第79話 急展開?
もうすぐ俺の部屋に女の子が来る。しかも美少女。さらに女の子が部屋に来るのは初めて。
俺はソワソワしながら待っていた。
「えっと、お茶は要るかな? 座布団は……ない。テーブルもない。そもそも友達が家に来ないから来客用の物が部屋に無かった!」
俺は冷静かと思っていたがかなりテンパっていた。何も出来ずに部屋でウロウロしていると扉からノックの音がした。
「失礼しまーす。入って大丈夫かな?」
部屋の扉がゆっくりと開き可愛い声と共にルナが部屋に入って来た。
「どうぞ、どうぞ。部屋、散らかっているけど」
「えー、散らかっていないよー。奇麗な部屋だよー」
ルナはクスクスと笑った。笑った顔が超可愛い。俺はドキドキが止まらない。
「えっと、えっと、ルナさん。とりあえず椅子に座る?」
俺は勉強机の椅子を勢いよく差し出した。
「ありがと。でもね拓海君」
「なっ、何?」
「私にさん付けは禁止だぞ。ルナって呼んでね」
「わっ、分かった」
俺はルナから人差し指で頬をツンツンされた。ルナの仕草が可愛すぎて心臓が破裂しそうだった。
ルナは俺が差し出した椅子に座った。俺はルナの正面のダブルベッドに座って向き合った。
なっ、何の話をしたら良いんだ? ぐっ、ルナが俺を見ている。可愛すぎる! 鼻血が出そう。
「ねぇ、拓海君」
「なっ、何?」
「さっき話をしている間、私の下着姿をじっくりとエロエロな目で見ていたよね?」
「はっ、えっ? はっ、はい。見ていました」
俺はルナの言葉に頭がパニックになった。下着姿をルナは隠す気が無かったのに何故それに触れる?
「私、拓海君に下着姿見られて死ぬほど恥ずかしかった……シクシク」
ルナは両手を目にあてがい泣いている。嘘泣きとすぐに分かった。その姿を見てパニックになっていた俺は冷静になれた。
「ごめん。そうだよね。男に下着姿見られるのは恥ずかしいよね」
「うん。恥ずかしいよ。もうお嫁に行けないよ。シクシク」
「ごめんなさい」
ルナはまだ嘘泣きをしている。本当に恥ずかしかったのか疑ってしまう。
「えっと、えっと。俺はどうしたら良い? 警察沙汰だけは勘弁して下さい」
「……そんな事はしないよ」
「ありがとう」
ルナは嘘泣きをやめて俺に椅子ごと近づいて来た。そして俺の手を握った。椅子はローラー付きなので簡単に移動が出来る。
「私、拓海君に下着姿をじっくりとエロエロな目で見られた」
「う、うん」
「私、もうお嫁に行けない」
「ルナは超可愛いから大丈夫と思う」
ルナは俺をじっと見つめている。真剣な表情だ。
「拓海君」
「何?」
「責任を取って私を拓海君のお嫁さんにして」
「うん。無理」
俺は
「むっ、無理⁉︎ えっ! どうして? 私を受け入れて拓海君のお嫁さんになってハッピーエンドでしょ⁉︎」
「ハッピーエンド? ナニソレ? ……うーん。下着姿を見られただけで初対面の俺のお嫁さんになりたいとか意味が分からん」
「下着姿だよ! 見られただけって、拓海君、酷いよ。シクシク」
ルナは俺から手を離し両手を自分の目に持っていった。
「……ルナ、嘘泣きはバレてるから」
「はぅ! バレていたの?」
「うん。最初からね。でもルナの嘘泣きは可愛いよ」
ルナは驚いている様だ。ルナは大根役者だった。
「くぅぅ! 拓海君は私の下着姿を見ても何も思わなかったの?」
「……ごめんなさい。興奮してました」
「あらまぁ、拓海君ってエロエロなんだね」
「思春期だから仕方ないだろ!」
「ふふ。私は拓海君がエロエロなのは知ってるから。凄くエロエロだよねー」
「ん? ルナとは初対面だけど? どうして俺がエロエロなのを知っているんだ?」
「えっ? あっ、思春期の男の子はみんなエロエロって言いたかったの!」
ルナは慌てている。言い間違いは誰にでもあるのに慌て方が異常だ。
「ふーん。で、エロエロな俺はどうしたら良いんですか?」
「だから私を拓海君のお嫁さんにして!」
「それは無理。俺はまだ十六歳だし。どうしてそんなに俺のお嫁さんになりたいの?」
「私、拓海君に……一目惚れしたの。そう! 一目惚れなの。拓海君の事が好きなの。大好きなの」
「ふぇ? 俺の事が好き?」
「そうなの。愛しているの。だから拓海君のお嫁さんにして」
俺はルナに突然告白された。一目惚れ? 俺の事を愛している? もう訳が分からない。
——このあと俺はどうしたら良いんだー!
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