第32話 聞いてみた
教室にて
「ソエルさん聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「?どうしたんですか?改まって。」
「真面目な話なんです。」
俺の顔を見て真剣な表情になるソエルさん。
「……はい。何ですか?」
「その……。」
落ち着けヒカル。慌てるなよ。
「はい。」
「……俺達って実は姉弟だった~なんて事あり得ない……ですよね?」
「!!」
ソエルさんが目を見開いた。
やっぱりそうなのか。
「あ、あははも~ヒカルさんたら何言ってるんですか?ソンナコトアルワケナイデスヨ……。」
ソエルさんは視線を反らして言った。
「ですよね……。すみません変な事聞いて……じゃあ俺用事あるんで」
「あっ!ヒカルさん!」
ソエルさんの呼ぶ声を無視して教室を飛び出した。
あの反応いよいよ間違いないな。
今までのは全部演技、嘘だったのか?
俺はどうすれば……。
―――――――――――
「……ヒカルさん」
ガラガラガラ
引き戸が開きジャージのような服を来た女性が入って来た。
「ハア~イ。初めましてソエルちゃん?」
「……どちら様ですか?」
目の前にいる人に見覚えはない。初対面のはずだ。
「私はサラーキア。千水のサラーキアよ。ウフフ。」
「サラーキア……さん?どこかでお会いしっ!?」
バチャッ!
と彼女の背後から沸き出した水に包まれた。
「ガボッ、ガボゴボッ!ガ………。」
何っ!?魔力で蒸発を………?、?!?
魔力が使えない!?それにこれは……。
息が出来ない苦しみ
では無く強烈な眠気に襲われ、私は気を失った。
「チョロいわね~。う~ん、このまま殺すのは簡単だけど、せっかくだから少し遊んであげようかしら。ウフフ、楽しみね新田ヒカル君。」
―――――――――――――――
「ハァハァ。どこだ?ここ。」
夢中で走っていたらいつの間にか知らない場所に来ていた。
結構遠くまで来てしまったかもしれない。
魔法使いとは言っても物理で戦う俺の体力は人間界にいた時とは比べものにならないからな。
勿論、普通の人間に比べたらで魔族にはとても敵わないが。
毎日毎日、魔法の練習して、日常でも重りを付けて生活して……。
何のためにやってきたんだ?
「ヒッヒッヒ、魔王様じゃないか。」
何やら聞き覚えのある声がした。
そちらを見ると
「カグツチさん。お久しぶりです。」
カグツチがいた。隣には猫耳美少女がいる。
「こんな所に何の用だい?」
「あ~ちょっと散歩してまして……。隣の方は?」
「こいつは俺の新しい雇い主だ。」
「初めましてミーコです。」
雇い主??
ミーコさんが頭を下げる。
「あ、初めましてヒカルです。」
同じように頭を下げ名を名乗る。
「あの、雇い主って?」
「ヒッヒッヒそのままの意味だ。銭湯の社長なんだよ。」
社長ってこんなに若いのに?すごいな。
「いえ、社長なんて大それた物じゃないです!もう先輩!恥ずかしいです。」
「ヒッヒッヒ本当の事だろ?」
「む~。」
………何だこの人達。付き合ってるの??見せつけて楽しいかい??
聞いてみた。
「仲良いんですね。付き合ってるんですか??」
「ふえ!?そ、それは……」
チラッとカグツチさんの方を窺うミーコさん。
「ヒッヒッヒそんな訳ないだろ?」
「え?」
「ん?」
おっとマズイ。ごめんねカグツチさん。
「そう……ですよね。あ!私用意を思い出しました!」
俯いたと思ったら後ろを向き走り出すミーコさん。
「?何だあいつ。」
「え?追いかけないんですか?」
「何で?」
意味が分からないと言った表情だ。
「何でって……いいからとりあえず追いかけて下さい!」
「おいおい落ち着けよ。」
落ち着けじゃねーよ!余裕ぶりやがって、このリア充が!!
「いいから!早く行って下さい!この前のカチコミ、うちが勝ちましたよね!傘下校なんだから言うこと聞いて下さいよ!」
「はいはい。分かりましたよ。っとそうだ。サラーキアの奴がこっちに来てるぞ。」
サラーキア?誰だ?
「分かりました。いいから追いかけて。」
「了解了解。一応言っておくが油断はしない方がいいぞ。じゃあな。」
そう言ってカグツチさんは走り出した。
油断って何??何の話だ??
いや、それより
このパターンはあれだ。
何で追いかけてくるんですか!?
の答えを間違えて
即死攻撃されるパターンだ。
その時、遠くで地鳴りのような音と共に聞き覚えのある悲鳴が聞こえた気がしたが………。
うん。気のせいだな。きっと。とりあえず帰ろう。
………ドンマイ、カグツチさん。
俺が契約した精霊はとても礼儀正しくとても美しくとても強い。 あの、これでよろしいですか?ソエルさん。え?俺の気持ち?モチロンアイシテイマストモ。 五味葛粉 @m6397414
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