第27話 ソエルさんとタメ口~バットエンドその5~
ある日の教室
今日はソエルさんと二人で本を読んでいる。
「ヒカルさん」
隣の席に座るソエルさんが呼ぶ。
「ん?どうしました?」本から目を離さずに聞き返す俺。
「あの、どうして私には敬語を使ってユウリさんにはタメ口なんですか?」
「え?」
拗ねたような声で言うソエルさんの方を見ると体ごとこちらに向き頬を膨らませている。
「えっといきなりどうしたんですか?」
本当にいきなりすぎて困る。
ソエルさんが読んでいる本『彼の所有権は私のモノだ!』とは関係無い事を祈りたい。
「む~ずっと気になってたんです。決闘した後、教室に行ってからタメ口になってて。そりゃあヒカルさんが好かれるのは仕方ない事ですけど、なんであの似非勇者だけじゃなくてヒカルさんまでタメ口なんですか?」
「いや、それは手下に敬語を使うのはおかしいって言われて……。」
「じゃあ私にもタメ口で話して下さい。」
「えぇ!?何で、ですか?」
「だって私もヒカルさんの契約者で言ってしまえば手下0号みたいな物ですから。それとも私にタメ口を使えない訳でもあるんですか?」
じっと目を見つめるソエルさん。
ううう、何なんだこのラブコメ展開はむくれるソエルさん可愛いすぎるぜ。
しかしこうゆう時って大抵俺が殺されるんだよね。
下手にタメ口を使って良い雰囲気にすると
①ユウちゃんが入って来て斬られる。
②フクエルさんがたまたま来て不純だと言って裁かれる。
③変態共が来て騒いでキレたソエルさんに燃やされる、なんてのもありそうだ。
④カマセさんの場合は多分、後でソエルさんにお仕置きとかされるんだろう。
とりあえず教室でこの会話はまずい。
「いやそうゆう訳じゃないですけど、この話は帰ってからしませんか?ここだと誰か来るかも知れませんし。」
「む~嫌です。別に誰が来てもいいじゃないですか。やましい事をするわけじゃなくて、ただタメ口で話すだけなんですから。」
それはそうなんだけど……。
いやそうか確かに考えすぎかも知れない……。
いや、しかし……。
うぬぬ………。
「そ、そうだね。あ、あはは、タメ口で話すだけだもんね。そ、ソエル?」
「ヒカルさん!」
かなりぎこちなかったが呼び捨てで喜んでくれたようだ。
「ソ、ソエル。」
「えへへ、ヒカルさん(ギュッ)」
「ソエルさん?」
「も~ヒカルさん。ソエルって呼んでくれなきゃ嫌です。」
上目遣いで甘い声を出すソエルさん。
おっと予想的中。これはまずい。
ただタメ口で話すだけ、が今日の死亡フラグだったようだ。
「あはは、ソエルさんやっぱり呼び捨ては恥ずかしいですよ。口調だけタメ口にするからさ。ダメかな?」
出来るだけ優しくイケメン風に言ってみた。
「う~ん。どうしましょう。」
そう言ってソエルさんは俺の胸元に顔を埋めてスリスリと……。
落ち着け!落ち着け俺の聖剣!
こんなところでバーストしたら大変な事になる。
ああヤバイ!ミルクゲージが溜まってイク、イッちゃううううう!?!
「?どうしたんですか?変な顔をして。」
「ふぅ………。いや気にしないで下さい、それよりちょっとトイレに行ってきていいかな?」
「え?あ、はい。どうぞ。」
?何で前屈みで歩いてるんだろう。
―――――――――――
19分後
「ただいま」
「あ、おかえりなさいヒカルさん。」
「それでさっきの話の続きなんだけど」
「あぁ、それならいいですよ。さん付けで。」
「え?本当に?」
意外だな色々理由を考えて来たのに。
「はい。やっぱり呼び方は個人の自由ですから。だからヒカルさんが呼びたくなったらソエルって呼んで下さいね。」
ニッコリと微笑むソエルさん。
「そっか。じゃあとりあえず口調はタメ口で、改めてよろしくねソエルさん。」
「はい!よろしくお願いします(ギュッ)」
ソエルさんが抱きついてきた。
……まずいな。
「??何か変な匂いがしませんか?」
スンスンと鼻を鳴らすソエルさん。
「いや~何でしょうね。実は朝から鼻がつまってて。」
「何でしょうこの匂いは?イカ?みたいな……。」
ガラガラガラ
「「男の匂いがするぞ!!」」
「「な!?」」
突然会長とアイリさんが入って来た。
「うわぁ。最低ですね。」
後ろにはフクエルさんもいるようで。
丁度その時
シュンッと
カマセさんとユウちゃんが練習場から帰ってきた。
教室前方の転移装置からこちらに歩いてくる。
「お疲れ様です。皆さん。」
「集まって何してるんだ?」
「「ヒカル君(魔王さん)とソエルちゃんがエッチしてた!」」
「「えぇ!?」」
驚くユウちゃんとカマセさん。
「「してませんよ!!」」
同時に声を上げるがしかし、
「不潔なる者達に裁きを」
フクエルさんは白い翼と光の輪を浮かべ
「私達が真面目に練習している間に二人で淫行とは」
ユウちゃんの足元に黒い魔方陣が描かれ
「「まったくしょうがないなぁ。混ざりたかったけどこの雰囲気はどうにもならんわ。ついでに私達も手伝ってやるか。」」
訳の分からない事を同時に言った二人。アイリさんが溶けるように消えて会長が薄青い魔力を纏い、刀を抜いた。
カマセさんは目を閉じて祈っているようだ。
「どうする?ソエルさん。」
「えへへ、死ぬ時は二人一緒ですよ。(ちゅっ)」
ソエルさんは抱きついてキスしてくれた。
あぁ、まさか2話連続で死ぬなんて……。
唇の感触に浸る間も無く、氷と闇と光に包まれ俺達は死んだ。
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