第3話 勇者と魔王と。
「やった! 僕は、ついに魔王を倒したんだ!」
「…‥魔王は、勇者に倒されました」
「何を言ってるんだ!? 魔王!」
「少年の勇者になる夢が、ついに叶ったのです」
「……え!? これって……なんで、なんで……」
「……神は、二人の願いをかなえました」
「どうして、魔王じゃなくて、君が、倒れてるんだよ!」
「あなたの夢は、勇者になること……だったよね」
「そうだけど……」
「勇者が現れるには、この世界は平和すぎた。
だから、私は、魔王になることを望んだの……」
*
とある村に、仲の良い少年と少女がいました。少年は、少女に釣り合う人間になるため、勇者になりたいと願っていました。また、少女は、少年と共にありたい、と考えていました。
ある日、少女に、神の気まぐれで、願いが叶えられる機会が与えられました。少女はそこで、望むままのことを願ったのです。かくして、少女は、魔王として生まれ変わりました。平和すぎる世の中で、少年という勇者が存在するためだけ、倒されるためだけの存在として。
彼女は、少年と対立した関係のまま、しかしお互いが、一番意識する存在として、共に同じ時を歩みはじめました
――というような、前置きが入ります。そこで、少女が魔王になったことを知らず、さらわれたと、他の村人に聞いた少年は、むっちゃがんばって、勇者になり、魔王を倒しに行くわけです。
というところを、会話で進めるのはむずかしかったので、ばっさり切ってみた!
けど、こういう話って、自分の大事な人を助けるか、それとも多くの人を助けるか、自分の命を捨てるか、みたいなものを、何度も何度も天秤にかけて、たくさんの犠牲を体験した上で到達するから、カタルシスがあるのかもしれないなって思ったよ。
勇者といわれる少年のためだけに存在するこの「魔王」は、世界にどれくらい悪影響を与えたのか。そもそも「魔王」とか「魔物」ってだけで倒しに来る冒険者、勇者の類いって残酷だよね。
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