第11話
メイさんに連れていかれた場所には見えない壁に寄り掛かった人間がいた。
ワンピースのような衣装だが…女性とは限らない。世の中には、趣味の方以外に文化的意味合いで着る人も居る。髪は長くて目まで髪の毛に覆われている。男の可能性もあった。
ちなみにハジメはそういう人に連れてかれたことがあるが、その日のことをあまり覚えていない。
この事から察してほしい。ある意味のトラウマがあるようだ。
シュエンも美形エルフ(男)なのでなんとも言いようがないが
「やっぱり、辞めよっか。居なかったと…」
ドンドンドン…外では見えない壁に拳を振り上げながら長髪の人間が何故か大声を出している。
「やっぱりうざいわあ。聞いてあげるべき?やっぱり、、。絶対厄介ことだよ。あんなの執着おばさんか、やのつく人しかいないって。」
ハジメはめんどくさそうに問いかけると
「クエストとやらをしないといかんのじゃろ。めんどくさくてもやらんと物資が入らんのだろ。」
異世界のものに感化されつつあるシュエンにとっては厄介事よりもクエスト報酬についてくる食べ物の方が重要らしい。食べ物と決まった訳ではないのだが…
メイさんはというと
「神の指令はとにかく、外の人かわいそう。プルプル」
とは言っているものの腹黒い本性が見え隠れしている。かわいい仕草でも騙されないんだからねとハジメは思った。
その前にメイさんは神から送られたはずなのだが、大丈夫なのだろうか?
「大変みたいだけど…言葉わかんないし放置…」
「「わかるだろ!!」」
あまりのいい加減さにメイさんも声をあらげる。
スライム独特のプルプルが消えていた。
「わかんないものは…「鑑定アプリ!!」…ッチッ。すればいんでしょすれば?」
イライラしながらもアプリを開く。
メルキル語を翻訳可能にしますか?
yes/no
yesをタップすると目まで髪が覆われていた人間の声がきこえてきた。
「神様?もしくは魔導師さん?聞こえてるでしょ!!村が大変なの!!助けてよ!」
聞こえてきた内容に顔をしかめながらハジメは呟く。
「あ…やっぱり面倒ごとじゃないか。」
「我が行けばプチっとしてクエスト達成ではないか?」
過去の過ちを忘れてシュエンはクエスト達成を優先したいらしい。
とても、国を滅ぼした可能性でギャアギャア喚いていた人間いや亀には思えない。
「いやいや、出られんし。」
「入れてあげたら?プルプル」
「「あ!!」」
という訳で第一村人ならぬ第一人間を入れることになったのだが、ひとつ問題があった。
「入れた瞬間、妖精人間ボコる可能性もあるよね。」
「ハジメはたまに料理以外でまともなこというがなれんの。」
「慣れないね。で?人間いれるの?」
最初の妖精、妖精Aが後ろから声をかけてきた。
「うわっ、いつの間に。」
「スライムの真似して気配消しただけなのに…別に構わないよ。シュエン様が要らないようならプチっと潰してくれたら。」
「妖精の癖してグレぇー。」
「君たち人間のせいでこうなったんだから責任とってよ。それに、そんなに怒ってないし。」
意外な発言にハジメは息をのんだ。
「だって、途中でみんな変わってくんだぜ人間。僕たちが堕落させるのかもしんないけど…だから、いたとしてもキラキラした人間だけ。あいつら消滅したらいいのに。」
「やっぱ、腹グロっ。」
ハジメの発言に対して
「だって何十年、仲間拘束されてたんだぞ。そのくらい」
と、反論する。
「ああ…そうだったな。」
とシリアスシーンに入った瞬間。
「どうでもいいから早くしろ!!」
外の人間が怒鳴り始めたので仕方なくその人間のいる場所をひっくり返しに行くハジメなのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます