第7話
私が泣いている間、しゅうくんはそばにいてくれた。
「ごめん。」
「いや、俺のほうこそ…。」
やっと落ち着いてからそう言うとしゅうくんは首を振った。
【俺達って、どんな関係だったんだ?】
その言葉に、私はまだ答えられない。【仲のいい友達】なんてウソを言わなければいけない。そのことが、もう限界になってきていた。
「なあ、詩音。頼みがあるんだけど…。」
「ん?なに?」
「アルバムと、日記を、一緒に見てほしい…。」
しゅうくんはそう言った。
アルバムを見たら、しゅうくんについていたウソがばれてしまう。でも、それでもいいかもしれないと思った。もう、これ以上のウソは、つきたくない。
「うん、いいよ。明日、一緒に見ようか。」
明日は撫子ちゃんもお休みの日。何かあっても対応できる。
「ああ、分かった。ありがとな、こんな頼み聞いてくれて。」
そう言ってしゅうくんは笑った。それを見て私は頷いた。
「さあ、ご飯の用意するよ!」
「俺も手伝うよ。」
「ありがとう!」
そのままご飯の支度を始める。最近はしゅうくんも毎日のように手伝ってくれるから助かっている。
でも、明日アルバムを見たら、私から離れてしまうかもしれない。そう思うと怖くて仕方ない。せめて、今日のこの時間を大切にしようと思った。
その日の夜、なんだか眠れなくて、私はリビングにいた。ミルクココアを飲んでいると不意に声を掛けられた。
「あれ?詩音?」
その声に振り向くと撫子ちゃんがいた。
「どうしたの?また眠れない?」
「うん、ちょっとね…。」
そう言って私はうつむいてしまう。
「何か、あった?」
それを見て撫子ちゃんは何か分かったんだろうか、そう言った。
「うん、聞いてくれる?長くなっちゃうけど…。」
「いいよ、明日やすみだもん。いくらでも聞く」
「ありがとう。」
そう言って私は今日あったことをすべて話した。明日しゅうくんと一緒にアルバムとかを見る約束をしたことも。
「そっか、しゅうがそんな事を…。」
「うん。多分、今日私が関係を聞かれて答えた後のことが気になって言ったんじゃないかな。」
「なるほどね。」
私が泣き出したから。しゅうくんだって昔を思い出すのは辛いはずなのに…。
「だから、私も向き合おうと思ったんだ。」
しゅうくんばかりに辛い思いをさせてちゃいけない。しゅうくんの辛い気持ちも、私が少しでも受け止めてあげられたら、そう思った。
「そっか…。もう、決めたんだね。」
「うん。」
私が頷くと撫子ちゃんは優しく笑った。
「じゃあ、協力してあげる。うん、何かあったら呼んで。約束だよ。」
「ありがとう。」
そう言ってくれる撫子ちゃんは、すごく頼もしく見えた。
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