第12話 彼女はいきなり転校生
あれから特に何もなく只学校に行き、授業を受ける何気ない日々を送ってから約一週間経過しようと今週最後の登校を迎えていました。
そして、今日も変わらず教室に入ってに友達に会えば楽しく話題をしゃべりながらHRを待っている生徒を僕はぼーっと眺めていました。
「はぁ」
「この一週間必ず十回は溜め息つくよね。蓮地が悪いのにさ」
「やっぱりそうですよね」
「これ相当落ち込んでる?まさか限界?あの蓮地が!?」
「樹は僕を何だと思ってるの」
「他人恋愛脳かな?」
「あのね。僕は恋人に発展する迄の経験しかないの。まあそれで検索したんだけど」
「へぇ、それで」
何故ここで興味を引かれたの樹。
あれから江菜さんとは音信不通。
『彼女 仲直り 謝り方』と色々検索した所。
『電話する』
番号知らない、COMINEの電話機能でも出ないので却下
『懸命に謝る』
会えないから却下
『自宅に直接会いに行く』
住所が分からない却下
「個人差がありすぎて分からない」
江菜さんか何をしているのか、元気にやれているのか。
「はあ」
「まっ、蓮地にとって江菜ちゃんは大切な一人になったわけだ。一人に」
「理解してて二回言ってくるから嫌みにしか聞こえないんですけども」
「嫌みで言ってる」
こいつ。
でも樹の言う通り。
あれから、一週間経ったから分かります。江菜さんは僕の中で樹や雪達と同じで、離れたくない大切な存在になっています。
たとえそれがまた利用していたとしても僕はそれを否定します。
でもその、大切は彼女とは少し違う。
友人とか幼馴染の一人と同じライン。
それでも、ううん、だからこそ心配なんです。
キーンコーンカーンコーン
「まあどうするかはまた後でな」
「うん…雪?」
「…へ、へい!何?」
何、そのアニメに出てきそうな居酒屋の店主みたいな返事。
「……何かあったなら相談乗るよ」
「大丈夫。蓮は江菜の事をどうするか考える。じゃね」
さっきから黙り混んでたのを気にしない方が難しいよ。
雪も江菜さんの事を心配しているのかな。
こういう話の時とか言いたい事言って弄ってくる雪が悩まないっていったらそれは偏見。だけど珍しいのは本当。
暫くしてガラガラと二組の教卓側の扉が空き、既にずれそう丸いフレーム眼鏡をかけた女性担任が教壇に立ちました。
「はーい。ちゅうもくで〜〜す。突然ですが転入生をご紹介します」
身長は普通だけど精神がロリっぽい口調の先生の一言は当然クラスの皆に「この時期に?」「女子がいいなあ」「樹君レベルのイケメン希望」「精神ロリ良いかも」
最後の一つ余計ですけどクラスの皆が騒ぎ始めました。
「はーい。まだ話の途中ですよぉ」
そう言って先生は咳払いを一回してから話し始めました。
「なんと皆驚き!あの有名なお嬢様高校
「おお!」と女子も歓喜を上げて廊下まで響き渡りました。
女子確定です。
白海女学園は全国でも有数のお嬢様学校の一つで偏差値も確か実乃鐘より高い学校です。
でも、どの学校も登校が始まってから平均的に二週間。
一体どんな事情で来たんだろう。
考えていると先生は扉を開けて廊下で待っている転入生の女子に声をかけると転入生の女子が教室へと姿を現しました。
「………ぁ」
「それじゃあ自己紹介をよろしくね」
「はい。葉上江菜と申します。皆様、よろしくお願い致します」
実乃鐘高校の制服を身に纏った江菜さんがニコッと微笑んで終わるとクラスから大歓声が上がりました。
殆ど男。
僕はいきなり過ぎて呆けるしかありませんでした。
何故かと言いますと江菜さんがいきなり転入してきたからです。
◇◇◇
「葉上さん、白海女学園ってどんなとこ」
「私達女子には憧れみたいな所だから気になるよね」
「「ねぇ!!」
「俺らにも質問させろ!」
「うっさい。どうせ好きな食べもの〜とか何でしょ」
わぁ酷い。
一時間目が終わり休み時間に入った瞬間、クラスほぼ全員が江菜さんの席に向かい転入生展開の質問タイム。
既に別クラスでも白海女学園からの急な転入生の噂話で持ちきりだったそうで、見に来る人が絶えません。
しかし、二組の独占状態で見に行っても一目見ることさえできないと教室へ戻っていきました。
ドンマイ?
