第29話 雷神兄妹登場


「どうぞ。」

 コトッ

 テーブルの上にお茶(イケメンパワーで隣の超茶道部からもらってきた)を置くカマセさん。


「どうもすみません。」

「いただきまーす!」


 二人はそれを口に運び、

 大男はまるでヤ○ルトのように一気に飲み干し。

 幼女は可愛いらしくこくこく飲んでいる。

 信じられます?この二人、双子だって言うんですよ。


 男の方はめちゃめちゃデカイ体で顔もいかつい。幼女の方は小学校低学年と言ったところだろうか。

 共通点と言えば髪の色と目の色、二人とも綺麗な黄色をしている。

 ソエルさんの赤とアイリさんの青と同じような。

 精霊なのか?


「あの、それで入部の事なんですけど……本当にうちでいいんですか?」


「もろちんなのだ!」

「はいはい、勿論な。」

 元気な幼女と冷静な大男。


 それを聞いて俺の右側に座るソエルさんは若干ムスッとした顔になり

 左側のユウちゃんは薄い笑みを浮かべる。


「でもうちの部活、具体的な活動は何も無いんですが、」

「ハハハ!部外者は黙ってろ!我が部が目指すのは魔王討伐!目指せ勇者だ!」


「部外者ですって?」

「お前が抜けても定員は満たしてる、さっき言ってたろ、辞めるって。どうぞご自由に。」


「うぬぬぬ」

 歯噛みするソエルさん。珍しい!

「フンッ」

 勝ち誇ったようなユウちゃん。いつも通りだ。


 俺を挟んで喧嘩するの止めて欲しいんですが。

「まぁまぁ二人共。俺はソエルさんがいないと戦えないからさ。出来たら辞めないで欲しいんだけどダメかな?」


「ヒカルさんがそう言うなら……別にいいですけど。」


「ユウちゃんは?」


「フンッ好きにしろ。」


 まったく仲良くしてくれよ。

「いや~モテる男は違うね~さすが魔王!」

 幼女が叫ぶ。


「いやいやモテるなんてそんな」


「またまた~アイたんとかいちょーが言ってたよ、抱いて欲しい♥️って」


 アイたん?かいちょー?

 アイリさんと会長の事かな。

「あ~あの人達は変態ですし。」


「アハハ!そうだね~。でもその二人とはもうヤったんでしょ?」

 ニヤニヤしながらアホな事を聞いてくる幼女(18)。


「「「ヤってない(です)!!」」」

 俺達3人が叫ぶ。


「こらライ、馬鹿な事聞くなよ。失礼だろ。」

「む~ごめんなたい。」

 ライと呼ばれた幼女(18)が軽く頭を下げる。


「すみません馬鹿な妹で」


「いえいえそんな、それより年上なんですから敬語は止めて下さい。ってそうか俺達はまだ自己紹介してなかったですね。全員戦闘科1年Fの」


「俺は新田ヒカルです。」

「契約者のソエルです。」

「手下2のユウリだ。」

 何か二人が腕を組んできた。で、睨み合う。

「手下1のカマセです。よろしくお願いします。」

 俺の後ろに立つカマセさんが言って丁寧に頭を下げる。


 手下1とか2とかいつの間に決めたんだ?なった順かな?


「じゃあ俺達も改めて、戦闘科3年Aのジンです。」

「ライです!二人合わせて!」

「「ライ!ジン!です!!」」

 二人は立ちあがり不可思議なポーズをとる。


「「……」」

「カッコいいですね!」

「中々の決めポーズだ、さすが3年。」


 絶句する俺とソエルさん。

 しかしカマセさんとユウちゃんにはカッコよく見えたらしい。

 二人揃ってパチパチと控えめな拍手までしてる。


「フッフーン、でしょ?風たんと一緒に考えたんだよねー。」


 風たん?

「誰ですか?」

「知らないの?ヒカル君と同じ人間界の人で結構有名人なんだけど」

 ソファーに座り直しジンが言った。


「知らなかったです。どんな人なんですか?」


「かいちょーが言うには中2病?って病気にかかってるみたい。」


 うわぁ。またもや変人なのか。

「その人も精霊の?」


「うん。契約者だよ!そう言えば、今日決闘があるみたいだけど見に行ってみる?」


「決闘……」そう言えば他の人のは見たことないな、

「見てみたいです。」


「OKOK、他の皆は?」


「ヒカルさんが行くなら私も」

「私も」

「僕も」


「よしじゃあ行こー!」

「「「おー!」」」

 俺、ユウちゃん、カマセさんが声を上げ4人で部室を出る。


 ――――――――――――

「あはは皆元気だね。俺達も行こうか。えっとソエルちゃんだよね?」


「その前にジンさん少しよろしいですか?」


「? 何?」


「お二人は精霊と契約者の間に生れた子……ですよね?」


「うん。そうだけど?でもそれは君達も」


「言わないで下さい!お願いします、今はまだヒカルさんに知られる訳にはいかないんです。」


「………何か訳ありみたいだね。分かったライにも言っておくよ。」


「すみません。ありがとうございます。」


 ガラガラガラ

「二人ともどうしたんですか?」


「な、何でも無いですよ!行きましょうヒカルさん(ぎゅっ)」


「うわわっソエルさん今抱きついたら」


「あなた達はまたそうやって!不純です!離れなさい!!」


「ふくかいちょーだ!逃げろ皆!」

「「「「おー!!」」」」


「コラー!廊下を走ったら行けません!待ちなさーーーい!!」


 …………

「姉弟……か。」

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