第5話 異世界の飯も意外とおいしい
「それではお食事ができるまでの間にこれから皆様にお過ごし頂く離れを案内いたします」
お姫様の言葉にクラスメイトの皆は了承の意を示した。
「では離れの方へ案内いたします。少し歩きますのでお疲れになったら傍にいるメイドに言って下さい個別に案内いたします」
疲れるくらい遠いのか、やっぱり王城だからデカく造られてるんだろうな。
俺たちはお姫様の誘導に従い数十分ほど歩いていた。
歩いている間結構暇だったのでスキルの実験をしていた。
まずは透視から試しに使ってみた。
見える見えるぞ、お姫様の脈動する心臓が。
よし透視は人には使わないでおこう、これはあまりにもグロい。
次は壁の向こう側を透視しよう。
うん普通に青空が広がっているね、綺麗だね。
では次に神様から微妙と言われた念話を使ってみよう。
念話の対象を姫姉にして
(もしもし、聞こえますか。こちらは姫姉を見守るあなただけの騎士(ナイト)です。暇なので一方的に話しかけています。あとスキルの実験したいから手伝ってオナシャス。あとファ〇チキ下さい)
「優君、今なにしたの?頭に直接声が聞こえた気がするんだけど」
急に頭の中に声が聞こえて姫姉が吃驚しながら俺を睨みつつ話しかけてきた。
「今のは念話だよ姫姉。このスキルで頭に直接話しかけたんだよ」
「なるほどね、でその念話って使い道あるの?」
「無いです、はい」
なんせ神様から微妙とお墨付きのスキルだからな、言ってて悲しくなってきた。
「それでスキルの実験って何するの?」
「スティールのスキルを使うから姫姉はこのナイフでも持っておいてくれればいいよ」
俺は近衛兵からスティールで盗ったナイフを姫姉に渡した。
「そのくらいなら別にいいけど」
姫姉はナイフを受け取ると使い勝手を確かめるかのように軽く振った。
「じゃあ姫姉、スティールを使うからナイフをしっかり握っていて」
「わかったけどそれだけでいいの?」
「うんそれでいいよ。行くよ、スティール」
近衛兵から奪った時のように姫姉の手にあるナイフが淡く光り、次の瞬間には俺の手にナイフが握られていた。
「成功したみたいだ」
「へぇ、こんな風になるんだ。あれ、この現象なんか見た覚えがあるんだけど」
「ああ、さっき謁見の間で近衛兵の武器も同じようになってたね。まあ謁見の間で近衛兵から武器を奪ったの俺なんだけど」
あの時は自重もせずに全員から武器を奪ったから見られていてもおかしくは無いだろう。
「あれって優君がやったんだ。じゃあ奪った武器はどこにあるの?」
「ああそれなら
「そうなんだ。それでどんなのがあるの?」
そういえば適当に入れたから何があるかちゃんと確認してなかったし、ちょっと見てみますか。
アイテム一覧
結構色んな武器を盗ってたみたいだな。
それにしてもやっぱりこの世界にはファンタジーな金属が存在してるみたいだな。
「ねえ姫姉、今確認したら
「へえ、やっぱりこの世界にはあるんだ
そう言うと姫姉は
「それでこれからどうしようか。今のところ帰る方法も分からないし、この国はなかなか腐ってるみたいだし。このままじゃいずれ何らかの厄介ごとに巻き込まれるのは見て取れるし」
「でも今のままじゃどこに行ってもあまり変わらないんじゃないかな」
「それもそうなんだよな。まずはこの世界での常識とかを知るのが先決かな」
そんなことを話しているうちに離れに着いたみたいだ。
「皆様、離れに着きました。これから皆様にはここで生活をしていただきます。では離れについて説明いたします。まず一階の手前の部屋は食堂と厨房があります。反対側の部屋は談話室となっています。それから奥手の扉の向こうは男女別で浴場とお手洗いがあります。二階と三階はそれぞれ個室になってます。個室の数は全部で30部屋あります。こちらの離れをお使い下さい。あとメイドも十数人つけさせていただきます。何か御用の際にはメイドにお申し付け下さい」
ここでもお姫様との交渉は足立に任されていた。
「わかりました。では僕らは今日からここで生活をするわけですが、僕らはこの離れから出ることは出来ますか?」
