第4話 告げます。 よろしくお願いします
え?
その時何秒か何分か分からないですけど、思考停止をしてしまいました。
えっと、整理するとついさっき帰って来て妹が玄関で待っていて靴を脱ごうとしたら・・・ん?聞き間違いかな。いきなり知らない女の子からプ○ポー○をされました!?告白ではなくて。
と、とりあえず、
「こ、ここではな、なん、なんですし良かったら家に。後ろの執事?さんもどうぞ」
動揺が隠しきれません。
玄関で立ってても辛いだけ、ここだと他人の目に写るので。
まあでも、家の前にリムジンが止まってる時点で注目浴びりますよね、絶対。
でもあのリムジンに見覚えのあるのは何故なのか?
「宜しいのですか?」
「は、はい」
それに後ろの鈴が凄い怖い。瞬きのしていない視線がこっちにくる。
「蓮地!?知り合いならとりあえず上がってもらったら?」
中々戻ってこないから来たのは知り合いで話し込んでいると思って言ってくれてるでしょう。
「か、母さんもああ言ってますし」
「それでは、御言葉に甘えさせていただきます。
「畏まりました」
おお、アニメとか見た奴。
納得はしてなさそうな鈴も渋々としながら承諾しました。
母さん怒らすと怖い…いや、こっちの恐い?ですかね。
兎にも角にもお二方に家に上がっていただきました。
「むぅ」
「鈴っ!」
「うん」
聞き分けが良くて偉いぞ。
さて、椅子に座って貰いましたがどこから聞いたらいいものでしょうか。
「ごめんなさい、緑茶しかなくて」
「ありがとうございます。春咲様のお母様」
か、母さんの言葉使いが違うことに僕の頭上に雷が落ちたような衝撃を受けました。
勿論比喩です。実際は落ちたことなどはないです。というかその前にここにいません。
「蓮地、今失礼な事考えなかった?」
「ううん、考えてないよ!」
言ったけど全力で否定します。というか母さんも話聞くの?
「そんな事より!あなたは誰なんですか!お兄ちゃんに、お兄ちゃんにぷ、プロポーズぅ…」
さすが鈴、いきなりの直球質問。お兄ちゃんそこは少し見習いたくなります。
最後に赤くなっていったけど。もにょもにょと可愛い妹。
違う違う、せっかく鈴が聞いてくれたんだ。
「それは僕も聞きたいです。まずは名前を…ああ、聞く前に僕は」
「春咲蓮地様。○○○○年12月4日生まれ。16歳、AB型、167センチ、体重56.7キロ、趣味は料理や読書、ゲーム等、本日からここから電車通勤含めて約30分程の所にある実乃鐘高校に入学、家族構成は」
「え?ちょっと待って!」
「なんでしょう?」
なんでしょう?ってそんな何で止めるの?みたいな顔で見ないでください。
「何で知ってるんですか?」
「調べさせていただきました。常識はずれな事をしたのは自覚しております」
さらっと言っちゃいましたよこの人。しかも自覚してやってました。
末恐ろしいです。
「だとしても名前だけ自己紹介させて貰いますね」
「律儀ですね」
カタッと椅子から立って自己紹介します。色々と社交辞令として。
「コホン、では改めて。僕は春咲蓮地です」
これ以上いらないよね。
「春咲鈴奈と申します。よろしくお願いいたします」
丁寧に自己紹介してくれたのは素直に嬉しいけど目が、笑ってないよね。
学校での凛モード鈴さんはどこ行ったのかな。
「そして私がこの子達の母親の春咲水樹です」
そして、最後に彼女の自己紹介。お嬢様となんて覚えがないので誰なのかドキドキと身構えます。
「私は
「江菜様の執事をしております。
葉上江菜さんの挨拶は先程までの言い表せない可愛い女子から美女と言っても良いほどに優美、優雅、と色々似た表現がありますが綺麗なお辞儀をした自己紹介。
僕ら三人は一瞬見とれてしまった。
というか僕だけ名前以外も色々知られてる。
蒿田さんは僕らのよく知る執事という感じの挨拶でした。見た目は30代位なのに実際は年齢が51歳だと執事さん自身から最後に言った時はまた驚きでした。
とりあえず緑茶で一度落ち着かせました。
「ふぅ…では、自己紹介も終わったので本題に入ります。
まず確認したいんですけど、結婚といいましたよね?」
「そういえば、鈴奈がさっきプロポーズとか」
「そうよお母さん!この人お兄ちゃんにいきなりプロポーズしてきたんだよ!」
二人ともそんなプロポーズ、プロポーズ連呼しないで、されたかもしれない僕が恥ずかしいから、悶えたくなるから。
「はい、確かに申しました」
こっちはこっちで否定しなかった!