江菜さんの席は扉側。僕は外窓側と反対。
席の配列としては名前がハ行なので基本は隣。
でも精神ロリ先生が「今いる席が暫く君達の席ですよぉ」と言った結果、席は自由に近い状態となりバラバラな配置です。
「止めにいかないの?」
そう言って樹が遠慮なしに僕の席の机に座る。
「……気まずい」
「だよね。でも彼女でしょ」
「……多分」
「本当にこれは重症かも」
「それに今言ったらややこしくなると思うし」
「今そんなこといってる場合かな?」
「そう、だけど」
実際になってみると声をかけづらい。
「蓮地は隠したいの?」
「…多分、人と場合によるかな」
付き合ったら、付き合うことになった時友達に打ち明けるのに悩む人は少なくないでしょう。
秘密にするカップルは付き合い始めたことで生じる恋愛話への抵抗感、隠してる罪悪感等がある。
もう一つは周囲からの冷やかしや弄られる事が嫌だからというのがありました。
秘密にしない場合。堂々としてればデートに行きやすい、スッキリした気分になる。でも、別れたときに広まるのではということで悩んでいる人もいた。
依頼者にどう付き合っていきたいかは聞く。
けどそれだけ。
その先は依頼者次第。
成就した時に一度相談されましたが対処はしませんでした。
この先は付き合った二人の問題。
だから人と場合。また時にもよります。
「堂々としたいか、周囲の目を気にしながらしたいか」みたいなことは言いましたが。
で、この相談をされた時に樹がいた。
今は喧嘩?なのか分かりませんが状況的にどちらでもなく第三の選択肢『時』だと思います。
それに
「雪が順番に質問させてるし大丈夫だよ」
「雪も大変」
「クラス委員長だから仕方ないよ」
「そういう意…まあいいや。それもあってるから」
「気になる言い方」
「それはそれとしてズバッと言う雪にピッタリな委員職だよね」
クラス委員長は皆のプリントを回収したり、職員室まで持っていったり、学校行事に関わったり、HRを仕切るところもあるそうです。そして、殆どの学生がやりたくない委員職。
それを雪は率先して立候補した。
「『立候補するので男子は凉衣君か春咲君のどちらかを推薦します』って言って…って蓮地もクラス委員長じゃないか!」
「成長したんだね、感情昂っても口の悪さが無い」
「まあね。って話を逸らしてんじゃねぇ」
「せっかく誉めたのに」
「いいから行け、ボケ」
いっそ口調を矯正してあげた方が良いんじゃないかな、なんて考えていてじっとしてたらまたぼろ出しそうだし行くしかないよね。
「あの、葉上さん」
呼び掛けた瞬間クラスメイトの男子と女子から鋭い眼差しが襲いかかる。
止めようかな。
「何でしょうか?」
反応あり、いや無視はさすがにこの学校で最初はないですよね。応えてくれるか心配で変に安堵してしまった。
「…昼休み、時間貰って大丈夫ですか?クラス委員長として、学校…案内させてもらえればと思って」
「ええ、構いませんよ」
良かった。普通に対応してくれた。
「雪も良いかな?」
「うん、いいよ」
昼休み話ができればと考えているとチャイムが鳴りました。
そのせいでクラスメイトから「時間返せ」「後でも良かったでしょ」等を怒りの視線を浴びました。
付き合ってる?の絶対言いません。怖いから。
◇◇◇
昼休み。予定通り蓮地は雪と江菜に校内案内を始めた。
廊下を歩く度に江菜を一目見ようと教室から出てくる生徒で廊下は溢れ帰っている。
そんな気まずい状態の中で雪が「今日、弁当ないから買ってくる」と言って購買兼食堂に向かって階段を下りていった。
下りる際に蓮地に「喧嘩ならさっさと仲直りしろ」と言いたげな視線を送った。