「はい、メイドにお申し付けくだされば城の中で関係者以外立ち入り禁止の場所でなければ案内いたします。城下街にも行けますがそちらは後日に案内しようと思っているのですが」
意外と自由に動いていいみたいだな。
「では城下街へは後日の案内を楽しみにしてます。とりあえずこちらからは以上です」
「そうですか。ではメイドの方々を残していくので何かあればそちらに。では晩餐の用意が整いましたらお呼びに上がります」
「わかりました、ではまた晩餐で」
「それではごきげんよう」
そういうとお姫様はアンナさんと数名のメイドを引き連れて離れから出て行った。
それを見送りクラスメイト達とこれからの生活について話し合い、ある程度部屋割りや約束事が決まった。
まず部屋は二人以上でで一部屋を使うことになった。
理由はいたってシンプル、一人になるのは危険だということで二人以上で固まって使用することになった。
次に外に行くときには行先といつ帰るかを紙に書いておくことになった。
あとは外に出るときは複数人で行動するなど細々したことをみんなで話し合いながら決めていった。
「じゃあとりあえずこんな感じで良いかな、日も落ちかけてるしそろそろお姫様が晩餐に呼びに来るだろうし談話室でのんびりして待ってよう」
足立が話を纏め終わらせると各々友人と喋ったりのんびりしたりと自由に過ごし始めた。
それから十数分後にお姫様が晩餐の用意ができたと呼びにやって来た。
俺らはお姫様に連れられて数分歩き大きな部屋に通された。
そこには全員が座ってもなお席が余るくらいの広さを誇っていた。
素人目に見ても高級感の漂う料理が所狭しと並べられていて俺たちは少し驚いた。
「皆様自由にお座りください」
お姫様に促されるまま俺たちは席に着いた。
後から十数名貴族と思しき人が入って来て俺たちが座っている席の反対側に座った
「皆様お座りいただいたところで、ではいただきましょう」
そういうとお姫様たちはナイフとフォークを上手く使い料理を食べ始めた。
クラスメイトの皆は少し戸惑っていた。
俺はそんなクラスメイトの皆には目もくれずに手を合わせて頂きますと言い懐からマイ箸を出して目の前の料理に手を伸ばした。
そんな俺に続いて姫姉や慎夜も手を合わせて頂きますと言うとナイフとフォークを使い料理を食べ始めた。
そんな俺たちにつられて皆も頂きますと言い食事を始めた。
そんな俺たちにお姫様が質問をしてきた。
「あの失礼では無ければお伺いしたいのですが、先ほど皆様が仰った頂きますとは何でしょうか?」
この質問に足立が答えた。
「頂きますとは僕らの国で食事をする前に食材や作ってくれた人に感謝として言うんです。他にも食事が終わったらご馳走様でしたと言います」
「そうなんですか、なんだかいい言葉ですね。ではあの人が器用に使っている二本の棒は何ですか?」
お姫様は俺が使っている箸を見ながらそう質問した。
「えっ、ああ、あれはですね僕らの国で食事に使う箸というものです。あのように二本の棒で挟んで使うんです」
「なんだか難しそうですね」
「僕らの国の人はほとんどが使えますがなれないとお箸は使いにくいと思います」
「そうなんですか」
お姫様と足立の話を聞きながら俺は料理に舌鼓を打っていた。
「皆様料理の方はお口に合いましたでしょうか」
「ええすごくおいしいですよ。故郷でもこれほどの料理はなかなかお目にかかれないと思います」
「ならよかったです。宜しければ皆様の故郷の話を聞きたいのですが」
そこからはお姫様と俺たちの故郷の話をしながら晩餐は過ぎていった。
「それではこのあたりで今日のところはお開きとしましょう。明日からはこの世界やこの国の常識についての話をしたいと思います。では本日は離れの方でゆっくりと御寛ぎ下さい」
こうして晩餐は終わり俺たちは離れに行き各々の部屋で一晩を過ごした。
俺は同じ部屋になった姫姉と二人で軽く組み手を行い軽く汗を流して入浴をすましベッドにダイブした。
明日からは忙しくなるなと思いつつ
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