「理由…聞いてもいいですか?」
「勿論です。それでは早速」
目を輝かせて嬉しいそうに葉上さんが語り出しました。
◇◇◇
「蒿田、最後の予定は」
「はい。最後は旦那様と御同行しての披露宴となっております」
「わかりました」
前の予定終えてその披露宴会場に向かう道を走っている、その時でした。
「!蒿田、ブレーキです!」
突然、歩道から猫さんが飛び出して来たのです。蒿田は即座にブレーキを掛けました。
ですが、このままでは間に合わずに猫さんを引いてしまう、そう思いました。
でも、猫さんの首根っこを掴みそのまま歩道の柵を越えようとした男の子は助走が足りず足を引っかけそのまま落ちましたが猫さんを助けたのです。
それが春咲蓮地様でした。
危険を承知での行動というのは中々出来るものではありません。私はその行動に心打たれたのです。
◇◇◇
それだけ。というかあったっけ?覚えがないよ。
唸りながら考えていると鈴が「あっ」何かを思い出したようです。
「お兄ちゃん一度私服をボロボロにして帰って来た事会ったよね。その時のことじゃない?」
「・・・ああ!あったね中学の時に。その後にこっぴどく母さんに怒られたのも、あったね」
「私も思い出したわ。あの時はビックリしたよ。どうすればあんなにできるのか、そういう事だったのね。それならあの時言えば良かったじゃない」
「それ言ったらまた違う意味で怒ったよね」
「当たり前じゃない馬鹿息子」
そこは否定してよ、と思うしかできません。言ったら怖いし。
「ふふっ、楽しいご家族ですね」
そこは否定しません。むしろ自慢しつくしますよ。
「その後、名前も名乗らずに立ち去った為手掛かりの無い状態で春咲様を探す事になったので父様に頼み周辺の親戚の方などの伝を渡り私が見た人相だけで調べていただきました。
そして、父様の父方の弟の息子、私から見ると祖父の大叔父の息子の叔父方の従弟がやっている中学に在校していることがわかりました」
葉上さんのお父さん何者何でしょう。今までのをバッサリとまとめれば結局は親戚のおじさんが僕の通っている中学と高校理事長で僕の住所を教えたんですね。
理事長、個人情報を本人承諾無しの漏洩は違法だよね。後日覚えとくことですな。
「その後、辺りの近所の方々から春咲様のことを聞き、時々下校時に制服のまま鈴丘中学にすぐに向かい下校時の様子を見ていました」
「つけてたの!」
「いえ、私も予定が色々ありましたので門を出る所だけです」
良かった。そこまでいったら葉上さんの手が汚れる事になりかねない。
「ふふ、お優しいですね」
「え?」
「心配、してくださっているのですよね」
「それはそうですよ!」
誰がみても葉上さん可愛いし、聞いている限り好きな人には一途に尽くすタイプっぽいし。やることには一生懸命にやる方なんでしょう。
一度だけストーカー紛いの事やってたのを見たので。
「安心してください春咲様。ストーカー行為や盗聴などの犯罪をするつもりはありません。父様にも母様にも迷惑をかけますから」
「なら良かったです。それと『様』はやめてください。せめて『さん』で、あと下で呼んでくれて良いので」
「では、蓮地さん」
ヤバい、可愛い顔でニッコリと笑顔で呼ばれるのが破壊力あるものです!?
