第6話 お前の物は俺の物。
「まぁその、戦闘科に入った理由は分かりました。」
自業自得だと思うけど。
「でもそれなら普通科に移るとか最悪辞めるとかじゃ駄目なんですか??」
「いや~それが初日にはもう僕が伝説の大魔導師の一番弟子だって噂が広まってて何を言っても信じてくれなくて。それに、辞めるわけにはいかなくて……」
「あ~なるほど何か事情があるんですね。それは大変だ、って初日??今日が初日じゃないんですか??」
「いえ入学式があったのは一週間前ですよ。まぁFクラスはどっちみち入学式は無いですけど、でもまさか一週間誰も来ないとは思いませんでしたよ。」
「えぇ!?そんなの初耳だ。ソエルさん!?」
「どうしました?」
さっきまでの大笑いがまるで無かったかのようにすまし顔で聞いてくる。
「入学式は一週間前って話なんですけど……」
「エー。ソエルハツミミーシラナカッターゴメンチャイ。」
本に顔を戻してものすごい棒読みを繰り出す。
「あぁそうですか。それなら仕方ないですね。」
実際戦闘科の生徒は決闘が始まる放課後まではほとんど学校に来ることはないらしい。
家で寝てたり、魔法の練習をしたり、遊んでたり、部活をしていたり、まぁかなり自由だ。
それでもやっぱり中学まで真面目に学校に通っていた身としては初日くらいはちゃんと出席したかったのだ。
ま、でもまさか本当に誰も来ていないとは思わなかったが。
「あははすみませんお待たせしてしまって。でも初日からって事はもしかして毎日ここで待ってたんですか??」
「えぇまぁ一応。でも気にしないで下さい。Aクラスの教室より全然マシなので。」
「さすがにAの人は来てるんですね。どんな人達なんですか??」
確かAクラスは5人だって聞いたけど、皆強いんだろうな。
「あ~そうですね。まず常に金属鎧を身につけている人、常に寝てる人、常に笑ってる人、あと一人はまだ一度も学園に来ていません。」
オーさすがトップ集団。
キャラ作りは大事って事ですね。うん。
「あははなかなか楽しそうですね。」
「いやーひどいですよ。本当に。鎧の人は勇者が一番強い、とか言って絡んでくるし、笑ってる人は上級生の教室にナンパしにいって何故か黒コゲで帰ってくるし、寝てる人は初日からずっと寝てるんですよ。意味が分からない。普通じゃないですよ。」
いやー確かに普通じゃないね。
一番魔力量が多いのに魔法を使えない上に誉められると中2病になるあなたを含めて。
「そうなんですね。カマセさんの事情は分かりました。でも、魔力を奪われたふりをして、その後はどうするんですか?」
「その、もしヒカルさんとソエルさんが良ければなんですが一緒にいさせてもらえませんか?魔力0では普通科に移る事は出来ませんし、それどころか学園を辞める事になります。ヒカルさんに魔力を戻してもらった事にしても前と同じ。ですから、ヒカルさんの子分と言いますか舎弟のような感じになれたら一番いいんですが………どうですか?」
「いや、どうですか?と言われても………」
「分かりました。そうゆう事ならヒカルさんの手下として働いてもらいましょう。」
いつの間にか俺の隣に立っているソエルさんは言った。
「いやいや手下って……魔王じゃあるまいし。」
「ヒカルさんの手下という事は契約者である私の手下でもあります。しっかり働いて下さいね。カマセさん。」
そう言ってジャイ○ンもといソエルさんは微笑んだ。
「ハハ!必ずやお役に立ってみせます。ヒカルさん、ソエルさん、改めてよろしくお願いいたします。」
片膝立ちでそう言ったカマセは最後に丁寧な土下座をする。
テレテレッテッテー カマセ が手下になった。
ステータス
イヌール・カマセ
職業 ヒカルの手下(ソエルの召し使い)
魔力 9999
魔法適正0
魔法攻撃力0
魔法防御0
他 平均
顔面戦闘力S+
通常全身から放出できる魔力を足の裏からしか出せず魔方陣を敷かないと魔法が使えない。
しかし、魔力コントロールも絶望的に下手なため使える魔法は周りを照らす光の魔法のみ。
ちなみにこの魔法は通常5、6歳で誰でも使える。
誉められると調子に乗る。(中2病)
過去のあだ名は
サキュバスの餌
カマセ犬
持ち腐れ野郎
等々
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