スター

 中学生のとき、アマチュア天文家の叔父さんが、私の夢が叶うようにと、発見した小惑星に私の名前をつけてくれた。

 せっかくだから、宇宙のことを勉強した。一芸に秀でているのもいいだろうと考えて、宇宙飛行士になった。

 最年少での初飛行が決まり、念願のテレビ出演を果たした。子ども向けの番組で、日本のスタジオにいる小学生の質問に答える形式だ。

「将来の夢は何ですか?」

 まだ小さい女の子がそう聞いた。

「私の将来の夢は、歌って踊って宇宙にも行けるアイドルです」

 子どものころからずっと練習してきた笑顔で、そう答える。

「がんばってください!」

 大人が皆苦笑したり呆れたりする中、質問した女の子は力いっぱいそう言ってくれた。



-----

テーマ「売名行為」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る