わかってはいた、いたけど、僕はこれを助っ人の時提案してた事があった。
耐性?提案しただけなので勿論ないです。
「話を戻しても?」
「まだあるんですか?」
「あと少しで終わります。時々下校の蓮地さんを見に行くと日によったり月によったりと違う女性の方々と歩いているのを数回見かけました」
「おーにーいーちゃーん?」
「いやいや待って皆が考えている女誑しでは決して無いから」
「信じていいんだよねお兄ちゃん」
「信じて貰って良い」
本当に怒った鈴の顔は母さんそっくりだ。特に目元が怖い。今にも殺されそう。
「蓮地、嘘と分かったら。わかるな」
「分かってます。重々承知しております。姉御」
「誰が姉御だ馬鹿者!」
だって口調と出てる雰囲気が姉御なんだもん。
「続きがあるのですが」
「そうなの?」
襲いかかりそうな妹に僕は肩をゆらされなが小刻みに何度も頷いた。
というか流れでまだあるの分かりますよね。一瞬で頭に血が昇りすぎだと思うんですけど。
「私も最初は本当は女性を誑し込む最低な方と思っていました」
うぐ。そうですよね、門の所だけを見ていたらそうなりますよね。
でも、僕そんな誑しに見えるんだ。
控えた方が良いかな。
「でも、それは後日誤解だとわかりました」
うんう、ん?それって。でも、大丈夫。
「行けない日は代わりに蒿田に見に行って頂いていたのです。
報告によるとその女性方達とはその一回切りでその方達は他の殿方達と歩き帰ったりしていったそうです」
「そうだよね。お兄ちゃんだもん」
誤解は解けたけど、何でだろう心痛い。
「それで女性の方々だけの時に尋ねてみたのです」
そんな事してたんですか。その人達からは何も聞いてないですよ。
まあ言う義務無いですけど。
「ですが、全ての方に『それは言えない』と」
うん、箝口令的なのやってたからね。
でも、やっぱり僕そんな事聞いた事無かったです。
「お兄ちゃん」
鈴のギロッと睨み付ける目はこんな鈴は初めてでとても恐ろしいと感じた。ちゃんと違うと否定しましたよ。
女子にそんな事にさせるわけない。
「暫くして、女性の周りで『一年生を探す女子中学生がいる』というのが広がっていたらしくそれを聞き付け自分にも覚えのあるという一人の女性の方が私を見つけて声をかけていただき、事情を教えていただけたのです。名前は確か…菱実さんです」
せんぱぁぁぁぁい貴女かぁぁぁ。
「待ってください葉上さんその先だけは」
「お兄ちゃん黙ってて!」
「あんたは黙ってろ!」
親子揃って恐いよぉ。
「…えっと、菱実様がおっしゃるには時折、恋愛の助っ人をしていたそうです」
「「恋愛の助っ人!?」」
「あんたそんなことしてたの!?」
「聞いてないよお兄ちゃん」
「聞かれてないから。とりあえず落ち着こ」
「「落ち着けるか!!」」
ですよね。苦笑いしかできない。
『ただいま』
この状況下で父さんが帰ってきた。
カチャ
「家の前にリムジンって、あり得ないコートがあるんだけど。どう?」
「「「微妙」」」
「左様ですか。でこちらのお嬢さん方は?」
葉上さんは僕らの無駄話の後に椅子から立ち上がり父さんの方に体を向ける。
「初めまして。葉上江菜と申します」
「私は執事の蒿田と申します」
「…………ハッ。こ、これはご丁寧に。私は春咲季吹と申します」
すると少し父さんが黙り込み始めた。
「……本当だったのか」
ボソッ何かを言いました。
「江菜さんでしたね」
いきなり下呼び。
「はい。父が改めてよろしくと」
あれ?今の発言だと葉上さんのお父さんと僕の父さんがお互い見知った存在だということですよね。
「父さん、どういうこと?」
「実は今日社長に呼び出されてな」
「季吹さん何かやらかしたの!」
「流れから察して水樹さん。違うから」
「父さん、とりあえず座ったら」
父さんは椅子に腰掛けて母さんから出されたお茶を一口飲み、落ち着いた所で話し始めました。
「で、実はね―――」
数時間前
ゲーム会社リーフリンク社長室
要件は一体何なんだろうか。まさか、班の皆からギャグを言っているのが批判の意見として。そんなに
ぷっ!
