第41話 明日の日曜日は何をする?

 俺とソラのあとに、父さんもお風呂に入った。母さんは、俺たちの前にお風呂に入っていた。


 今はダイニングで、四人で晩御飯を食べている。時刻は午後六時三十五分。


 メニューは、ソラが初めて泊まった時と同じ、母さん手作りのハンバーグだ。


「僕、すみれさんのハンバーグ大好きです」


「ふふ、ソラちゃん、ありがとう。たっくんはそういう事を言ってくれないから、嬉しいわ」


 俺たち四人は、ダイニングテーブルで食事をしている。俺とソラ、父さんと母さんが並んで座り、向き合っている。


「ソラ、明日はなにか予定はあるのか?」


「明日はとなりの町に、打ち合わせに行く予定だよ」


「打ち合わせ?」


「うん。プレプレ7、はがねこぶしの大会の打ち合わせだよ」


 俺の住んでいる町のとなり町は有名な温泉の町だ。


「そういえば、毎年やっていたな。去年はプレプレ6の鋼の拳だったよな」


「そうだよ。今年はプレプレ7の鋼の拳でやるんだよ」


「今年で大会は四回目だったよな? 前回はソラが優勝したんだよな」


「そうだよ。今年は招待選手で出場だから、いろいろと打ち合わせがあるんだよね」


「たしか町の活性化とかで、ゲーム大会があるんだよな?」


「うん」


「でも、どうしてゲーム大会で町の活性化なんだ?」


「最近は世界でゲームをスポーツにした大会が盛り上がっているんだよ。賞金も出てるんだよ」


「そうなの?」


 俺はゲームにはほとんど興味がない。なのでゲーム業界の事はよく分からない。


「拓海君はゲームに興味がないから仕方ないけど、若い人たちが温泉に興味を持ってもらうために、ゲーム大会をするようになったんだよ」


「ふーん。明日は何時から打ち合わせなんだ?」


「朝九時からだよ。終わるのは午後四時くらいかな」


「大変だな」


「ソラ君、明日は私がソラ君の送迎をしよう」


 俺とソラが話しをしていると父さんが話しかけてきた。


「そんな、悪いですよ。電車とバスで三十分で行けるから大丈夫ですよ」


「いやなに、久しぶりに温泉でゆっくりしようかと思ってね」


「そうね、そうね。私も温泉行きたい。たっくんも行こうよ」


「明日は日曜日だし、俺は家でのんびりする」


「そっか。分かったよ。たっくんはお留守番だね」


 明日、となりの町に行ってもソラとは別行動になるだろう。それに温泉に入りたい気分でもないからね。


「それなら、送迎をお願いしようかな」


「まかせなさい」


「よろしくお願いします」


「それでソラ、その大会はいつあるんだ?」


「一週間後の日曜日だよ。拓海君も大会は来るよね?」


「うーん。どうしようかなぁ。興味ないんだよなぁ」


 俺とソラは話をしている最中だったが、みんな食事を終えていた。父さんと母さんは、晩御飯の後片付けを始めていた。


 俺とソラも後片付けを手伝った。片付けが終わると四人ともダイニングテーブルで、お茶やコーヒーを飲みながらスマホで調べ物やゲームをして、のんびりすごしていた。


「ソラ君、ちょっといいかな」


「はい。なんですか?」


 父さんがスマホでゲームをしていたソラに話しかけた。ソラはスマホのゲームをやめて、父さんを見た。俺と母さんもスマホを触るのをやめた。


「ソラ君、ここで一緒に暮らさないか」


「「えっ!」」


 俺とソラは声を出して驚いた。母さんは驚いていなかった。たぶん二人で話し合っていたのだろう。


 父さんと母さんはソラの事をかなり気に入っていた。息子の俺よりソラとは仲良しだったけど、一緒に住もうと言うとは思っていなかった。


 俺もソラと一緒に住むのは大歓迎だけど……大丈夫か? 一緒に住んだらソラが夜這いに来そうなんですけど!


 女の子の夜這いなら大歓迎だけど、男の子の夜這いはマジ勘弁なのですが! ……でもソラならアリかも……いや、ない。ないない!


 ヤバイぞ! 俺は禁断の扉を開けようとしている。——ぜったいに禁断の扉は開けないぞ!









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