気を使ってくれているのだろう。
しかし、余計に気まずい状態だ。
しかし、食堂に向かう雪の後ろ姿に元気が無い様に蓮地には見えた。
その間に江菜と話しをしなければならないと蓮地は不安と緊張を抱きながら一階から食堂、保健室と案内をしていくが説明以外で全く口を開く事がなかった。
結果沈黙が続いた。
しかし、次の物理実験室に向かう途中で江菜が話しかけた。
「蓮地さん」
声を掛けられた瞬間、蓮地は何を言われるのか不安に押し潰されそうなくらい心を満たされた。
ゆっくり振り返り、江菜が蓮地を見つめる。
蓮地がギュッと目を瞑るとニヤっと小悪魔的な笑みを浮かべた。
「まさかとは思いますが、今日まで怒らせたと思ってました?」
「……」
「あの…蓮地さん?」
反応が無かった。応答する気配すらない。
只ひたすら機械のように淡々と説明をしながら案内を進めていく。
白海女学園にもあるだろうと思う場所は確認をとって軽い説明をする。
そして、蓮地は次の案内場所へと歩き出し、江菜に話す余地を与えず階段を上っていき図書室、情報室と案内をしていった。
江菜は只、黙って着いていく。
その表情は“やってしまった”感ありまくりな表情だ。
ふと、蓮地は音楽室で足を止め江菜の方へとくるっと振り返った。
「は、葉上さん」
呼ぶ声は震えていた。
「はい」
江菜さんはぐっと構えて返事をすると、ゆっくりと蓮地は振り返る。
蓮地は涙を流しているではないか。
江菜は驚いた。
蓮地は悩んだ。
途中帰ったのは自分の発言が悪いのは明白だと。
そして、この約一週間、連絡も出会うことも出来ない状態も。
それが突然自分の学校に転入。
頭が追い付かなくても仕方ないだろう。
「泣き止んでください」
「すいません、僕があんな…あんなこと聞かなかったらって」
「あれは私も突然帰ってしまい申し訳ありません。考える時間が欲しかったのです。話すかどうか。ですから大丈夫です」
「…僕もすいません」
「もういいですから。それより少し良いですか?」
すると江菜は笑顔という名の表情のままほんの少し頬を膨らませ、右手で蓮地の右頬を抓りむにむにと引っ張る。
「やっぱ、りぃ…怒って、るぅ…じゃないですか止めてください!」
「と、突然の…む、無視で不安にさせたのですからと、当然です。それに泣き止んでくれませんから」
江菜は蓮地の言葉が時々引っ張る事で妙に伸びるのが面白かったようで体がぷるぷると震えていた。
江菜は更に抓っている頬とは別の頬も抓る。蓮地の両頬はつり合い状態になった。
「…ぷふ」
抓る事を止めず江菜は蓮地の顔で楽しんでいる。この時蓮地には江菜がSっ気女王様に見えていた。
同時に蓮地の心に少し余裕が生まれた。
「江菜ひゃん」
「何ですか?」
「ちょっと癖になりひょう」
冗談である理解も信頼もする江菜ではあるもドン引きせずにいられなかった。
パッと手を離された蓮地の頬は見事に綺麗な赤みを帯びている。
「いてて、冗談です」
「少し本気に感じましたが」
「江菜さんが弄るので僕も良いかなぁって」
「も、もう二度と致しません」
そっぽを向いた表情は不機嫌だったが声色は楽しそうで頬も少し赤くなっていた。
そんな顔をみて蓮地の心はまた少し余裕が生まれた。
「それで、江菜さん考えていたって?」
そう言った瞬間、江菜の表情が真剣さを帯びる。そして、蓮地の目線を合わせゆっくり話し出した。
「あの時、蓮地さんは仰いましたね。私が蓮地さんと付き合う事に際して何か隠していると。その通りです。私は蓮地さんに言えていないことがあります。ですが、それはもう少し待って貰えますか」