とにかく待たせてはいけない。
コンコンコン
「春咲季吹です」
『入りなさい』
「し、失礼いたします」
ガチャ
「しゃ、社長。ご、御用とは?」
「まあまずはそっちのソファに掛けなさい」
社長はとても気さくな方でね。でもやっぱり社長だから何事かと緊張が止まらなかったよ。暫く肩の力抜くために一緒に深呼吸とかしてくれてね。
「さて、来てもらったのは私から少し伝えたい事があってね」
「は、はい」
「季吹君には確か息子さんがいるね」
「息子ですか?はい、いますが」
「実は近々娘がその息子に会いに行くみたいだから」
「……しゃ、社長の娘さんがですか!?それはゲームシナリオでそういう一枚絵の要望とかですか」
「いやいや。そういうのはディレクターやプログラムチーフ、ADの君達に任せてるからね」
「では」
「冗談ではなく本当だよ」―――
「季吹さん、あなた会社でも微妙なのね」
「期限が迫ってるときに場をなごませるために。…それでその後、とりあえず帰ったら蓮地に伝えようと思ったんだけど…まさか」
「今日、来たと」
事情は知らないだろうけど、ここに葉上さんが来ることは知っていたらしいです。
いつかは知らなかったみたいですけど。
「アンチョビショック!」
父さん、ごめん。微妙だよ。
「それで、一体息子に何用で?」
「その人はお兄ちゃんにプロポーズをしに来たんだよ!」
「ぶふっ。プロポーズ!?」
「ポ」のアクセント可笑しいよ、父さん。
「それとお兄ちゃん中学で恋愛の助っ人みたいなのしてたんだよ!」
「ごめん、お父さん頭がパニックになりそうだ」
「父さん、その事は気にしないで」
「「だから気にする!!」」
何かめちゃくちゃ疲れてきた。もう誰か助けてください。
「あの皆様、話を戻しても?」
「そうだよ!話が変にずれてるから!」
ありがとう葉上さん助かったよ。天使で救いの神です。
「どこまでいきましたっけ?」
「助っ人をしているということが発覚した。までですね。そこから話がずれていきどう切り出せばわからなくなりましたね」
何か棘があるような少し怒ってるようなそんな感じがします。
そして、蒿田さんは家族にいつの間にかお茶を入れてますし皆落ち着き過ぎくらいにリラックスしてる。僕も落ち着きたい。
「話は蓮地さんのお父様のおかげで手間が大きく省けました。プロポーズをしようと決意した経緯は蓮地さんが人の恋も真剣に向き合う方というのが理由です」
父さんの話も込みでここまで聞いたら分かります、
でも。いや、ここははっきりさせないと。
「葉上さんの気持ちは分かった。本気でプロポーズをしてくれたのも嬉しい気持ちではある。でも」
僕はまだ少し不安だったこういうのは言ったほうが良いのは分かってます。
でも、悲しませる事にもなります。
家族だって知らないことで、知ってるのは樹と雪の二人だけです。
僕は鈴達の方を見ると心情を汲んで頷いてくれました。
汲んでくれたけど僕の思ってることとは違う。
「……葉上さん。これは家族ですら僕のことで分からない事が、知らないことがあります」
「私達も!?」
「それは、なんでしょうか?」
葉上さんは真剣に真っ直ぐに受け止める、そう語る目をしていた。家族も同じような目をして。
僕は再度心を決める。
それに引き下がっていたら 恋愛助っ人もとい相談なんてやってないですよね。
「…葉上さんは恋愛相談のことは知ってるんですよね」
言わないと。
「はい」
「確かに僕は恋愛に興味はあります。それは他人の恋愛に限ってなんです」
「…他人の?」
「はい。……僕は自分の恋愛には全く興味がありません!ですので、お断りさせていただきます」
「………」
こんな僕を好きでいてくれてるのが奇跡なんだ。傷つくのは分かってるけど、やっぱり傷ついてはほしく、なかったな。
恋愛感情が決定的に欠けているというのは中々に答えるものだと思うから。
こっそり病院にも行って証明してもらってる。
母さんは泣いてる。父さんは慰めているけど心の中では悲しんでるだろうね。
「お兄ちゃん?」
「ん?」
その時、妹に言われて僕は泣いている事に気付きました。泣いてる感覚はないのに身体は脳が勝手に涙を出させた。
「これをお使い下さい」
蒿田さんがハンカチを差し出してくれました。執事っぽいです。あ、執事ですよね
ハンカチを借りる際に僕を見る顔は何故か悲しい目をしていました。
何で。
「……か」
「江菜さん?大丈夫ですか」
分かってくれたかな。その方が
「つらすぎるではないですか!」
「え?……!」
葉上さんを見た時、怒った表情でポロポロと泣いていました。
「何で泣いてるんですか?」
「それはこちらのセリフです!何故ですか。悲しく無いのですか!?」
椅子から立つときも綺麗に立ち上がって、前のめりでそう言った。
「それは」
「当たり前だからですか?理解して、受け入れているからですか?
