02 ラブレター



 誰にも気づかれていない事を確認しながら、慎重に前へと進む。

 決して現場を見られてはならない。


 こんな物を持ってこんな所をうろついているのを誰かに見られたら……。


 俺は手に持ったその紙切れをじっとみつめる。


 とても信じられない。

 こんなうすっぺらい紙、一枚が人間の未来を左右するなんて。


 見た目の重さと半比例するように、気持ちが重くなる。


 いっそこんなもの。

 なかった事にしてしまえればどれだけ楽なのか。


 考え事をしている内に目的地にたどりついてしまった。


 俺は、手に持っていたそれを丁寧に、目的の場所においた。


 これで準備は整った。


 足早に立ち去りながらも、背後の目的地が気になってしょうがない。

 明日の朝、げた箱を開けてそこにある手紙を目にした彼女は、一体どんな表情を受かべるのだろう。


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