第2話 魔王という概念

「幻覚魔法!」


「この期に及んで小細工を! この勇者にそんな魔法が聞く物か!」


「……そうか。しかし魔王を倒してもムダだぞ。

 何度でも蘇り、再び人々を苦しめるだろう」


「ここにきて命乞いか。魔王たるものが、情けない!」


「魔王!? ……ふふ。そうか。

 では魔王の止めを刺すがいい! 我は警告をしたぞ」


「うるさい! 俺の剣で、滅びるんだ魔王!」


「ぐはああああっっ!!」


「やった! 魔王を倒しぞ! やっと……やっと……」


「……ふっ……魔王は倒れておらぬよ?」


「魔王!? どこにいるんだ!」


「ここだよ、ここ」


「どこだ?」


「お前の体の中だ」


「なんだって!?」


「魔王とは、思念。

 常に勝者に、乗り移って生きてきた。これからは、お前も魔王だ」


「違う、俺は勇者だ! 世界を救って、幸せに……」


「あきらめろ。お前の体は、すでに我が物……」


「ならば、自ら命を絶つ!」


「諦めろ。すでにお前の意思で体を動かすことは出来ぬ」


「え!? 本当だ。動かない。それに……俺は今、どこにいるんだ!?」


「やっと気付いたか。お前は魔王の意識の中にのみ存在する。

 ま、その意識もいずれ消えてしまうがな」


「……ならば、意識があるうちに……自ら命を絶って、魔王を……倒す!!」


「……もう、意識が消えたか。

 勇者は本当に単純だな。我の時代はまだしばし続きそうだ!」





魔王というのは「思念」で、歴代勇者に倒されると、倒した勇者に乗り移るって話。というのが、ふつうの読み方だと思う。でも、魔法があるような、何でもありの異世界だと、これが「幻覚」の類いの可能性だってあって。

 もし、これが幻覚だったら――。

 魔王なんていうのは本当はいなくて……

 勇者と呼ばれる人を処分するために、暗殺者見せた幻覚。

 自らが魔王になったと思い込ませ、自害を迫り……勇者の処分をする。

そんな話を実はかいてみたつもり。

だから「魔王」と「我」の呼称を魔王サイドで使い分けてみました。

……力不足で、うまく伝わるようには書けなかったけど。


あと、アクションのところが、ぜんぜんうまく書けなかったと思う。

動きを見せるには、セリフの中に、実況中継的に説明をいれてかくといいって聞いたので、ちょっとだけ試してみたんだけれど、ちょっと説明っぽくなったかな。

戦闘シーンは「キンキンキンキン」「カンカンカンカン」とか書くだけでもいい、って聞いたから、これでも大丈夫かな……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る