江菜が蓮地を真っ直ぐ見つめるその瞳は待ってくれると信じる、と語っているように感じた蓮地は、内心で「信じれなくてすいません」と謝罪した。
謝らないでください。蓮地はそう返されると思った言葉にしなかった。
「そして、蓮地さんに謝罪しなければいけません。私は一旦この関係を終わりにしたいと思いました」
「え…な…そう」
「ストップ!そこで受け入れようとしないでください。確り今の言葉を思い出してください!」
蓮地は言葉を小さい声で復唱して思い出そうとする。
「あ…思いましたって事は今は違う」
江菜はホッと安堵した。
蓮地は早とちりで危うく悲しませるところだったと江菜さんとは別の意味で安堵した。
「蓮地さん。貴方が私の提案を呑んだのは、水樹さんや季吹さん達を悲しませたくなかったから、提案した私の好意に応えたいと思ったからではないですか?」
江菜の言った通り、蓮地が自身の恋愛に興味が無いことは江菜と出会った時に知られてしまった。
そして、蓮地は感情が欠落してるなんて知った時以上のことで悲しませたくなかった。受け入れてくれた江菜さんの気持ちを無下にしたくなかった。
蓮地はそう思った。
「そして、それは私を利用しているという事と考えてしまったのでは?」
だから蓮地は諦めることを選んだ。利用してまで続けたくなかったから。
それはただの驕りだと、あれから蓮地は考えて気付いた。
しかし、
「私は思いました。おそらく蓮地さん自身まだ私との交際と提案に気持ちが追い付いていないのではと、ですから私は一旦別れて〝友達〟から始めようと今更ながら思ったんです」
そう。確かに本来なら友達(ネット友達他)や先輩後輩関係から始まって発展していくものだ。
しかし、二人の場合はそれが一切なく、江菜さんが一方的に知っていただけ。
それから一気に恋人関係ともなれば気持ちが追い付かないのも無理ない。
「もっと早く気付くべきでした。片想いであれ告白を受け入れてくれて」
「プロポー…」
直後、その先は言わせないと江菜は態と咳き込む。「告白を受け入れてくれて」から話を再開する。
蓮地は「そこから始めるんですね」と内心でツッコミを入れる。
「恋人になって舞い上がっていました。舞い上がって考えないようにしていたんです。でもお陰で分かりました。蓮地さん、貴方は確かに利用していたの〝かも〟しれません。ですが、それは私や水樹さん達家族を思ってのこと。それが分かった瞬間、私はとても幸せになりました」
蓮地も話を聞いて分かった。江菜の方が他人の事を考えてると、江菜が大切な存在となったのは恋人関係なった時からだと。
その相まった感情が涙として現れた。
「だから私は一旦別れる考えを止めました。提案したのは私です。蓮地さんは諦めないと仰いました。なら私が蓮地さんの歩みを止めてどうするんですかって」
一旦話を止めて息を整える。そして、江菜は少し距離を取ると姿勢をただし口を開いた。
「蓮地さん。私と恋人になってくれますか」
蓮地の心は既に決まっている。だから、蓮地は気持ちを確認したかった。
「もし、気持ちに応えられず、片想いのまま終わったら?」
「その時は片想いのまま側にいます。私をなめない事です」
「辛くなると思いますよ」
「確かに次第に気持ちは膨らんで溢れかえるかもしれません。でも、それは蓮地さんも同じですよね」
コクンと蓮地は頷く。
「それなら、大丈夫です。私達で乗り越えましょう…一人増えるかもしれませんが」
「え」
「何でもありません」
「…?…最後に本当にこんな自分でも良いですよね」
「はい」
蓮地は何が吹っ切れたような表情で、にッと口角を小さく上げる。
「これからも…いえ、これからよろしくお願いいたします」
「はい!」
