第4話 ミスターハイスペック(餌)

 皆さんおはこんばんちは。

 最初から読んでくれている方はアレ?ってなると思いますが間違いではなくちゃんと4話ですのでご安心下さい。



「ギャハハやれー!!」「ぶっ殺せー!!」「さっさと始めろー!!」

「○○○!!」「△△△!!」「SSS!!」

 ↑全部野次ね。

 まぁ俺には聞こえないんですが。



 …………………

「やっと来たな!!Fクラス最底辺のクソ雑魚野郎が俺様を待たせやがって!!○○○!!△△△!!S○X!!」

 ↑何を言ってるのか最後聞き取れなかった。多分暴言です。えっちぃのは嫌いです。


「あははすみません。ちょっと緊張しちゃって。」

(ヒカルさんそうゆうの要らないのでさっさと○して下さい。)

 ↑何を言ってるのか分からなかった。まぁメインヒロインが暴言とかありえないし、多分聞き間違いです。はい。

 …………………


『さぁ!!皆様大変長らくお待たせしました!!第7654期!記念すべき第一試合は!!両者1年!!しかしその魔力差は歴然!!自称大魔導師の一番弟子!!その圧倒的魔力量でどんな大魔術を見せてくれるのか!?A1カマセ!!!対するは1年で最底値の魔力量を誇る"人間"にして火の精霊の契約者!!F20ヒカル!!一年生最大と最低の試合は果たしてどのような結末を見せてくれるのか!!!??』


「「「ウオオオオォォォォォォ!!!!」」」

 実況部の挨拶に観客席が沸く。


 ………………………


「向き合って!礼!!!構え!!始め!!!!!」


 開始の合図と共に全力で駆ける。カマセとの距離は約100メートル、魔力強化した足なら5秒をきる。


 俺とは対称にカマセは動かない。杖を両手で握り仁王立ちしながら何かを唱える。


 後3秒!

 カマセと周囲の地面が黒く光る。


 後2秒!!

 光は輝きを増し足元に巨大な魔方陣が浮かび上がる。


 後1秒!!後ろに引き絞った右腕に魔力を集中!!


 カマセの背後に無数の光の玉が浮かぶのと同時


「ウオオオオォォォォォォォ!!!」


 全力の拳が炸裂する。


 カマセの足元に。


(ソエルさん!)

(はぁ。分かりました。)

 それと同時に炎が巻き上がる。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア」


 鼓膜が破れそうな程の悲鳴をあげるカマセ。


 炎は俺とカマセを円形に囲み、上が見えない程の高さまで伸びている。




「…………あの本当にこれでいいんですか?カマセさん?」


「はい!完璧です、ありがとうございます!!後は試合後の演・技・も宜しくお願いします!」


 周りの視線を排除した炎の渦の中で一年生最・大・の魔力量を誇る最・弱・の魔法使いは土下座しながらそう言った。


 はぁまったく何でこんな事に……





 …………………

 ソエルさんとマジメなお話をしてから2週間が過ぎた。


 その間に魔法学校の事や魔力の事等々この世界の事を色々と教えてもらった。


 そしてついに今日から俺も魔法使いの仲間入りだ。


 ――国立聖マジカルワンダー魔法学園――

 通称マジンダー学園

 生徒総数約2000人

 普通科、戦闘科、回復科、三つの科があり、俺が通うのは勿論普通科!!


 ではなく戦闘科だ。

 そして俺のクラスはFクラス、戦闘科はA~Fまでのクラスがあり、最初は魔力量でクラス分けが成される。

 当然ただの人間の俺は最底辺になる。

 とは言ってもまったくの0ではなくソエルさんと契約した事で魔界の一般人並の魔力は持っている。


 最初は、と言ったのはある条件でクラスを移動する事が出来るからだ。


 戦闘科 A~F Fは底辺 ある条件でクラスを移動できる。


 これだけで何となく分かると思うけど

 つまり生徒同士の魔法を使った決闘を行い勝った者は上に負けた者は下に、ということだ。


 戦闘科にあるのは決闘とランキングともう1つ、まぁそれについてはまた後で。


 とにかく戦闘科では強い者が優秀と言う訳だ。

 つまり最底辺の俺は………はぁ。


「カルさん。ヒカルさん!」


「あ、はい。どうしました?ソエルさん?」


「お客さんですよ。」


「お客さん?」

 現在俺は自分の教室にいる。

 ちなみに周りにいるのは隣の席に座るソエルさんだけ。

 だったが今は右隣の席に1人の男がこちらを向いて座っている。


「すみません。考え事してる時にお邪魔してしまって。」

 男はペコリと頭を下げる。

 服装は学ラン、長身で黒髪の爽やかなイケメンだ。

 ちなみに学ランはこの男の趣味ではなく(いやもしかしたら好きなのかもしれないが)学園の制服なのだ。

 女子はセーラー服。この制服かもしくは指定のローブを着るのが学園の規則だ。

 何でローブだけじゃなくて学ランとセーラー服があるのかって?

 現校長(194)の趣味………らしい。


「あ、いえただぼーっとしてただけなんで、それより何のご用ですか??」


「恥ずかしい話なんですが…………僕と決闘してくれませんか??」手を組んで上目遣いで俺を見る男。


「え?俺と?……ですか??」イケメンの上目遣いに一瞬ときめ……

きそうになるがそれより疑問が上回る。俺と決闘??何で??


目の前の男の事は何も知らないが、俺が最底辺な以上はこの男は確実に俺より上の位置にいる訳で………

正直俺と決闘するメリットが何も思い付かない。弱いものイジメ大好きなくそ野郎にはとても見えないし………


「あの、失礼ですけど何でか理由を聞いてもいいですか?」


「ええ、勿論です。実は僕、魔法が使えないんです。」


「へ?魔法が……使えない?ってあの………何クラスの方ですか?」


「あぁ自己紹介がまだでしたね。僕はイヌール・カマセ。クラスはA、序列は1です。」

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