第12畳
「で、なにしに来たの?」
目の前のボサボサ頭の人間に尋ねる。
「あんたみたいなガキに用は無いわ!!神様か魔導師様を呼んできなさいよ!!村が…村が大変なの!」
大人、、隣にシュエンがいたはず、、、
「どうにかしろ…」木の影に隠れて手で合図を送るシュエンに対してハジメは
「師匠!!お客さんです。僕みたいなガキじゃ対処しきれません。」
と木の方を向いて叫んだ。
叫んだ瞬間、美形エルフが侵入者の目に飛び込んだのはいうまでもない。
「え、エルフ!!!?」
「師匠、この人が用事があるって。」
苦虫を噛んだような顔でこちらをみるものの、侵入者の貞子のような様相と近寄ってくる圧迫感でシュエンは逃げれなくなった。
まあ、亀の姿にもどれば逃げれなくもなかったのだが気づきもしなかったらしい。
「な…なに用じゃ…?で、で、弟子よ。な、、な、なんとかせい!!」
明らかに様子がおかしい。
小声で、「どうした?」とシュエンに尋ねると、
「ひ、人と話すのは…久しぶりでの…」とハジメの方を振り向いた顔はしょぼーんとしている。
「魔導師様…どうかお救いください。」
貞子の張りの村人はこちらに頭を下げる。
「う、うむ…ば、ば、ば、馬鹿な弟子が結界を張ってしまって出れんのじゃ…」
「言うにことかいて馬鹿って…」
っとボソッというと。
「馬鹿は馬鹿ではないか!!!出れんのは貴様のせいじゃ馬鹿弟子!!」
「言うにことかいて馬鹿はないだろ!馬鹿ってないだろ!!ちょっと知識ないくらいでいうこと欠いて馬鹿って!!」
馬鹿論争が始まろうとした時、
「ちょっと、、人が頭下げてんのに。落ち着きやがれ!!馬鹿魔導師ども!!!」
キレたメイさんが触手をグーにしてハジメとシュエンに対して拳を振り落とした。
「「イテッ!!」 」
さすがはメイ。シュエンとハジメの魔導師設定を理解して適切に対処するが………目の前の村人と言えば。
「す、す、す、」
「「「す?」」」
「スライムがしゃべった!!!!」
別のところで、驚いていた。
しばらくすると村人は放心状態から落ち着いたのだが根本的には問題が解決しては居なかった。
「ど、どうするのじゃ。」
「アプリ通り対処したけど、これは不味くない?あの人困ってるし…だからフラグ回収したくなかったのに!!シュエン責任とれや。」
今、村人を離して話し合い中である。
「ほ、ほ、ほ、方法を考えるでな。そ、そ、そこで待っておれ…」
と、シュエンが我に還って必死に迫る村人に対してグダグダな説得をしたのはいうまでもないが。
「そういえば、、アプリのクエスト報酬なに?プルプル」
鬼モードから通常モードにキャラ変したメイさんがハジメ尋ねると
「「そ、それだ!!」」
ハジメがアプリを開くと
クエスト報酬
通過ゲート×1
魔法経験値25%カット
慌ててヘルプボタンを押すと
通過ゲート~設置すると外に出られます。ゲート管理ノートに書かれたものは出入り可能です。鑑定アプリで位置設定した場所にゲートを設置できます。
通過ゲート管理ノート~住民の名前を書き入れるノート
ゲートを通れるようになる。
「これで外に出れるのか!!」
「ワシが踏みつけて力の糧にしてくれるわ!!」
「え、さっきと。偉い態度違うな!!」
「う。う、うん!!と、とりあえずノートとやらを取り出すのじゃ!!」
「言われなくてもするわ!!死なれたら後味悪いし!」
ハジメは受け取りボタンを押してみると、空からノートがドサッと降ってきた。
「イテッ!!頭の上からってしかも角から落ちてくるなんて!!性格悪いぞ自称神!!」
ハジメはイラつきながらノートを開くと
住民
ハジメ
と大雑把に書かれていた。
「ワシも出ないとお主即死じゃぞ、お前がわしの名前を書け。」
「だよな…5歳児に戦闘とか。」
が、紙に書くものが黒炭しかない。
「黒炭で書くか。」
「待って!プルプル」
メイさんがハジメを止める。
「なんだよ。メイさん」
「その出っ張ってる部分なに?プルプル」
指摘された部分を引っ張ってみると
「あ、ボールペン…」
ペンはノートの角に差し込まれていたのだった。
「さすがに、黒炭で書いたらえぐれるよね…」
神による紙に対する気遣いであった。
「よし、シュエン、メイさん出れるぞ。」
アプリでゲートを設置した後、村人を呼んだ。
「村人よ、待たせたな。出れるぞこちらに全て任せておけ!!」
「ですが、そんな申し訳ないです。魔導師様だけに魔物を退治させられません。私も行きます!」
村人からの慣れからか、外に出れる嬉しさからかシュエンは意気揚々と話し出す。
「ええい、村人。危険な場所にそなたをつれていけるか。」
決まったとキメ顔を決めるシュエンに対して村人は
「ですが…村がどこにあるかご存じで?」
と言った。
空気が凍りついたのはいうまでもない。
仕方なく、ハジメが切り返して
「外に出るのに名前を聞かないと出れない仕組みなのです。」
と事情を話すと、村人は
「アンナといいます。これで良いですか?」
「アンナと、アンナ?!女?」
「女ですけど何か?」
「いえ、、何でもありません。」
ハジメが驚くのも無理はない。ただでさえ性別不明であった村人の声はずっとハスキーボイスだったからだ。決して胸がペッタンコだったからという理由ではない。多分。
「で、では、いくかの?待っておれ。雑魚ども」
「プルプル。外の敵はどれだけの強さかなプルプル。」
「二人とも俺には回さないでくれよ。生き残るんだ絶対」
と、それぞれ決意を決めてゲートに触れるのだった。
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