第12,5話 誘ったら誘われていた件
一週間近くも僕が会いに来るのを待っていたなんて思いもよらなかった。
それから屋上にいくまでの間に学校では付き合っている事は暫く秘密にすることにしました。
これは最初に初対面みたいな態度をとってしまったので時期がきたらということにした。
理由説明すると江菜さんは別に構いませんとあっさりと了承してくれた。
その為デートは定期的に。
まだ感情が感情だから自分が江菜さんの彼氏、恋人というのは違和感がある。
でも、これからは時間を掛けてやっていく事、余裕をもっていけたら良いです。
そして昼休み屋上で先に来て僕の持ってきたレジャーシートを敷いて座って待っていた(女子達に追いかけられた事で)汗だくの樹と合流。時間も少し遅かったから咎められるかなと思ったけど、雪は飲み物を買いに一度下に行ったらしいけど、会わなかった。
丁度、僕らの後に戻ってきて、今は昼食を取っているのですけど、途中雪は江菜さんを頭から座っている足先まで舐め回すように、にやにやしながら見ていました。
靴を脱いでいるので江菜さんは苦笑いを浮かべながら一歩後ろに下がるように体を引いていた。
そして「可愛い!」と興奮しながら雪は勢いよく江菜さんに抱きついた。
こうなったら多分満足するまで止めないかもと諦めた。
昼食は既に済ませていました。
そして、雪は江菜さんの何が可愛いのかというと実乃鐘高校の制服姿。
白海女学園の制服は白を基調とした制服で何年か前に上を白のブレザー、黒のネクタイ、スカートを白黒のチェック柄に変えたらしいです。カッターは黒で全体的に高級感漂うものでした。
実乃鐘の制服は上はキャラメル色のブレザー、男子は赤のネクタイ、女子は赤の蝶ネクタイ。
鈴丘は学年別で色が違うというのでしたけどここは統一されて下はどちらも紺色。
こっちはオシャレ感がある制服。
白海はまさにお嬢様感があったけどこっちはより可愛いさを出してる。加えて黒のストッキングがちょっと妖艶さを醸し出しています。
「すいません、江菜さん」
「いえ、お気に為さらず」
その状態で僕は江菜さんが一週間音沙汰無かった理由を話しました。
只の早とちりで転入試験勉強の為と荒療治とか甘えたかったとかは省きました。
省いただけ嘘は言っていません。
左隣に座っていた樹が肩をポンポンと叩いてきたので振り向くと眉を動かして何かを伝えている。
分からず眉を寄せた。
すると今度口パクで訴え始めた。
やっぱりは分からない。
そして、とうとう呆れられた。
「蓮地さんも樹さんもどうかしました?」
「別に何でも無いです。そうだ。明後日の土曜日花見に行きませんか?」
「わかってんならささっと言え!」
樹は怒ってるのか呆れてるのかよく分からない表情で怒られた?
さっきから訴えてたのがやっと分かったというか分かりにくい。
「私も行く予定です」
「…おぉ!やったぁ」
雪が足をパタパタと動かしてはやしゃいでいる。
行く予定?
というかさっきはやしゃいでたのに、雪はいつの間にか江菜さんから離れていた。
「その様子ですとお聞きになっていないのですね。花見は私のお母様からのお誘いなんです」
僕の知ってるのも含めて話をまとめると四日前デスマゾンビ(春咲季吹)が突然、「土曜日に花見にレンチンゴー《レッツゴー》」と(微妙なものは無視)言い出しました。
どうやら江菜さんのお母さん、葉上紗苗さんからのお誘いらしい。また江菜さんのお父さん、社長から僕の父さんに伝えられたとのこと。
最近呼び出され続けているから同僚の人達から噂されてそうで心配。
今更いっても仕方ないので忘れよう。
「そうなんですね」
「ええ。ですので土曜日はよろしくお願いいたします」
江菜さんは楽しみにしているようで頬を少し赤くしていますがさっき気になる人物が一人いた。
「な、何?蓮」
「…雪、何かあった?」
「え?な、何もないけど」
少し動揺した感じはあるけど雪が嘘つくとも思えない。
なら、さっきの間は突然の事で只動揺しただけかな。
それならいいけど、空元気に感じたのは勘違いかな。
「そっか」
「それより今度は」
「諦めるなんて思わないように努力するよ」
「もう!」
いつもの雪だ。どうやら江菜さんとの事で変に気にしすぎたみたいとまた気にしないようにそう納得させた。
そのあとは別に変わりなく昼食を楽しく食べた。
『あーん』と食べさせあうとかまだそういうのはありません。
◇◇◇
屋上に着く少し前
階段の踊り場に着いた時の事。
「忘れてた。江菜さん」
少し首を傾げて不思議そうに見ていた。
「学校でもよろしくお願いします」
「同級生としても宜しくお願い致します」
ようこそ実乃鐘高校へ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます