第6話 異世界でもトマトはトマトらしい
スマホの目覚ましが朝の寝ぼけた頭に響き渡る。
「知らない天井だ」
何時か言ってみたいセリフを言える日が来るとは思わなかったよ。
やはり異世界召喚されたのは夢や幻ではなかったみたいだ。
俺はそんな事を考えながら身を起こすと横には姫姉が毛布に包まりながら眠っていた。
「これは朝ちゅんって奴になるのかな」
窓から差し込む太陽の光に目をやりながらそんな独り言を呟いていると、姫姉が身動ぎしながら目を覚ました。
「ふぁぁ、もう朝なの。あれ、知らない天井だ。どうして?」
姫姉はまだ寝ぼけているみたいだが、やはり寝起き姿も抜群に可愛いな。
「おはよう姫姉、良い朝だね」
「ああ優君、おはよう。あれ、何で同じベッドで寝てるの?」
あれ、そういえばなんで一緒に寝てるんだろう。
「それは俺にもわからないな。ただ言えることは昨日の夜に俺はこっちのドア側のベッドに寝たから俺が姫姉のベッドに潜り込んだんじゃないことは確かだね」
そう昨日の夜、姫姉と二つあるベッドのどっちで寝るかじゃんけんで決めて俺がドア側になったのは覚えている。
そして今二人一緒に寝ているベッドはドア側である。
「私は昨日の夜、一回目が覚めてトイレに行ってまたベッドに戻った……あ、間違えて近い方のベッドに入ったかも」
「なるほど、じゃあ俺は被害者側になるわけだな。姫姉、とりあえず問題は解決したし着替えて朝ご飯でも食べようか」
「そうだね、お腹空いたしとりあえず食堂にでも行こうか」
俺たちは部屋を出て階段を下りて一階の食堂に入った。
「おはようございます、ユーマ様、ヒメナ様。お食事に致しますか?」
食堂に入って俺たちを出迎えてくれたのは昨日紹介されたメイドさんの一人だった。
「どうも、おはようございます。じゃあ朝ごはんをお願いします」
「私もお願いします」
「かしこまりました。ご用意いたしますのでこちらでお掛けになってお待ちください」
俺たちを席に案内した後メイドさんは美味しそうな匂いを漂わせている厨房に入っていった。
食堂には俺たち以外誰もいないみたいだ。
それから数分後厨房からメイドさんたちが料理を運んできた。
「本日の朝食は白パンとベーコン入りトマトスープです。お飲み物は果実水で宜しいでしょうか?」
「それでいいです」
「私もそれで」
俺たちがそう言うとメイドさんたちは素早く配膳を済ませた。
「「頂きます」」
俺はまずトマトスープに口を付けた。
「うまい」
トマトスープは以外にもトマト本来の旨味が出ていて、ベーコンの塩分が良い具合にマッチしていた。
「ほんとだ、美味しい」
「お口に合ったようで幸いです」
それから食事をしているとちらほらとクラスメイト達が起きてきて食堂に集まった。
そして俺たちが食べ終わるころには全員食堂に集まって朝食を取っていた。
「「ご馳走様でした」」
「食器を下げさせていただきます」
俺たちが食べ終わると同時にメイドさんが来て食器を下げていった。
朝食が終わり俺たちがのんびりメイドさんの働きぶりを観察しつつ姫姉と談笑を楽しんでいると食堂の戸が開きお姫様がやって来た。
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