第13畳
地球時間で10分ほどで目的の村にやって来た。
近いかと思われるかと思いきや移動手段があり得ないものだった。
「行くぞ。捕まっておれ。」
「えっ。」
シュエンが言葉を発した瞬間。
足元の地面が持ち上がり移動し始めた。前にあったはず木々は、持ち上がった土によりなぎ一秒もたたないうちに次々と倒されていく。自身も前に進んでいくためぶつかると思った瞬間倒れていくためハジメとアンナは最初はギャアギャア叫んでいたが村につく頃には放心状態だった。
二人ともシュエンにしがみついていたのはいうまでもない。。
「シュエン!もう一回!プルプル」
「そうじゃな。久しぶりにこの姿で移動したからもう一度くらいよかろう。」
そんな二人と対照的に、シュエンとメイさんの声は朗らかだった。
「も、もういい。」
「急いで着いたのはありがたいのですが……早すぎて…ウプッ」
ジェットコースターになれているハジメも体調不良に陥っているのに体験したことのないアンナはなおさらである。だが…
「大勢おるのぉ。ゴブリンとウルフの混成部隊じゃな。」
「あんな大軍無理だ。」
「大軍なんて名前じゃありませんよ。私。」
「ん?とにかく、あんな大軍無理だってば」
「大軍なんて名前じゃないのに。」
親父ギャグを言ったことにされかねないような状況にハジメは無視を決め込んだ。
そう言っている間にも、
「こいつらよわーい、プルプル」
「あ、頭から煙が」
ピュッピュッ。ジュワー。次々とメイさんは脳天一撃狙いで、次々に敵を倒していくかと思えば、シュエン
はシュエンで、
「ふぉっ、ふぉっ、ぬしらなど足元にも及ばぬわ!!」
家と家との間にいるゴブリンやウルフたちを土魔法で窪みをつけて落としていく。
その上から
「スプラッシュ!!」
ああ…濁流に飲み込まれていくゴブリンとウルフ。
更に
「ストーンウォール!!」
水没したゴブリン達の真上に土壁が埋め尽くされていく。
「ねぇ、シュエン。やりすぎじゃね…。てかストーンウォール横にも行けたのね…。」
「ぼさっとするな。後ろに来とるぞ。」
後を振り向くと、ゴブリンがニタニタしながら近づいてきていた。ハジメは弱者判定されたらしい。
「うわー、ゴブリン近くで見るとじいちゃんみたいだ。」
余裕ぶっこいていたハジメに対してナイフで攻撃を仕掛けてきた。
「うわっ、あぶねっ。」
間一髪で避ける、ハジメに対してなおもゴブリンは仕掛けてくる。
「ギャッギャギャ」
ナイフで追い込んでくるゴブリンは勝機と思ったのか、ニタニタしながらナイフを次々とハジメに振るってくるが、当たりそうで当たらない。
「人間と似たような顔してナイフ振るうなんて反則!
うわっ。もうしらん。」
独り言を呟いてる最中にもナイフはハジメを襲ってきた。そもそも、ハジメは初日から走り込んできたので敏捷性が高い。
ゴブリンの攻撃は見えていたが日本人の平和ボケが残っているので反撃をしかねていた。だが、何度もナイフでかかってこられるのでハジメもキレた。
「うざっ。これでも、食らえ!!」
ゴブリンが大きく振りかぶりハジメを攻撃しようとした隙に、ハジメは空間収納からつるはしをつかみゴブリンに対して投げつけた。
が、つるはしは弧を描いてゴブリンをすり抜けていった。
「ギャッギャギャ」
ゴブリンは焦りはしたもののつるはしは自分を通り抜けて行ったことに更に笑いを深め、ハジメに対して振りかぶってくる。
「ッチッ。外したか。」
攻撃を交わしつつ、更なる武器をとろうとした瞬間。
ブンブンブンブン。音がしてきた。
「やっべっ。」
ハジメは思わず頭を下げた。ゴブリンはハジメが降参したかと思い頭上からナイフで襲いかかる。
ブンブンブンブン。サクッ。
「ギャッギャギャ」
ゴブリンは頭から垂れてくる飛沫がハジメのものか喜んだが、実際は自分の頭上から落ちてきたものだった。
それに気づいた時にはゴブリンの意識はなくなっていた。
先程のつるはしがそのまま弧を描きゴブリンに対して刺さっていたのだ。
悪運が強いものである。ほっとしたのもつかの間、シュエンが声をかけてくる。
「ゴブリンごときに、時間をとりよって!!」
「シュエンが趣味に明け暮れてるからだろ!!」
「それより、また来てるぞ。そいつらで練習じゃ。」
「うわっ。何とかしろ。シュエン。」
「お前の受け持ちじゃ何とかしろ。」
その後、ハジメは何度も武器をゴブリンに投げつけるが直接は当たらず、ブーメランのように帰ってくることで敵に刺さり、事なきを得た。
コントロールがよいのか悪いのかわかったものではない。
その頃、アンナはというとゴブリンに追いかけられていた。
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