僕はその言葉に圧倒された。家族皆も目を見開いて驚いていた。
悲しくないその通りですよ。
当たり前で受け入れている。
その事に触れ知れば当然父さんや母さん、鈴は悲しい顔になるのは分かっていた。
だから余り考え無いようにもして言わないようにしてた。
触れられても冗談にしか感じないから。
なのに何故か今は凄く胸が苦しくて、悲しくなってる。
「ごめん、お兄ちゃん。私は知ってた」
「…知ってたって恋愛に興味が無いこと?」
「もうずいぶんと前にね。恋愛の助っ人のことは知らなかったけど。
…でもね葉上さん、お兄ちゃんは頑張ってた!多分、中学で他の人の恋愛を助ければ自分もいつか出来るんじゃないかって」
「鈴…それは違うよ」
「「「「「「え?」」」」」
え?
あっ言ったら駄目な返答だった。
今の一言で皆泣いていた涙が止まっていました。すいません。
蒿田さんも流石に執事といえど驚いてますね。まあ仕方ないか。
「違うのお兄ちゃん」
「あれは本当にやりたいことだったからね」
「そ、そうなんだ…」
「なんか、ご、ごめん鈴!」
ブンブンと顔横に振ってるけどめちゃくちゃ恥ずかしかったんだろうな顔が耳まで真っ赤になってる。
「蓮地さん」
「はい」
「一つ提案があります」
提案があると言った後葉上さんはニコッと笑顔を向けました。
悪い予感はしない、だから良い予感でもないです。
「葉上さん、その提案って」
「私とお付き合いして自分の恋愛に興味を持てるようにする事です!そして同時に私に惚れていただきます!」
「え?でも」
「これは蓮地さん自身の問題だと重々理解しています。ですが、女性とそれも好意を持つ私でしたらお付き合いしても問題はありませんよね」
「でも」
でもそれって僕が葉上さんを
「それに自分の恋愛にも興味を持てるかと。つまり付き合って私にも惚れればそれは恋愛に興味を持った事を証明した事に他ならないですから」
「は、葉上さんって結構貪欲だね」
「そこはい・ち・ず、とおっしゃってください」
可愛い顔で急にグイグイ来るなぁ。…でも、もし持てなかったら。
「……江菜さん、息子の気持ちに気づいてやれなかった父ですが、どうかよろしくお願い致します」
「父さん!?」
父さんは椅子から離れて深い土下座をしていた。
真剣な目で提案されて父さんにここまでされてたら向き合って行くしかないよね。
それにあそこまで真剣に怒って悲しんでくれたのは嬉しかった。
「葉上さん、お付き合いからになりますがよろしくお願いいたします。まずは自分の恋愛に興味を持てるようにします。あの、その惚れるようにも頑張っていきます」
どんな顔して言ったのか分かりません。でも葉上さんの顔は嬉しいそうで満面の笑みでこう言いました。
「はい、必ず惚れさせて、結婚していただきます」
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