第4話

生物を食えないとわかった田中一はとりあえず昨日のトレーニングクエストを開始。


パンを食らい、新しく出てきたレモン水を飲み人心地ついたところで鑑定アプリを起動する。


チュートリアル


カメラ機能で鑑定物を確認しよう。


気になるのはまず、生物


「うん○付いてないか確認しよう。」


プルプル震えながら生物を映す。


種族名

スライム属スライム


状態 健康、清潔


スキル 分解、浄化、酸弾


「せ、清潔だと…」


アプリを再度見ると


日常会話アプリでスライムとの会話が可能になります。

スライムの言葉を翻訳しますか?

yes/no


と、表示された。


田中一は迷うことなくyesを押す。


プルプル震えていただけのスライムの声が聞こえてくる。

「僕、悪いスライムじゃないよ。プルプル」


「悪いスライムとか関係ない!説明なく糞食って触れんじゃねー!!」


その瞬間見えない壁に向かって投げつけた。

がプルプル震えただけだった。


「僕が浄化しないと臭いままだったよ。プルプル」


「………わかった…悪かった。」


いくら不条理な人間でも、人間はアンモニア臭にはかなわないのであった。


不思議生物スライムとは和解したが、クエストに新たに追加されていた項目に悩まされる。


臨時クエスト

スライムに名前をつけよう。報酬家の設計図、


「名前?家は欲しいから…適当にスライムでいんじゃない?」


後頭部からスライムが落ちてくる。


「いて!!」


田中一は飼い犬に対して犬と名付けた男である。


「しょうがない。すらオ、スラミ、スラボウ、スラリン、スラ子、スラきち、いてっ!!いちいち後頭部から落ちてくるな!幼児だぞ!一応体は」


小一時間トレーニングクエストをしながら、ようやく名前が決まった。


「体が透明だからお前の名前はメイ。」


安直ではあるが、田中一にしては考えた方である。


「僕の名前はメイ。よろしくプルプル」


「田中一だ。ハジメでいい。」


名前付けと、三種類のアプリの初期使用報酬が出てきた。


家の設計図、家具の設計図である。


「ようやく、屋根のない生活から解放されるのか…」


まだ、一日しかたっていないのに呆れた言い種である。

とはいえ、100坪分土地がひっくり返すことで既に家を作るには十分な広さがあるし、必要なものが揃っている。


「何するの?ハジメプルプル。」


「家を作るんだ。」


「おうちかあ。手伝おうか?プルプル」


「素人はそこで座ってな」


「わかったプルプル。」


1時間後、家は……………完成しなかった。


「メイさんや」


「何です?ハジメさんプルプル」


「手伝って下さい。」


田中一は有無も言わせず土下座した。

彼は失念していたのだ。自分には図画工作の才能が一ミクロンもなかったことを。


それに幼児の体力で丸太が持てるはすもなく、収納から出したままロープで結んであるだけである。

おいてある木材で、地面に顔が書かれているようにも見える。


「そもそも、設計図には木材に穴を開けるように書いてあるのに何で空けないんですか。プルプル」


「面目ない。図面見るのが苦手で……」


メイは固まった。


元々、一般的にスライムは知力が低いと言うものの一応、神がらみの贈り物かなり知力は高いものが選ばれている。


しかし、スライムより頭がいいはずの目の前の人間は明らかに自分よりも知力が低い。


この時、立場が逆転した。


「ハジメさんは、そこで筋トレしてなさいプルプル」


「…わかった。」


さっきまで汚いだのなんだの言ってたスライムに会話が通じた瞬間、こてんぱんにのされる田中一であった。


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