同時に江菜さんは満面の笑みを向けた。
「……それはそれとして……心配していらしたんですよね。なぜ家に来てくださら無かったのですか?」
「え?」
「だって僕、江菜さん家知りませんし」
「え?」
「え?」
「…あの蓮地さん、季吹さんから聞いてませんか?お父様に言っておいたはずなんですが」
実は蓮地が訪れるかもしれないと思い、父、一成を通して蓮地の父親である春咲季吹に葉上宅の住所を教えている筈だった。
「いえ、聞いてないです。でも、それなら江菜さんがメッセージ送ってくれれば」
「その時はここに転入するために勉強漬けでそれどころではなかったんです」
気まずい雰囲気で、突然帰ってしまい、その後、会うことも連絡することもしづらくなった。
口実が欲しいと選んだのが実乃鐘高校への転入だった。本来なら時間がかかるのだが理事長が叔父だ。そこはどうにかなったのだ。
事前に転入手続きをしていた為来るしかなかった仕方ないと自分を納得させた。
只、試験もなにもせずに入るのは裏口入学と同じ。だから理事長として江菜に転入試験を受けてもらうことにした。
そして、早速理事長の叔父に頼んで転入手続きを済ませ試験を受けた。その間は勉強漬け。
それで父親に頼んだのだが、その頃、運悪く季吹のいるゲーム班は製作中ゲームのベータ版を製作中、予定がズレ少々デスマーチに入っていた。
その為に連蓮地は住所を知る事が出来なかったのだ。
お陰で転入試験はほぼ満点だったらしい。
(気にかけてくれててその点数。凄いなぁ)
しかし、言い換えればそれほど蓮地に会いたかったという事ととれなくもない。
「ぅぅ…失態です、もう少し考えるべきでした」
「江菜さんそこまでのこ…」
「私にとってはそこまでの事なのです!!」
この変わった恋人関係は自分達だけかもしれないと改めて蓮地は思った。
実際そうだろう。
この時しっかりしているけどたまに抜ける江菜を可愛いと思った蓮地だった。
「……残りの校内の案内、また今度にします?」
「…はい」
「じゃあお昼行きましょう。それで良ければ僕の弁当のおかず少しいりますか?」
「!…是非!」
先程まで顔を埋めていたのが嘘のように立ち上がり目をキラキラ輝かせながら蓮地の顔のすぐ側まで寄ってきた。
蓮地が顔を赤くしたことで江菜は我に戻り数歩引き、顔に再び熱を籠らせて表情が見えないように俯いて蓮地の赤くなった顔を嬉しそうに見る。
「では屋上への案内、お願い致します」
「ご案内致します」
蓮地はダンスに誘うように手を差し出して江菜は手を取り快く誘いを受けた。
端から見れば仲の良いカップルにもしかしたら見えるかもしれない。
だが一人は恋情皆無でもう一人は恋情絶大と先が長い感じの二人である。
「そうです!帰りに買い食いをしてみたいです」
「大丈夫ですか?」
女性としてもそうだし親が気にするのでは。
「私、それほどお嬢様ではありませんよ」
見えない、蓮地はそう思った。
「ゲームは嗜み以上です」
驚き。プレイ時間のレベルはどれくらいなのだろうかと気になったは思った。
「ですので、必ず蓮地さんを攻略してみせます」
江菜は小悪魔みたいな笑みを向けた。
「そう簡単にはいかないと思いますよ」
一人の男子は恋愛感情を得る為にまた一人の女子はそんな男子を惚れさせる為と互いに利用し利用される、今はまだ二人の関係はそれでいいのかもしれない。
「江菜さん、改めて宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願い致します」
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