした。


眠い。


理由は分かっている。………2年生になり司くんと同じクラスになった。そのおかげで学校に行くのが楽しみで仕方がない。


ほら、あれよ、子供の頃にあった、遠足の前日でワクワクして眠れない、あれよ。


でも、眠れない理由はそれだけじゃない。私は司くんが誰か他の子に取られてしまうのが怖くて眠れない。


だから私は司くんに告白する事にする。


失敗するかもと思うと怖いけど、あのエミっていう子、絶対司くんのこと、好きだわ。

取られる前にこの想いを伝えて恋人の仲に、………うふふふ。想像しただけで幸せだわ。


でも、成功するかしら、いや失敗する筈がないわ。


自分で言うのはどうかと思うけど私、鷹宮亜矢は可愛いと思う、スタイルも良いし、あっ、あと胸も大きいし。たぶん大丈夫だと思う。まぁ失敗しても諦めないけど。


それにしても、司くん全然一人にならない、あの二人邪魔ね。


私は本を読みながらそんなことを考えていると、司くんたちがこっちを向いている事に気付いた。


司くんが私を見てるわ!?何かしら!もしかして私に告白してくれるのでは!


そこでいつも笑っているスキンヘッドの山田先生が教室に入ってきた。


あの先生、いつも笑ってて怖いのよね。それに、どうしてスキンヘッドなんて威圧的な髪型?にしてるのかしら?もしかして、ハゲなんじゃないかしら。


私が自分の質問に自分で答えていると山田は私と司くんを見た。


「神尾、今日の宿題を鷹宮と持ってきてくれ」


えっ……えーーー!!来たチャンス来たー!

いつも笑ってる山田、良くやったわ。


********


なんて喜んでたけど、ここに来て恥ずかしくなってきたわ。


まずそもそも、なんて告白したらいいのかしら?モテモテの司くんだわ、普通の告白のセリフは聞き慣れてるんじゃないかしら

う〜〜〜〜〜ん。

モテ過ぎるというのも困りものね。

私が告白のセリフを考えていると。


「山田ってさぁ、ハゲてるのを隠すためにスキンヘッドにしてると思うんだけど、鷹宮さんどう思う?」


司くんも私と同じふうに思ってたなんて、嬉しい。私たち気が合うわね。うふふ。


「あんなおじさんのことなんて、どうでもいいわ。」


あーーーーあ、もうどうして私はこんな素っ気ない返ししか出来ないのかしら、もっと楽しい会話を司くんとお話ししたいのに。

嫌いにならないで司くん。


また司くんが私に話し掛けてきてくれた。


「あっ、鷹宮さんって凄いモテるよねぇ昨日も告られてなかった。」

「あんな人達に告られても嬉しくとも、なんともないわ、もちろんあなたもよ、少し顔が良いからって調子に乗らない方がいいわ。」


嘘よ。私はあなた一筋だから心配しないでねって意味だから!!

なんで思ってる事と違うこと言っちゃうのよ私〜〜。


「へっへー」


司くん、こんなに酷いこと言っても笑顔ままなんて………ますます惚れちゃうわ!


とうとう目的の教室に着いてしまった。

ハァ〜〜〜。

司くんと二人っきりの時間が終わってしまった。


いいえ、まだよ。司くんへの告白が成功すれば彼氏彼女の関係になれる、そうなれば二人っきりの時間なんて幾らで作れるわ。

行くのよ私!頑張れ私!

そう自分に言い聞かせて私は司くんに告白しょうとした。


「あっ、あ、あの」

「じゃあ、さよなら」

「えっ、ちょっ」


しかし、司くんは一言「さよなら」と言ってすぐに教室を出て帰ってしまった。


もう、なんでよーーなんで、そんなすぐ帰っちゃうのよ!

いいわ、捕まえてやる。


そうと決まると私もすぐに教室を出て司くんの後に続いた。


**********


私は結局司くんに告白できなかった。でも、司くんの事をいっぱい知れた……と思う。


まず一つ目、司くんの家は学校から遠いという事。


そして、二つ目司くんがオタクだという事。


私は携帯に写った司くんの写真を見た。


その写真は司くんが満面の笑みを浮かべてラノベ?を買っている。

司くんのこんな笑顔、初めて見たわ。気づいたら写真を撮っていたのよねー。


それにしても癒されるわ。

まさか司くんにこんな趣味があったなんてね、でも私はそんなことで司くんを嫌いになんてならないわ!


それに司くんと漫画やアニメの事で楽しく会話出来るかもしれないし。…………そんなわけで私も『下僕野郎はハーレムを作るため異世界へ』なんて凄い題名の本を買ってしまったわ。


明日こそは絶対に司くんに告白するわ、成功したら一緒に帰れるかもしれないから、その時のために読んでおこうかしら。


そう思い私は本を読みだした。


**********


次の日、私は司くんに告白するために屋上に

続く階段に呼び出した。


はぁ〜〜緊張するわ。………上手く行くかしら。


下の方から人の気配がした。私は告白を成功させる為に苦手な笑顔を全力で作った。


行くのよ私!今度こそ成功させるの!

その時の私の脳内には昨日読んだ『下僕野郎はハーレムを作るため異世界へ』が過っていた、そのためだろうか。


「あなた、私の下僕になりなさい」


なんて凄い事を言ってしまったのは。

冷静になって私は「何してるのよ、私!」と心の中で叫んでいた。

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